kr0mm333
2025-04-04 09:59:10
3212文字
Public 年逆Dom/Sub 神奈備所属if
 

燻る独占欲①

久しぶりの年逆Dom/Subの神奈備所属if。
今回は巻チヒに嫉妬する座村さんになります。
こちらは前半で、後半は🔞になる予定です。


 座村が出て行ったあとの執務室。四人は気配が遠のいたのを確認してからまた向き合った。
「ま、ギリギリ合格ってとこだな」
 子供、郎が面白がるように笑うと隣に立っていた女、炭が本当にギリギリだけど、と念を押すように呟くのが聞こえる。
「この程度のストレスに耐えられないようならアンタの護衛を辞めさせるよう進言してたところだ」
「だなあ。だいぶ我慢してたが苛立ちを隠せてなかった。ありゃ、いざという時にやらかすかもしれないしな」
 大男、杢がもう一度ドアの方を振り返ると千鉱はまあまあと彼を宥めた。
「でも彼、あなたのDomなんでしょう?」
 続けて投げかけられた問いに面食らってしまう。座村、柴、薊、三人の護衛達が千鉱のDomであることを公言したことはない。護衛なので四六時中一緒なのは当然であるし、他の職員達にも知られてはいないはずだ。
 だが彼らは忍、諜報活動や工作を主な任務にしているのだから知られているのも当然かもしれない。
「まあ、な」
 アンタのDom、と言われたのが照れ臭くて口元を手で覆い隠してしまう。その仕草に三人は驚いたが、千鉱の精神状態が自分達と共にいた頃よりも格段によくなっているのがわかって顔を見合わせた。
 彼らは六平家が襲撃にあって以降、少しの間だが千鉱の護衛としてそばにいた。兄を殺され、妖刀を奪われて様々な感情でぐちゃぐちゃになった千鉱を見てきただけに、言葉とは裏腹に今の様子に安堵しているのが伺える。
「持ちかけたのは俺達だけど、この後は大丈夫か?」
 思い出したように杢が問うと千鉱はううんと唸った。
 Domは自分のSubに手を出されるのを本能的に嫌う。いくら訓練されていようとも、本能を完全に押さえつけるようなことなど不可能に近い。三人はわざと座村の神経を逆撫でしていたし、それに気づいていてもいなくても戻ってきた座村はあからさまに不機嫌な様子を見せるに違いない。
 三人が退室していた場合は詰問されるくらいで済むだろうが、終業後に千鉱の家に直行するか、もしくは宿直室へ連れ込まれる可能性もある。
「まあ、何とかなるだろう。普段から俺の犬を自称するくらいだしな」
 千鉱の護衛である三人が千鉱の飼い犬を自称しているのは有名な話だった。そして、千鉱に手を出すと完膚なきまでに相手を叩きのめすことから狂犬と呼ばれているのも。
「その飼い犬に手を噛まれないように祈ってるよ」
 相手に食ってかかっていても千鉱が止めれば従順に止めるという場面を何度か見たことがある。だが先ほどの様子なら、このあとは少し面倒なことになるかもしれない。
 炭がそろそろと声をかけると郎がわかったと頷く。
「悪い。もう少し話してたいところだが、そろそろ行くよ」
「正式な任務でも無いのに無理を頼んでいるのはこちらのほうだ。また礼はいずれ」
「なら、今度久しぶりにアンタの護衛を一日させてもらおうかな」
「いいですね。それでお願いします」
「炭がこんなに乗り気なのは珍しいな……ま、俺も賛成。頼むよチヒロさん」
「通るか分からないが申請してみるよ」
 三人は神奈備御庭番忍衆。簡単に貸し出してもらえるとは思わないが、希望されたのならやるだけやってみようとは思う。ついでに情報収集の打ち合わせをするのもいいかもしれない。
「座村が戻ったらコーヒーでも淹れるか」
 きっと機嫌を損ねているはずなので、柴や薊と顔を合わせる前にフォローしておかねば。
 そんな風に考えながら書類仕事を再開して数分後、従順だと思っていた飼い犬が狂犬となって噛みついてくるとは夢にも思わなかったのである。