usagipai
2025-06-24 23:40:04
1819文字
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沈黙

ルイアニェ



スフィー視点
扉の前で、スフィーはお菓子の乗った盆を両手で支えたまま、足を止めていた。
ほんの軽い気持ちだった。ただ、暇を持て余していたし、アニェラに頼まれたお客様への差し入れという名目もあった。

けれど――

……?。なんだか、妙に張りつめた空気)

扉に手をかけようとして、ふと耳に届いた声。それはジュピターだった。

「お前から見てアニェラは、どんな風に見えてる」

スフィーは反射的に動きを止めた。
ジュピターがそういう聞き方をするのは、滅多にない。

耳を澄ませるつもりなどなかったのに、不思議と会話の続きを追ってしまっていた。
ルイフの声が、思いのほか真摯だったのも、理由の一つだ。

……感情が薄いだけで、好奇心はあるし、優しい奴だと思います」

その言葉に、スフィーの目が少しだけ丸くなる。
そして――ジュピターの爆笑。

……まさかあの失敗作にそんなもんが生まれてたなんてな」

その一言に、スフィーは小さく眉をひそめた。
けれど、すぐに首を横に振る。ジュピターの言葉は、いつだって皮肉と試すような含みでできている。

ルイフが知らないのは当然だ。けれど、それでも彼は自分の目でアニェラを見て、言葉を選び、ちゃんと伝えていた。

(素直、ではありませんけどね……

小さく息を吐きながら、扉からそっと離れる。
お菓子は、少し時間を置いてから持っていこう。

廊下を歩きながら

(でも……ルイフ様のこと、ちょっとだけ分かった気がする)

その微笑みはどこか嬉しそうで、どこか安心していた。