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万丈
2025-06-19 19:11:37
1759文字
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小説
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大型獣観察日誌
【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
二話と三話の幕間。
インドラ様のアカラナータ観察日誌。
インドラ様を邪な目で見る人、絶対他にもいたと思うんですが…w
第二話→
その指は、絶望に触れる
第三話→
虚ろな瞳、独占の楔
玉座に深く身を沈め、インドラは意識を内側へと沈潜させていた。思考の海は静寂に満ち、一点の染みもなく澄み渡るはずだった。
だが、その静謐な水面に、どうしようもなく一つの波紋が広がり続けている。
アカラナータ、という名の波紋が。
(なぜ、あの獣は飽きないのだ)
インドラは己の思考の中で、これまでの日々を静かに振り返る。
あの夜、初めてその肉体を屈辱と共に支配し、力の差を骨の髄まで刻みつけた。これで少しは大人しくなるかと思えば、その予想は甘かった。
二度、三度と、獣は飽きることなく牙を剥いてきた。そしてその度に、私はその傲慢な身体を組み敷き、啼かせてきたはずだ。力で、そして快楽で、どちらが上かを分からせた。
にもかかわらず、あの獣の執着は消えるどころか、形を変えて濃度を増している。夜襲のような直接的な戦闘行為は鳴りを潜めたが、その代わりに、常に視線を感じるようになった。食事の時も、書物を読む時も、こうして瞑想している今でさえ、遠巻きに注がれる探るような眼差し。
(
…
あるいは、記憶の保持能力が極端に低いのかもしれん)
インドラは、一つの仮説に行き着いた。
昨日の敗北を、一晩寝れば忘れてしまう。そしてまた新たな気持ちで、目の前の強者に挑む。その思考回路は、ある種の鳥類に近いのではないか。
そう考えると、彼の不可解な行動の数々にも、一応の筋は通る。
そこまで思考を進めたところで、インドラは瞑想の限界を感じ、静かに目を開けた。澱んだ思考を浄化するため、彼は玉座を離れ、中庭へと足を向けた。
天空殿の中庭は、かつての主であるヴィシュヌの趣向が色濃く残る場所だった。穏やかな光が木々の間から差し込み、手入れの行き届いた花々が風に揺れている。
その一角、柔らかな陽光が降り注ぐ芝生の上に、探求の対象である獣はいた。
アカラナータが、大の字になって昼寝をしていたのだ。
普段の、ナイフのような鋭さはどこにもない。銀色の髪は陽の光を浴びてきらめき、規則正しい寝息を立てるその寝顔は、驚くほど幼く見えた。胸を大きく上下させ、完全に無防備な姿を晒している。
「
……
静かにしていれば、ただの害のない獣だな」
思わず、そんな言葉が口をついて出た。
破壊を好み、戦いに魅せられたアスラの神将。その本質は、あるいはただ、退屈を持て余した子供のようなものなのかもしれない。
インドラが静かにその場を立ち去ろうとした、その時だった。
「ん
……
インドラ
…
見てろよ
…
今度こそ
……
ぐー
……
」
はっきりとした寝言。
その内容は、あまりにも彼の思考と行動に忠実だった。
インドラは歩みを止め、こめかみを押さえて深い、深いため息をついた。鳥類に近い、という先程の仮説は、あながち間違いではないのかもしれない。
自室に戻り、再び玉座に身を沈めても、インドラの思考は晴れなかった。アカラナータの行動原理について、改めて思考を巡らせる。
力のみを信奉する獣であれば、現在の天空界において、私を執着の対象とするのは理に適っている。他の者では彼の渇きは癒せまい。
力比べの相手として私に執着すること自体は、理解できる。
だが、とインドラは思考を続ける。あの獣の視線は、それだけではない。好敵手に向ける純粋な闘争心とは明らかに異質だ。もっと粘つくような、不躾で熱っぽい眼差し。まるで、いつその牙が喉元ではなく、別の場所に立てられるかと、警戒せざるを得ないような。
最も単純な結論を導き出すならば、それは「色欲」ということになる。
(
……
貞操が、脅かされている
……
のか?)
その結論に、彼は本気で首を傾げた。
民からの信奉や、部下からの忠誠。他者から慕われることには、これまでも慣れていた。
だが、男から、それもこれほどあからさまに性的な欲望を向けられる経験は、皆無に等しい。
まさかこの身が、そのような対象になり得るとは。
万年もの間、己を律し、武人として生きてきた男にとって、獣の率直な欲望は、理解の範疇を遥かに超えていた。
インドラは静かに目を閉じ、再び瞑想を始める。答えの出ない問いは、思考の海へと沈めてしまえばいい。平和な昼下がりの天空殿で、雷帝の静かな苦悩は、誰にも知られることなく続いていた。
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