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保科
2025-07-27 12:44:25
1936文字
Public
まほ箱系(オールキャラ)
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ハッピーサマーバケーション
夏休みだな桂木!毎日家から出ろ!
「わーい!
チカちゃんチカちゃん、夏休みだよ〜!
何しよっか、やっぱり海には行かなくちゃだよね?後ね、夏祭りと花火と、それから〜
……
」
校長先生の長ったらしい話を体育館で聞いた数十分後。自分の席で、通知表を手に持ったままほうけていれば、ひびきが笑顔で駆け寄ってくる。そう、今日は終業式。まあ、だからといって何というわけではなく、というかそもそもデカい声で私の名前を呼ぶなと
――
「そうだな!夏休みだな!」
「え」
考えるより先に口をついてしまった言葉に、ひびきが何故か後退る。なんだよ。
「ち
……
チカちゃん
……
!?ど、どど、どうしたの!?」
「なんだ?太鼓叩いたみたいな声出して。
ひびきは元気だなぁ、ははっ!」
「
……
す、スナオちゃーん!へるぷ!へるぷみー!」
「あん?どうしたひびきち。悪いケドも、今のアタシは少々めまいのする数字の羅列にグロッキー
……
」
急に腕を引っ張られて連れてこられたスナオが、げっそりとした顔を上げて、私を見て。
「うわ偽物!!!」
「はぁ?何いってんだお前」
「いやチカちーあんた顔と言葉が一致してないって!ニッコニコだよ!?かつて見たことないんだけどそんな顔!?」
何度も人を指差すな。と、叱りたいところだが
――
今日の私はなんてったって気分が良い。許してやる。
「何言ってんだ?私はどう見てもいつも通りだってのに。あっはっは、おかしなやつらだなぁ!」
「
………………
主よお許しください
………
」
「うええ
……
チカちゃんがチカちゃんじゃなくなっちゃったよぉ
……
」
ドン引きした様子のスナオがブツブツ呟きながら冷や汗を垂らし、終いにはひびきが顔を覆ってさめざめと泣き(真似をし)始めた。マジでなんなんだ。首を傾げる私に、埒が明かないとでも思ったのか。
「ひ、ひびきち!集合!集合〜ッ!」
ぴぴーっ、と笛の音を口にするスナオとひびきが、何やら教室の隅でコソコソ話し始めた。
「ちょっと、なんでこんな劣化版結城妹みたいなことになってるじゃん
……
?キャラ崩壊も甚だしいぜい
……
」
「わ、分かんない!
……
けど
……
チカちゃん、夏休み楽しみにしてたから
……
」
「まさか!う
……
浮かれているのか
……
!?あのノリの悪さとキレ芸に定評のあるチカちーが
……
!?」
「わくわくのチカちゃんは可愛いけど!可愛いけどちょっと怖いよぅ
……
!」
「本当何なんだよ」
ちらちらこっちを見ながら会話するな。いつもなら悪口か?と問いただすところだけれど
――
でもまあいい、何せ夏休みなのだ。待ちに待った夏休みが始まったとあれば!多少嫌なことにも目をつぶれるってものだ。
と。なぜか覚悟を決めた様子のひびきが、こちらに手を挙げながら一歩踏み出してくる。
「
……
ち、チカちゃん。ちなみに、なのですが
……
」
「ん?」
「その、夏休みのご予定って
……
?」
藪から棒の質問に、なんだろうとは思いつつ。
「あのなあ、そんなの決まってるだろ
――
」言うまでもない、「日がな一日寝て過ごすんだよ」
朝目覚めて二度寝してご飯食べて昼寝して夜ご飯食べて寝る、そのループ、嗚呼、なんと素晴らしきかな夏休み
……
。私のこれまでの散々な日々はこのバケーションためにあったのだ
……
。
美しき未来の予定を、しみじみと噛み締めていれば。ふと、2人が唖然とした顔でこちらを見ていることに気が付いた。
「
……
なんだよ
……
」
「うっわ、予想を裏切らない一択
……
自堕落の極みじゃん
……
そりゃまーそっかあ
……
」
「は!?うるせー、何だその反応!休みをどう使おうが私の自由だろうが!」
「遊ぼうよチカちゃんー!海行こうよー!そんなのつまんないよー!やだやだやだー!」
「だーっ、抱きつくな!誰が何と言おうと家から出ないからな!邪魔すんじゃねー!」
夏休みを目指してどれだけ普段我慢してきたと思ってるんだ!コイツまじかよ、みたいな目のスナオと、何故か突然すがりついてくるひびきをどうにかこうにか引き剥がそうと
――
ぴろん。
「ん?」
「あっ」
「何々?メールかい?」
した矢先。携帯に着信があったらしい。HRが終わったので電源を入れていた、私とひびきの携帯が同時に鳴る、ということは
――
「あ、今週のシフトだ!
えっと〜
……
夏祭りに屋台を出すから仕込みと設営と接客と販売?で毎日出勤
……
?」
…………………
。ひびきが読み上げたのとまったく同じ、アーネンエルベからの文面が表示された携帯を、勢いよくカバンの中に投げ捨てた。
「
……
自堕落無理そうじゃん?」
「やってられっかー!」
頭を抱える私の姿に、何故か安心した顔でいつものチカちゃんだ〜と笑うひびきには、何故か私の悲しみは何故か一片も共有されていなかったようだった。なんでだよ!
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