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usagipai
2025-06-24 23:40:04
1819文字
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沈黙
ルイアニェ
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2
アニェラに招かれて、ルイフは神殿の待合室に足を踏み入れた。
緩やかに差し込む光と、冷たくも清らかな空気。だが落ち着くどころか、彼の胸の奥はどこかざわついていた。
案内された椅子に腰を下ろし、静かに待つ。
やがて、扉が音もなく開いた。姿を見せたのは
――
ジュピター。
「
……
なんでここにいやがる。
……
って、アイツが招いたのか」
忌々しげに吐き捨てながらも、ジュピターはまるで当然のようにルイフの向かいの椅子に腰を下ろした。
人かどうかも定かでないその存在が、あまりにも自然に、傲然と空間を支配していく。
(って、なんで平然と座ってくるんだこの人は
……
いや、人なのか
……
?)
ルイフの中に湧き上がる問いと違和感。それを飲み込むように、静かな沈黙が部屋を満たした。
一秒一秒がやけに長く感じられる。息苦しささえ漂い始めたその時、不意にジュピターが口を開いた。
「お前から見てアニェラは、どんな風に見えてる」
唐突な問いだった。
思わず目を見開いたルイフに、ジュピターは視線を投げたまま言葉を続ける。
「俺は情なんてモノはねぇよ。率直に言え」
逃げ場は、ない。
この沈黙から、この重圧から逃れるには、答えるしかないとルイフは悟った。
ゆっくり言葉を探し、ひとつずつ口にする。
「
……
最初は、警戒していました。何となく掴みどころがなくて、何を考えてるのか分からない感じで
……
」
「ほう」
「でも、話してみると、感情が薄いだけで
……
好奇心はあるし、優しい奴だと思います」
すべてを言い終えた後、ルイフはおそるおそるジュピターの顔をうかがった。
その瞬間、ジュピターは
――
大笑いしていた。
「ははははっ!!
……
おまっ、あはっ、はははっ!」
「えっ
……
な、なんだ
……
(何か変なこと言ったか、俺)」
戸惑うルイフをよそに、ジュピターは肩を震わせながら口元を拭い、にやりと笑った。
「いやぁ
……
まさか、あの失敗作にそんなもんが生まれてたなんてな」
「
……
失敗作?」
聞き返した瞬間、空気が変わった。
ジュピターの瞳はふと冷たさを帯び、そして
――
どこか遠くを見るような目で呟いた。
「
……
あぁ。知らねぇのか」
ルイフが何かを問いかけようとしたが、それよりも早くジュピターは立ち上がり、背を向ける。
「
……
まぁ、本人に聞けば教えてくれるんじゃねぇの。お前ならな」
「それはどういう意味
――
」
「じゃ、俺は忙しいんでな」
ふっと笑いを残し、ジュピターは部屋を後にした。
残されたルイフの胸には、妙な違和感とひっかかりだけが残った。
(
……
失敗作って、何だ? アニェラが
……
?)
誰もいない部屋に沈黙が戻る。
けれど、もうその静けさは最初のものではなかった。
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