呪里
2024-11-03 16:41:17
3127文字
Public Code_Abyss 小話
 

〈貴女からのプレゼント〉

柩がいつも付けているピアスのお話


 [1週間後]
「珍しいわね。ボスが私の服を見繕ってくれるなんて」

「たまにはね、嫌だった?」

「そんな訳ないじゃない。すっごく嬉しいわ♪」

 柩は呪里に誘われて、Abyss本部から少し離れた大型商業施設に来ていた。なんでも、呪里が柩をコーディネートしたいと申し出たようだ。

「期待はあんまりしないでほしいけど、元から素敵だけど柩をここにいる人達の中で一番素敵にするから」

「ふふっそう言ってくれるだけでも充分よ」

 正直な所、柩は服のセンスどうこういった話ではなく、呪里と二人で出かけているだけで満足だった。普段は他の幹部達がいるが、こうして二人きりになれる時間はなかなかない。だからこそ嬉しかった。この時間、この瞬間だけは親友である類にも譲れない。

 「柩、あそこ。あそこのお店で見てみよう」

 「はぁい!すぐ行くわ、ボス」





 それから数時間後、何件もの服屋をまわりコーディネートを完成させた。二人は施設を離れ、公園のベンチで一息ついている。

「ありがとうボス。これ、普段着にするわね」

 そう言うと、呪里は少し満足そうな表情をみせた。

 しかし、柩には疑問に思う事があった。これまでに何度か二人で出掛ける事はあったが、服屋を巡るのは初めてだった。

 呪里は服屋に行って、あれを着てみてこれを着てみて等着せ替え人形のようにされるのが大嫌いなので極力行く事を避けていた。

「ところでボス、今日はどうしてお買い物に誘ってくれたの?」

 問いかけてみると、呪里はじっと柩を見つめて答えた。

 「渡したい物があってね」

「それって、本部でじゃダメなもの?」

「ダメっていうか他に欲しがるやつがでると困るから」

 一体何を渡そうとしてるのか柩には想像が出来なかった。

これ」

 呪里は背負っていたリュックから小さな袋を取り出した。薄紫の袋に水色のリボンでラッピングされている。

 「あら、何かしら?今開けてもいい?」

 「いいよ」

 リボンを解き袋を開くと、小さな紫色の箱が出てきた。

蓋を開けてみると

……えっ」



 そこに入っていたのは、可愛らしいお化けがついたピアスだった。

「可愛い!」

柩の髪の色と同じ薄紫の体に、水色と紫の目がついた好みド直球のピアス。しかし

凄く嬉しいわボス。でも」

「分かってる。ピアスホール開いてないよね」

 そう、以前柩が表情を暗くしていたのはこれが原因だった。

 中学生の時に一度開けた事はあるが、ファーストピアスをいれた際の激痛に耐えられず断念した経験から、今までピアスを避けていたのだ。

 あの時読んでいたのはピアスの特集。一度は諦めたものの、どうにかして付けてみたいと考えていて、類が見た暗い表情になっていたのだ。

 「承知の上でのそれだよ。よく見てみて」

 耳にさす部分をみると、金具ではなく半透明の何かが付いていた。

 「それね、ノンホールピアスってやつ。それなら柩も付けられるかなって。お化けは作った」

 「えっボスが作ってくださったの?!」

「うん、類から相談されてね。柩が付けられるようなピアスってあるかな?って……

 呪里が言い終わる寸前に、柩は呪里を強く抱き締めた。

「!……苦しいよ、柩」

そう告げても柩は力を弱める事をしなかった。
 



少し時間が経つと腕の力が弱まり、ゆっくりと柩は離れた。

「ごめんなさいボス。ビックリしちゃったのと嬉しくって」

「喜んでもらえたなら作ったかいがあったよ」

「ふふっ類にも今度お礼しなくっちゃ!」

 親友と愛するボスからのプレゼントを見て、柩は幸せな気持ちだった。自分のためにここまでしてもらえるなんて、果報者だなと。

そろそろいい時間だし、帰ろうか」

呪里はスマホを見て言った。時刻は18:00。日も完全に沈みかけていた。

「そうね。お送りしましょうか?」

「大丈夫。テレビ局にいる妹迎えに行くから」

「わかったわ」



 お別れ場所の交差点まで来て、お互いに
「また明日」
と言い、柩が背を向けた瞬間

「柩」

「ん?なぁに?ボス」

振り返ると呪里は少し口角を上げて

「ピアスをあげた意味、調べてご覧。面白いから」

そう言うと呪里は人混みの中に消えていってしまった。











その後、帰宅した柩は意味を調べると顔を真っ赤にして、ベッドの上を転がり回ったそうだ。

んもぅ。やっぱりボスには敵わないわぁ///」


ピアスを送る意味
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[あなたをずっと見守っています]