おがら
2025-07-29 02:47:45
2868文字
Public バキサム
 

お悩み相談。とある二人についてなのですが。

🦾🪽 全年齢
サムのイン〇タライブを見るサムキャファンのモブくんが終始興奮してる話です。
月いち36の日で公開

 
 サム・ウィルソンは毎月SNSのライブ配信でお悩み相談をしてくれている。彼の経歴から彼に相談したいという国民はたくさんいて、毎回律儀に答えてくれている。僕はそんなサムのことを心から尊敬しているただのいちアメリカ国民。
 彼が律儀だと思うのは突発的に開始しても構わないライブ配信を月に一度だからときちんと何日も前から予告してくれるところと、仕事のせいで予定が変更になるとそれさえすぐに教えてくれるところだ。それも急遽の時は『すまん、今日はだめになった!』とあのキャプテン・アメリカが急いで打ち込んだんだろうというスペルミス付きの投稿で。そんな彼のことを自分も含め、みんなが大好きなのだから楽しみにしていたライブが無くなったって誰も責めはしない。それが数週間前の話。
 そして今日はようやくその月に一度のライブ配信日。今回は予定は変更にならず彼のアカウントを開いて待機しているとほとんど時間通りに配信が開始される。サムの配信場所はその時々で変わることがほとんどだ。恐らく彼のオフィスのソファからだったり、彼の愛車からだったり、行きつけらしいバーの一角からだったり。さて今日はどんなところか。
 
『ハイ、サム・ウィルソンだ。みんな元気か?』
 
 サムはブラウンのソファに腰を下ろしていて、少し下からのアングルから映る彼は画面に手を振ってくれている。その背景は生活感はありながらもスッキリと整理されている家のようでまさかここは彼の……? 思わずキーボードを少しばかり強く叩いて彼にコメントを送る。ちなみにスマホで見るのが大半だろうこのSNSのライブ配信だけど、僕は絶対にPCと決めている。だって彼の顔が大きく見えるから!
 
『〝もしかしてそこって自宅?〟 ああそうだ。今日は家からライブ配信してるぞ。』
 
 やっぱり!そして僕のコメントを読んでくれた!僕の後に同じような質問がたくさん流れたけど残念、僕が最初だったよ。そしてサムが答えた瞬間ドッとコメントの流れが速くなる。『他の部屋を見せて』『寝室が見たい』『キッチンで料理して!』など、みんな本当に好き勝手なことを書いている。サムはそれを適当に拾いながらいなしていて、あまりの勢いに少しだけ呆れたように笑うその顔がチャーミングだ。初めて見た人は驚くかもしれないけど、これは案外いつも通りの流れ。みんなサムが大好きだから彼に構ってほしくて仕方ないんだよね。
 
『さて、今日の相談は……N.Y.のマリアから。〝フィアンセがドレス選びに付き合ってくれない。〟 オーケー、そいつを俺の前に連れてきても構わないぞ。空軍仕込みの訓練をしてやろう。ハハ、冗談だ。でもお互いにとって大事な式で着るドレス選びを蔑ろにするのは褒められたことじゃないな。彼女のドレス姿を最初に見るのは自分がいいだろう? 他の人の前で着られたくないならちゃんと付き合うんだな。マリア、このライブをフィアンセに見せてやってくれ。』
 
 サムは時々軽口を挟みながらも最後は真剣な声でしっかり相談者の悩みに答えていて、コメント欄は彼を賞賛したり相談者を励ましたりする声で埋まっていく。月一回の大事な相談の一つをこれに使うなんて。とサムと相談者を下げるコメントが僕の目に入った瞬間その人は消えてしまった。今日もいるみたいだ、サム・ウィルソンの右腕の彼が。
 右腕の彼ことファルコン――サムの秘蔵っ子のホアキン・トレス。僕たちサムのファンは彼のことも大好きだし、それに彼に頭が上がらないのだ。だってこの月一相談ライブ配信をやろうといってくれたのはホアキンなのだから。
 彼のSNSはサムよりずっと活発に動いていて、ライブもしていた。その中で時々映るサムに僕らは度々盛り上がっていたし、その時にサムもやらない? みんなはどう? と聞いてくれた彼は本当に天使なのだ!最初は渋っていたサムだったけど、お悩み相談とかは? とホアキンが言うとそれなら。と始めてくれたのだ。サムはSNSに疎いらしく数回のライブはずっとホアキンが一緒にいてサポートしてくれていた。そんなサムも今じゃ立派に一人で、しかも自宅でライブ配信をしてくれてる。
 でもコメント欄に時々現れる攻撃的な人物には僕たちもサムも辟易していた。そんな時はホアキンがサッとその人を消してくれる。もちろん、現実的にじゃなくて(実際はそうしたいのかもしれないけれど)配信から追い出すという形で。情報将校の彼を敵に回すのはやめた方がいい。きっと全部暴かれているからね。僕にはわかる。
 ホアキンのおかげでコメント欄は平和に流れ続け、サムが次の相談に行こうとした時かすかに配信に乗ったサムを呼ぶ誰かの声。その声の方向を見たサムはそのまま配信画面からいなくなって、しばらく扉が開く音や内容はわからないけど誰かと話す声が聞こえる。コメント欄は大層盛り上がっている。それはそうだ。だって自宅に来る、しかも鍵を持っている人物なんてサムが信頼してなきゃあり得ないのだから。ちなみにホアキンは除外。家に行くくらいなら最初から一緒にいるだろうからね。
 少しだけ声が近づいて〝~~を買ってきた〟の声に〝悪いな〟と返すサム。それから〝飯はどうするんだ?〟なんて声も聞こえてくる。声の主は落ち着いた男の声。コメント欄は男性の声がセクシーだ!なんて騒いでる。
 動揺を隠せない僕たちの前に現れたのはサムとそれからかの有名なバッキー・バーンズ!なんてことだ!世間を騒がせたあの下院議員のバッキー・バーンズ!?
 バーンズ議員はしっかりとスーツを着込んではいるもののその首元のネクタイは軽く緩められていて、サムがテレビの生放送みたいなもんだ。と画面を指差して説明するとハイ。とにこやかな笑顔をこちらに向けてくる。彼の登場で大騒ぎのコメント欄は彼が微笑むとさらに滝のようにドバドバと流れていき、僕さえ追えていないのだから画面をのぞき込む二人はもっと困惑している。ち、ちかい!顔が近いよ二人とも!止まらないコメント欄にサムはやっぱり呆れて笑っていて、毎月やっているライブ配信の概要を議員に説明している。
 
『なるほどお悩み相談か。よし、なら俺も参加しよう。』
『時間はいいのか?』
『あぁ、明日の朝には出るが。』
『オーケー、ならあと一つか二つ、相談に乗って終わりにしよう。みんないいか?』
 
 OK!もちろん!ハンサム!そんなコメントが飛び交っている間、二人は画面に納まるためかブラウン色のソファに肩が触れ合う距離で座り直しているし、バーンズ議員の金属の腕がサムの腰に回っているのは僕の気のせいじゃないんだよね? このライブ配信さえ録画しているというのにPCのスクリーンショットボタンを何度も押しているのは僕だけじゃないんだよね? 今こそ助けてくれよ、ホアキン・トレス!
 にこやかにお悩み相談を再開した彼らはきっとわかっていないんだろう、この姿が明日、いや数時間後には大きなニュースになることを!