呪里
2025-01-09 21:25:18
2183文字
Public Code_Abyss 本編
 

episode:1 第一幕 〈いつもと同じ朝〉




 さて、歩きながら軽く私やこの世界についての紹介をしよう。

 私の名前は『魔島 呪里まじま しゅり
文字だけ見ると厨二病かと思われる人もいるだろうがこれが本名である。

年齢は18歳、学校には通ってないが一応高卒認定は持っている。家族は双子の妹が1人。親は……申し訳ないが今は教えてあげられない。
後は友人に等しい者達と一緒に暮らしている。

髪はワインレッドのウルフカット、毛先が白いのは染めたのではなく自然とこうなる。自分でも何故こうなるかは謎なんだよね。左目には昔つけた傷があり、たまにそれを興味本位で見る輩がいるのが嫌かな。


 次はこの世界について。
先程冒頭のニュースを聞いて疑問を覚えた人もいるだろう。え?魔法だって?っと
そう、私達が暮らす世界には《魔法》が存在する。物を浮かせたり雨を振らせたり動物とお話出来たり……なんて皆さんが思い描く様な魔法が使えるんです。……人間以外はね

 誰しもが魔法を使える訳ではなくてほら、周りを見てみて、犬の耳としっぽがあるお兄さんや手が4つある子供、長い髪に花が咲いてるお姉さんなどなど。魔法が使えるのはこういった人達、人間が言うところの《異種族》と称される者たちだけ。たまに使う事の出来る特殊な人間もいるけど。

 異種族がこの世界に現れたのは今から約200年程前の事。日本は明治時代あたりだったかな。人間と異種族は何度も何度も話し合い、時には殺し、殺される争いを繰り返して最終的には今のような共存関係に落ち着く事が出来たそうだ。前に妹に歴史の教科書を見せてもらったが今と比べると存在した異種族の数はあまりにも少なかった。
 


 家を出て20分ほど、到着したのはいきつけのケーキ屋さん。自分や妹へのご褒美を買うのは決まってここだ。

「あらぁ〜呪里さんいらっしゃ〜い!」

出迎えてくれたのは熊の獣人の店長さん。よく妹と買いに来るからすっかり顔を覚えてもらっている。

「こんにちは店長さん。今日ウチに来る新人ちゃんになにか用意してあげたいんだけど、オススメありますか?」

「そうねぇ〜。それなら新作のガトーショコラがあるのよぉ〜どうかしらぁ?今なら試食もついてくるわよぉ?」

「じゃあそれにしようかな。お願いします。」

「はぁ〜い♪」

店長さんはいそいそと準備を始めた。ガトーショコラか。ここのケーキはハズレは無いから楽しみだな。

「そういえば店長さん。最近良くないニュースを耳にする事が増えたけど、ここら辺は大丈夫?」

「大丈夫よぉ〜♪なんてったってこの地域は呪里さんのすぐ目にとまる場所だもの。よほどのお馬鹿さんじゃない限り悪さする子はいないわよぉ」

私の《仕事》はここらでも極小数の人しか知らないから、単に治安が良いだけだよ」

 


 試食でもらったガトーショコラをつまみながら世間話をしていると

〜♪〜〜♪

私の携帯に電話がかかってきた。相手は妹だ。

「もしもしれん?どうしたの、今授業中の筈でしょ?」

『お姉ちゃんあのね、先生から教えてもらったんだけど、今この近くに通り魔が出たんだって!実際に怪我人もでてるみたいで、もう帰りなさいって。これから最寄り駅まで集団下校するの

……分かった。お姉ちゃんがそっち行ってとっ捕まえるから任せて。憐の所には手の空いてる子を向かわせるから友達とは途中で別れて」

『うん。怪我しないようにね、お姉ちゃん』



………爆発事故の次は通り魔か。ホントにやな事が多いな最近。

「店長さん。申し訳ないんですけどちょっと行ってきます。お代はここに。すぐに戻ってきますね」

「はぁ〜い♪行ってらっしゃい♪」

トレーにお金を置いて店を出る。妹の通う学校付近までは急げば5分もかからない。

(まぁいい運動にはなるか)

これ以上の犠牲者が出ない事を祈りながら、一呼吸して私は駆け出した。