ちよど
2025-07-25 11:03:19
1253文字
Public カルヨダ
 

カルナさんがパパにスカウトされる話

現パロ カルヨダ。
「カルさんが親の愛情に気づく話」https://privatter.me/page/687f3656465ef の続き。
カルさんとパパの出会い。書きたいところだけ書いた。楽しかった。

 晴天の下。体育祭は盛況のうちにパーンダヴァの勝利で終わった。
 カルナは夕暮れの校舎を歩く。敗北が決まった瞬間から雲隠れしてしまったドゥリーヨダナを探して。
 カツカツと松葉杖の音が人気のない廊下に響いた。カルナが右足を骨折しなければアルジュナに勝利出来ていただろう。そうすれば結果も変わっていたはずだった。
 中高大一貫校のこの学園では何年も前からカウラヴァ派とパーンダヴァ派が競い合っていた。
 ドゥリーヨダナ達の親の代で『カウラヴァ』から『パーンダヴァ』が独立し。膨大な土地を持つカウラヴァと、物流のパーンダヴァに別れたのだ。それを不服とするドゥリーヨダナは事あるごとにパーンダヴァの五兄弟に突っかかっていた。
 そして、この体育祭で。
『わし様が勝てば事業を返してもらう!』
『ならば、我々が勝てば今後不干渉を徹底してもらいましょう』
 次期パーンダヴァ当主のユディシュティラの言葉をドゥリーヨダナは自信満々に受け。──そして負けたのだ。
 ドゥリーヨダナは何を失ったわけでもない。だが、恥をかくのが何よりも嫌いな小心の青年がどんな気持ちで姿をくらませているのか。それを思うとカルナは彼を探さずにはいられなかった。
 探しているドゥリーヨダナの名をカルナは呼ばない。
 呼ぶまでもなく、友ならばカルナの気配が分かる。顔を見せる気があるなら向こうから出てきてくれるだろう。
 カルナは足を止めた。
 廊下に見知らぬ長身の男が立っている。
 白い服、白い髪。赤い瞳。端正な顔立ちはどこかで見たような気がした。
 男がカルナを見た。カルナも男を見た。
 夕暮れの光が廊下に差し込む。
「──カルナ、だな」
「そうだ」
 カルナの肯定に男は名乗らずカルナに歩み寄った。
「カウラヴァを助けたいのか?」
「そうだ。俺はアルジュナに勝ちたい」
「無駄なあがきだな」
 男の言葉にカルナは頷いた。今は学生だから同じステージに立てるが卒業すれば、不正入学すれすれで編入した一般庶民のカルナとパーンダヴァの御曹司は競い合うことも出来なくなるだろう。
「青空は好きか?」
 唐突な問いにカルナは目を瞬かせた。
 男は視線を窓の外に向ける。
「毎年、この時期になると愚か者が晴天を望む。自らでも行えることを[神《わたし》に依頼する愚行を理解しがたいと思っていた」
 赤い瞳がカルナを捉えた。
 日焼けひとつない白い大きな手が差し伸べられる。
「来い。我が息子よ。カウラヴァ大地を捨て次のスーリヤ太陽と成るがいい」
 スーリヤ。その名をカルナはドゥリーヨダナから聞いたことがある。天候操作を行う多国籍企業だ。そのCEOスーリヤとなればアルジュナと対等に競えるだろう。
 カルナは男の顔を見上げた。どこか見覚えがあると感じた理由。男は鏡の中の自分によく似ていた。
 二十歳の誕生日に養母からもらった黒いカードを思い出す。
 なんの後ろ盾もなかったカルナをこの場所まで引っ張り上げてくれた友の笑顔が脳裏に浮かんだ。
 


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