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eclipsis
4983文字
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ミホペロ
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vespertine
ベッド上の短編二つ。※PG-12程度の性描写有り
1
2
隙間なく吸いついていた唇が離れる瞬間は少し気の抜けた音が鳴る。それを鳴らすのは不慣れなペローナで、呼吸もままならない。鼻にかかった不明瞭な声を出して体温が上がっている。ペローナに伸し掛かっているミホークは、その様子を有り有りと感じ取った。浅くなった呼吸の中でほんの少し余裕が生まれそうになる瞬間も、見逃しようなど無い。
薄ら開くペローナの唇が、わずかなひと息を吐く隙間を狙いミホークは再びキスをした。『奪っている』という自覚とともに、唇を深く重ねていく。
こういった欲の感覚をミホークは今まで知らなかった。華奢な娘をベッドに押し倒し、己の身体で囲ってしまうこの独占欲に背筋がふと震える。未だ幼気が残るペローナには抗う術など最初から無い。優しく包む愛し方のほうがきっと合う。けれどそれを差し置いても、ミホークの内で嫌に甘く宿る欲は楽しみを生む。
合わさった小さい口の奥から、くぐもった声が出始めた。ミホークの下にいる身体がピンと張り詰める気配をさせたので、ようやく唇を離す。解放されたペローナは息をひとつ大きく吸い、細い首の筋が呼吸に合わせて
撓
しな
るような動きをした。瞳には薄く水の膜が張っている。ミホークはそれらをじっと見つめた。
首から胸元にかけて透けるミルク色の肌が、その下で眠っていた血の色を表面へ浮かべ始めている。いつも真っ黒な瞳が水気で歪み、映す光を陽炎のように揺らめかせていた。ペローナは切なげに堪える。しかしその陽炎の奥で、確実な期待が滲み出ているのをミホークは見つけた。
じわじわと募る欲のひと時でも、新しいその発見は男の胸をくすぐった。ペローナの頬を手で包むようにして撫でた。武骨な指が赤らんだ唇に触れると、湿った感触が伝わってくる。ミホークは無意識に己の身体をペローナへ擦り付けた。ペローナの肌の赤みが瞬時に濃くなった。
とうとう限界が来たのかペローナは身体を捩ると、うつ伏せの体勢をとってしまった。赤く染まった耳だけ残してミホークに晒していた顔などは寝具へ隠す。ミホークは空かさず追った。これが本気じゃないという事は先程の発見で分かりきっている。ペローナの羞恥から来る咄嗟の逃げは余計に男へ火をつけた。手で娘の耳を触る。ペローナは恥ずかしそうに身体を震わせた。この一連の流れすらペローナは何も分からずやっている。ミホークはそう思うと己の火が更に燃えるのを感じた。歯の根が疼くような感覚を抑えながら耳を触る手を髪へと移した。
花の香りがするピンクの髪をかき分けて、ほっそりしたうなじを露出させる。髪の色に少し似てピンクに染まる肌へ迷うことなく舌を這わせた。弾力のある白い肌がミホークによって染められ奪われる。そう知覚すると抑えていた疼きが強くなり、ミホークはうなじに弱く歯を立てた。また新しい発見を見つける。ミホークはペローナのうなじが堪らなく好きだと気づいた。
少し昔のペローナは髪を結っていた。恋人になってからは髪をおろした姿の方が多くなっている。こうしたベッドの上だと尚更だ。ただの厄介な居候だった頃のペローナはずっとうなじを晒していた。それを何の気も無く見ていたのが、今になって贅沢なことだったとミホークは感じる。丸い頭から続くそのうなじを思い出そうとしても曖昧で、今ミホークが奪っている恋人の肌が全てになっていく。
そうして求める端からまた疼きが湧いてきた。歯に当たっている肌を舐めて、弱く噛んだ箇所から口を少し移動させる。首の付け根辺りの肌が体温でしっとり蒸れていた。ミホークは口を開ける。目に見えないペローナの香りごと食べるかのように、先程より強く歯を立てた。
「
……
あ、ぁあ
……
っ」
反射と快感が綯い交ぜになった声色でペローナは鳴いた。藻掻く手がシーツに縋ろうとする。ミホークはそれを己の手で上から押さえつけて指を絡ませた。唯すらペローナから生まれる仕草の全てを摘み取っていきたい。伏せたままの娘が喘いで蕩けた声が寝具へ埋もれ消えていくのすら惜しかった。
ペローナを求めても尽きることは無い。欲しい箇所が次から次へと溢れている。ミホークは一心にそう感じるまま、歯を立てた。
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