万丈
2025-06-22 17:40:51
2472文字
Public 小説
 

夜明けの残滓

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
最終決戦直前のインドラ様。
どこまでも独りなインドラ様。
。゚(゚´ω`゚)゚。

前の話→雷帝と那羅王2

夜の帳が最も深くなる時刻、インドラの意識はいつも、決まって同じ場所へと引きずり込まれる。
それは記憶であり、罪であり、そして決して変えることのできない、呪いそのものだった。

――大地を埋め尽くす、無数の屍。

赤黒く染まった故郷カーンダヴァの大地に、かつてインドラが愛し、守ると誓ったルドラの民の亡骸が、折り重なるようにして転がっていた。
自らの剣で、この雷光で貫いた者たちの、虚ろな目がインドラを見つめている。許しを乞うように、あるいは、呪うように。

「インドラ」

絶望に膝をつく彼の背後から、甘く、そして残酷な声がする。破壊神シヴァが、愉しげに微笑んでいた。

月光を浴びたその白い肌は妖しく輝き、全てを見透かす赤い瞳が、インドラの砕け散った心を見据えている。その視線に射抜かれ、身体の自由は完全に奪われていた。立ち上がることも、目を逸らすことも許されず、ただ、己が作り出したこの地獄絵図を見せつけられる。

血の涙が、頬を伝った。民の叫び声が、まだ耳の奥でこだましている。
その時、いつもと同じように、夢の情景が変わった。

シヴァの気配が消え、静寂が訪れる。あれほど満ちていた死の匂いが嘘のように引き、荒野にただ一人、インドラは佇んでいた。
すると、どこからか柔らかな光が差し込み、デーヴァ神軍を率いていた調和神、ヴィシュヌが姿を現すのだ。
彼女は何も言わない。ただ、その慈愛に満ちた瞳でインドラを見つめ、血と涙で汚れた彼の頬に、そっと触れる。

その温かい感触。シヴァの支配の下で、万年もの間凍てついていた心が、ほんの一瞬、溶かされそうになる。
この温もりの中にいられるのなら、と、あり得べからざる願いが胸をよぎる。
その瞬間を、悪夢は決して見逃さない。

彼女の姿は、目の前で音もなく石と化し、次の瞬間、無残に砕け散った。そして、その鋭利な石の破片が、無数に彼の胸へと突き刺さろうとしていた。

――っ!」

現実の寝台の上で、インドラは息を詰まらせて目を覚ます。
心臓が、胸の内で暴れる獣のように激しく鼓動していた。全身は、まるで冷たい水に浸されたかのように汗で濡れている。喉の奥がカラカラに乾き、浅い呼吸を繰り返すことしかできない。

夢だ。わかっている。いつもの、夢だ。
だが、胸に突き刺さろうとした破片の鋭い痛みと、ヴィシュヌを失った(石にした)あの瞬間の絶望は、現実のものとして彼の胸を苛み続けていた。

インドラはゆっくりと身を起こす。隣では、那羅王レンゲが穏やかな寝息を立てていた。インドラの腕を枕に、安らかな表情で眠っている。
彼女は、かつての仲間を捨て、この破滅へ向かう男の傍にいることを選んだ。その一途な想いに応え、手元に置くと決めたのは、インドラ自身だ。
彼女の柔らかな髪が、インドラの腕に触れる。その温もりが、悪夢で冷え切った身体にじわりと染み渡る。だが、その温もりは、インドラの罪悪感をより一層深く抉るだけだった。