救い

長次視点のアフター軍師を書いたSSです

土井先生の失踪事件が解決して暫く時が経ち、すっかり忍術学園もいつもの日常を取り戻していた。

放課後の図書室。私が当番をしていると、同じく当番をしているきり丸が本を読みながら眠そうにしている。
「きり丸、眠いのか?」
「中在家先輩最近ずっと眠れてなくて」
「今日の当番は私だけだから、少し寝させてあげよう」
「あげる!?じゃあ遠慮なく
きり丸はそう言うと私にもたれて眠る。
きり丸のすぅーっという寝息が誰も居ない図書室に響く。あぁ、この日常を守れて良かった。

土井先生っ」
しかしきり丸は十分程度で起きた。
「あすみません。こんな感じで寝てもすぐ起きちゃうんですよね。皆はもう元の生活に戻ってるっていうのに俺は
「きり丸。私はお前が頑張ってるのを知っている。だから無理するな」
ありがとうございます」
「泣きたい時は泣けばいい、甘えたい時は甘えればいい」
先輩は一年生の時は泣いてました?」
「今のお前よりよく泣いていた」
「えー?」
「一年生の頃の私は怖がりだったし、武器の練習をしては傷を作っていた」
「なんか意外ですね。中在家先輩はしっかりしてるから、あまり想像出来ません」
……そうか。お前にはそう見えるのだな」
「中在家先輩?」
「なんでもない。もう少し眠っていてもいい」

一年生の頃、私は日が暮れるまで縄鏢の特訓をしていた。すると
「なんだ長次、ここに居たのか!そろそろ日が暮れるから帰ろう」
「小平太、もう少し練習したいから先に帰ってて」
「長次は練習しすぎなんだよ。もう、傷だらけじゃないか。ほら私といっしょに帰ろう!」
今思えば私はずっと小平太に助けられていたな。『細かいことは気にするな!』と笑う小平太に無意識に甘えていたのかもしれない。

今回の事件で私はどこか冷静さを欠いていた。
戦闘では小平太に庇われてしまったし、仙蔵の冷静な判断がなければ私は死んでいただろう。私に出来たことは天鬼から書を奪うことが出来たくらいだ。
「すぅ
きり丸が寝ているのを確認して、私は委員会の仕事を続ける。

暫くして寝ているきり丸を土井先生の居る部屋に連れていく。
「土井先生
「長次、寝ているきり丸をわざわざ届けに来てくれたのか。ありがとう」
土井先生はきり丸を受け取り、自分の布団に寝かせる。
「こいつ私の授業の時にも寝ているんだよ」
「恐らく土井先生が居るという安心感で寝ているのでは
「そうかなぁ?」
「きり丸は強い子ですが、まだ10の子供です。今日はいっしょに寝てあげては」
「私もここのところ業務で忙しかったからな、そうするよ」
ポンと土井先生が私の頭に手を置く。
「ありがとうな」
「いえ
「それにしても大きくなったなー。一年生の時に私を初めて見た時にすぐに逃げ出した長次がこんなに立派になって
土井先生は私の頭を撫でる。
やめて下さい」
「はははっ、ごめんごめん」
土井先生が笑いながら言う。
その先生の笑い声を聞きながら、私は涙をこらえた。

土井先生と話した後、私は六年生の長屋に帰り自分の部屋の扉を開く。
「長次、おかえり!」
先に戻っていた小平太が私に笑いかける。
「あれ、何か良いことがあったのか?」
もそ」

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