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保科
2025-06-19 19:00:00
2536文字
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その他
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こずと綴理
はすのそらくんについて2年くらい前に書いた文字列がお気に入りなので無くさないように貼っておくの巻
もう二人は居ないじゃない
「綴理、あなた
――
」一歩間違えれば侮辱ともなりかねない言葉を、迷った末に梢は口にする。
「
……
私を、運命と?」
「思わないよ」予想に反し、
……
いや、ある意味想定通りに、綴理は即答した。その眼差しは、こちらを見ているようで、ずっと遠くを見ている。
「こずが、かほを運命と呼ぶのなら。
ボクにとってのそれは、そう語られるべきなのは、そう在ってほしいのは、きっとさやだ」
その瞳が、衝撃をリフレインするように、ゆらりと煌めいた。
――
眩い一等星が捉えた、超新星。
「ここは間違えないし、譲れない」
「
……
そう」
当然だ、と梢は思う。綴理が感じたものと自分が感じたものを比較するなんて、とてもじゃないが出来っこないけれど。けれども、直感で生きているような彼女が組んだDOLLCHESTRAが、そのナンセンスな感覚と遠いモノなんてことはないだろう。ほんの僅かな寂寥は、見て見ぬふりをする。
「だから」考えに耽っていた矢先、引き戻される。梢が視線を向けると、どこでもない、こちらを見ていた綴理と目があった。
「
……
なんでこずは運命じゃないのか、納得行かない」
「は?」
「そりゃ、ちょっと、ずれちゃったけど。一緒にライブもしたのに。そういう話にならないの、おかしい」
「いや、あなた、おかしいって、
……
」
不満です、とばかりに引き結ばれた口元が、妙に小さくそんなことをボソボソ呟く。
……
不満、と、いうより。
拗ねている?何に?
「
……
何が言いたいの?綴理にとって、さやかさんが運命、
……
私もそう思うわ。逆に、不都合でもあるの?」
「ううん、そういう話じゃない」
「
―――
」
「違うよ、こず。
こずはボクのこと嫌い?」
「そ、
……
そんなわけないって、
……
話したばかりでしょう」
「うん」
ためらいなく頷くその羞恥のなさが、たまらなく自分の頬を赤くしていくのがわかる。さっきから妙に綴理の発言のタガが外れている気がして、梢は顔を軽く叩く。収まれ。
「だから。こずは、一番最初の、一番の
……
友達、だって、思ってるから
……
でも、違うのは
……
どうしたって、さみしいから
……
」
だから、と呟いて。綴理は黙り込んだ。梢は赤さの残る頬を抑えて、そんな綴理を見遣る。
……
今、彼女が何に引っかかっているのか、やっぱり、分からなかった。梢と綴理は分かりやすく『違う』人間だ。花帆だって、梢とはベクトルは違うけれど
――
真っ直ぐ思ったことをわかりやすく伝えてくれる彼女は、梢にとって指折りの理解しやすい人間であり、どうしたって綴理とは違う。
「
……
」
でも、だからこそ。分からないと感じるからこそ、もう、逃げたくはない。
「
……
」梢は眉間にシワを寄せながら、10秒ほど考え込んだ。
「
……
私が」
「
……
」
俯いていた綴理が顔を上げる。
「柄にもなく花帆さんを運命と称したのは
……
そうしたい、という衝動に駆られたからよ。
あの瞬間を、私は忘れない」
「
……
そうなんだ」
「そして、運命という言葉が過ったのは、きっと
……
その言葉をテレビで予め聞いていたから。言ってしまえば、それだけ。
そうでなければ、違う言葉で称することもあったかもしれないわ。だから」
ぼう、とこちらを見る綴理に、どの程度伝わっているのか、不安になりながら。梢は、彼女が気にすることにたりうる理由を、口にする。
「きっと私とあなたは、まだあなたと私を定義する『言葉』を知らないだけなのよ」
「
――
知らない
……
」
そうして、たどり着いた梢の結論に、しらない、と綴理は繰り返した。
「ええ、私は、そう、思ったのだけど
……
」
……
求めていたのはこういう問答だったのか。恐る恐る伺うような梢に対し、綴理は暫くぼうっとしたようにこちらを眺めて、その後こくりと頷く。その仕草が、普段の彼女と比べるとやけに勢いが良いように見えて、つまり
……
納得してもらえた
……
?のかもしれない。
「そっか。
……
そうなんだ。
つまりボクとこずは、運命じゃなくて、焼肉かもしれないのか」
「そう
……
えっ、待って焼肉って何?」
「こたつかもしれないし、昼休みかもしれない
……
。
すごいね、やっぱりこずはすごいや」
「
……
ええ、そうね、そうかもしれないわね
……
」
……
納得のされ方が妙なベクトルになっている気がするが、まあ、うん
……
。興奮しきりの綴理を曖昧にあしらいつつ、梢は静かに額を抑えた。さやかさん助けて。
ーーーーーーーーーーーー
「
……
あれ、さやからメッセージ来てた」
「あら、喫緊の連絡かしら?
そもそもだけれど、1年生は今日は8限まであるから、部活は不参加よね?」
「だと思う。えーと、ピンチでは、ない、けど
……
んー」
「歯切れ悪いわね
……
」
「んと
……
こず、動揺しないで欲しいんだけど」
「
……
?はいはい、どうしたの」
「
……
かほが、ちょっと倒れたみたい」
「
……………………
」
「こず、こず。窓枠に足掛けたらダメだよ。
もう元気だって。今も授業ちゃんと出てるって」
「かっ
……
花帆さんは
……
つまり、その
……
大丈夫なのかしら!?」
「もう元気で授業ちゃんと出てるって」
「じゃあ、つまり
……
花帆さんはもう元気で授業に出ているの!?」
「うん。かほさんは元気で授業に出ているよ」
「花帆さんは元気で授業に出ているのね
……
!」
「こず、動揺してる?」
「で、でも
……
何故、そんな
……
どうしてそんなことが
……
!?」
「えーと、体育の時、少し立眩んじゃったみたい。
かほは言わないでって言ってたけど、念の為
……
だって」
「そう
……
そうなのね。大丈夫
……
なのね。
そう
……
さやかさんには後でお礼を伝えないと
……
」
「こず?」
「綴理、なぜ手を掴むの?」
「えっ
……
と。なんか、
……
今、どこ行こうとしてる?」
「どこって
……
、それは勿論花帆さんの所だけれど
……
?」
「かほとさやは今、授業中だよ」
「ええ、そうね」
「
……
授業中の1年生の教室に、急にこずが来たら、かほも先生も、すっごく驚くと思う
……
」
「
……
」
「
……
」
「確かに
……
そうかも
……
?」
「こず、お願いだから一回深呼吸しよう」
「大丈夫、安心して綴理。私は冷静よ」
「それだけはないと思う」
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