万丈
2025-07-14 08:27:03
2238文字
Public 小説
 

星屑の髪飾り

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
インドラ様×ヴィシュヌ様。相変わらず仲の良い2人の話。

前の話→女神の探求

「インドラ、少し付き合ってもらえますか?」

ある晴れた日の午後、ヴィシュヌはインドラの執務室を訪れ、そう切り出した。彼女に長年仕えてきた侍女が、近々結婚し、故郷へと帰ることになったのだという。
その祝いの品を、自ら選びたいのだと、ヴィシュヌは嬉しそうに微笑んだ。

「護衛ですね。承知いたしました」

インドラは無駄な問いを発することなく、ただ静かに頷いた。こうして二人は、人目を忍ぶように簡素な衣を纏い、天空樹の麓にある職人街へと降り立った。目指すは、宝石彫刻の腕が良いと噂の、小さな工房だった。

工房の主人は、現れた二人が天空界の主と総司令官であることなど露ほども知らず、気さくに品々を並べて見せた。ヴィシュヌは

「彼女には、どんなものが似合うかしら」と、少女のようにはしゃぎながら、一つ一つを熱心に吟味している。その横顔を、インドラは穏やかな気持ちで眺めていた。

ふと、彼の目に、棚の隅に置かれた一つの髪飾りが留まった。夜空色の宝石を細かく砕き、星屑のように散りばめた、繊細な細工の髪飾り。ヴィシュヌの金色の髪に飾れば、さぞ美しく映えるだろう。
インドラがそう思ったのと、ヴィシュヌがその髪飾りに気づいたのは、ほぼ同時だった。

彼女は吸い寄せられるようにそれに手を伸ばし、「まあ、なんて綺麗……」と感嘆の声を漏らした。その瞳は宝石の輝きに奪われ、しばしうっとりと見惚れていた。しかし、すぐにハッと我に返ると、小さく首を振った。

「いけませんわね。今日はわたくしではなく、あの子のための日ですのに」

そう自分に言い聞かせるように呟くと、彼女は名残惜しそうにもう一度だけ髪飾りを一瞥し、そしてきっぱりと背を向けた。インドラは、その一連の様子をただ黙って見ていた。



結局、侍女への贈り物は、彼女の故郷の花を模した美しいブローチに決まった。
後日、ささやかながらも温かい結婚式が執り行われた。純白の衣を纏い、愛する男の隣で幸せそうに微笑む元侍女の姿。友人や家族に囲まれ、惜しみない祝福の言葉を浴びている。
少し離れた場所からその光景を眺めていたヴィシュヌが、インドラにだけ聞こえるような声でぽつりと呟いた。

……羨ましいですね。誰からも祝福されるというのは」

その声には、隠しきれない寂しさが滲んでいた。調和神と、軍を統べる総司令官であり、元アスラ神軍の神将。彼らの関係は、決して公に認められるものではない。ヴィシュヌがそれを理解しているからこそ、その言葉はインドラの胸を締め付けた。

インドラは何も言わなかった。ただ、寂しげに微笑む彼女の横顔を、静かに見つめる。その視線に込められた想いに気づいたヴィシュヌは、それ以上言葉を続けることなく、再び前を向いた。
言葉がなくとも、彼が傍にいてくれる。それだけで、心は温かかった。