ロンド
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Public 奈落の大穴
 

たまごとひよことおやどりと/バラコチャ行進曲

私主催のアビスごはん合同誌『探窟家たちの食卓』にて、私が書き下ろしました小説二編の再録です。
在庫あります。→https://rondonozatta.booth.pm/items/4000993


バラコチャ行進曲


 先輩の休憩所、思い出のダイオウミーティ崖と訪い、一行は冒険を続けている。
 奈落を照らすお日さまの光は高く高く降り注ぎ、昼も夜もないような明るさであるために、時間経過が余計にわかりにくかった。リコが息を上げ始めてからしばらく、ふっと足取りを乱れすようにふらついて、しんがりを務めていたレグはそっと肩を支えた。
「リコ。少し休憩しよう」
「だいじょぶだって、レグは大げさだなー。さっき休んだばかりだし、進めるだけ進も?」
「リコ疲れたそす?」
 腰にまとわりつく白いふわふわの成れ果て。ファプタのひたいの赤い角にぴたん、とリコの汗が滴って、ファプタは跳ね除けるようにぶるぶると頭を振った。
「んなぁー。レグの云う通りにしようぜ。ただでさえ獣道すらねえような足場の悪いとこ、ずっと歩いてんだからよ。隊長が倒れちゃオイラたちも困る。それに、オイラもそろそろ休みてえ」
 先頭を行くナナチが周囲に注意を払いながら云った。ぽてぽてとなんてことないように岩肌が金属の腐食に侵されたような硬い場所を選び渡っているが、力場を観測する眼は研ぎ澄まされ、ときどき、ずんと沈むような感覚を掴んでは避けている。
「わかった。休憩しよ」
 こくり、とリコがおとなしく頷いたのを見届けて、一行は滝のほとりにキャンプをすることにした。
 滝がざあざあと遥か下方、およそ300メートル以上も流れ落ちていて、ものすごい水しぶきに雷のような地鳴りが絶えず鼓膜を震わせた。そこから平行に渡れる石造りの橋の反対側で発見した崩壊しかけている建物の洞は、枯れた蔓に覆われて、湿気がこもっていたが、身を隠せるという点でちょうど良かった。
「ふぅーっ」
 火を起こして煮沸してから冷ましたぬるま湯が喉を通っていく感覚にリコは気の抜けた息をついた。
「結構歩いたが、さすが六層は広えんなぁー」
「七層の入口にあるという光の環はまるで見えないな……。リコ、どうした? また腹を壊したのか?」
 お腹を押さえるようにもぞもぞと縮こまっていたリコが照れくさそうに頬を染める。きゅうう――と控えめな腹の音。
「えへへ……お腹空いちゃって」
「無理もねえ強行軍だもんな。しかし……今は食料といえばさっき作りたての燻製と、ボンの固形食しかねえぞ」
「固形食?」
「お姫さんは知らなくていい味だぜ」
 元気いっぱいのファプタはくるくると思案するように駆け回っていたが、不意に思い至ったようにリコに顔を近づけた。あたたかな香ばしい匂いが鼻をついて、リコはぱちくりと驚く。お日さまの光を集めたような金色の眼がリコをじっと見つめる。
「リコ、肉食えば元気なるそす?」
「うん、元気になるかも。どうして?」
 リコが小首をかしげながら答えると、ファプタは興奮したように飛び上がった。
「ファアアン! ファプタ、リコに肉、獲ってくる! そこで待て!」
「えっ⁉ ファプタ、待って⁉」
 静止は間に合わず、突風のごとく白い獣が洞を飛び出して行く。火を焚いている煙がぐにゃりとゆがんで、呆然と固まってしまった三人が残された。

     *

 そこらを行ったり来たり。洞から顔を出してみたり、ひっこめたり。はらはらと落ち着きのない調子でファプタを待つレグは迷子の犬みたいだ。
「レグ、そんな心配すんなって。お姫さんはオイラたちよりよっぽど六層を熟知してんだ。ちゃんと帰ってくるさ」
「でも! このあたりはファプタの縄張りの外だったようだし、少しくらい様子見に出ても……
「戦力バラけんのは危険だ、わかってんだろ? オイラじゃリコを守りきれねえ。お姫さまを信じて待とうぜ」
 火に採取した蔓を足しながらナナチがのんびり構えて云う。湿った葉はすぐの燃料に向かなかったが、乾かせば充分な量になるだろう。 
「ファプタ、だいじょぶかなぁ」
 ひざを抱えてライザの封書をまた読み返していたリコが呟いたそのとき、行きと同じく風のように白い塊が洞に吹き込んで来た。
「ファプタ!」
「獲物そす。ファプタ褒めるそす!」
 口に咥えていたものをぽとりとリコの足元に落とし、ふんすと誇らしげに背筋を伸ばす。ボスに獲物を見せびらかす猫、とナナチは思ったが口には出さなかった。
 キツめにかじられて血の出ている小動物が二匹、折り重なってピクピクと痙攣している。まだ息があり、か弱そうにぴるりりりりと鳴いた。
 封書も放り投げてリコはファプタに抱きつく。
「お帰り、ファプタ!」
「どうだ? 二匹も捕まえたそす!」
「すごい、すごいよ! よしよし、いいこだねー」
「リコくすぐったい」
 ここぞとリコがふわふわもふもふのしっぽを撫で回すのでファプタが身をよじって耳を上下させる。おしりがお日さまとふかしたおいもの匂いながら、白ふわなしっぽも格別にいい匂いがして、リコはまどろむような息をついた。
「それにしても、この生物、何かに似てるな……
 六層の風景になじみそうな砂色の体毛、扁平にまるく大きなしっぽがしなる姿、くりくりのつぶらな瞳に短い手足、背中のとげのようなでっぱり。思い至って、レグは、あっと声を上げる。
「リコ、こいつ三層の」
「うん、ネリタンタンだ! 大断層以外でも生息してるとは聞いたことあったけど、六層にもいるなんて」
「ネリタンタンってあれかよ? 大断層に開いた穴ん中に棲みついてるっていう」
「そうそう。バラコチャ回廊で巣を作ってて、おとなしくて捕まえやすくて、アビスで最も安全な食料のひとつなのよ。それに、バラコチャの実で育つからお肉はやわらかくて美味しいんだ」
「こいつも美味いそす?」
「うーん……見た目はすごく似てるんだけど、バラコチャの匂いしないんだよね……。花の蜜よりも甘ったるくて虫が寄って来る感じの匂いなんだけど。それに、甲羅かぶってるみたいに背中が硬い……
 リコが鼻をぴとりと六層ネリタンタンの鼻にくっつけてみても泥と乾いたうんちと血の臭いしかしない。興味を覚えたらしいファプタがクンクンと鼻を動かしたが、ファアアアンと一声鳴いただけだった。
 レグはもう一匹を嗅いでみるも、かぐわしいバラコチャよりは、よだれが染みた布団のような生臭さが強く、顔をしかめた。
「ファプタはこれをどうやって食べてたんだ?」
「頭から食う。はらわたは暴れる虫がいるが、食えんこともないそす」
「お姫さんは良くてもリコは丸かじりは腹壊すだろ。リコ、オイラはもう一匹やるから先に手本見せてくれ」
「よしきた。任せるそす!」
 腕まくりする動作をしてみせたリコは、サバイバルナイフを取り出す。
「まずは皮を剥きます」
 太い枝を地面の割れ目に突き刺し、しっぽのつけ根を壁から剥いだ枯れ蔓で縛りつける。
 ピィィという弱々しい断末魔を最期に、やわらかな腹の真ん中を縦に切り開き、両手で毛皮を引っ張ると三層のネリタンタンよりも濃い色の肉が現れる。レグはちんまりした後ろ足の肉の色と熱を残した感触におっかなびっくりながら、ずるりと衣服のように脱がしていく。
……なまあたたかい……
「んなぁー……なんか後ろめたくなっちまうよなー……
「冷えると剥けなくなっちゃうから、あったかいうちにやらないとなんだよ」
「理屈はわかるけどよー、違うモン思い出すんだよ」
 おやおやと通り過ぎていく黒い仮面を追いやって、ナナチはしっぽまで剥いだ二匹目もまな板代わりの岩に降ろした。
「次は内臓モツ取るんだよな。また保存食にするか?」
「今回は食べないでおく。もったいないけど、深層の寄生虫はお母さんの封書でもわかんないし」
 内臓モツを傷つけないように慎重に腹にナイフを入れていく。
弾力はあるが関節が甘く、骨も薄い。筋を切りながら薄い膜を破らないようはらわたを切り離した。
 こぶしほどの内臓モツをつまみあげてリコが観察する。
「ネリタンタンと構造ほとんど一緒だ……。やっぱり食べられるんじゃないかなぁ」
「リコ、ここで腹を壊したら大変だぞ」
「わかってるもん! ちょっと気になるだけだもん!」
「じゃあファプタ食べる!」
 しゅるりとリコの背後から現れ出る影。肩に一瞬重みがかかったかと思えば、リコの指から生の内臓(モツ)を奪い去っていった。
 じゅるるうじゅぴ! 丸のみしたファプタは満足そうにしっぽを揺らしながらげっぷをした。
 止めどころを見失っている手を無意味に指を曲げたり伸ばしたりしながら、レグがはらはらと息をのむ。
「おおおだいじょうぶなのか……⁉ 腹壊さないか⁉」
 リコがわくわく顔で身を乗り出す。
「美味しいそす?」
「食べれるそす」
……私も先っぽだけなら食べてもいいかなぁ」
「腹壊すくらいならマシだけど、知らない毒性持ってたらヤバイだろ」
「そうだよねぇ……やめとく……
 しゅんと口を尖らせるリコの前でまたファプタの手が生肉のかけら付き内臓モツをかっさらっていった。
 閑話休題。
 しなやかな細い骨を関節で折って切り離していく。お腹の肉は薄く削ぐように切り、しっぽの肉は一口大にぶつ切りにする。
 鍋にざく切りしたサイノナを敷き詰め、その上にネリタンタン肉を並べる。荒く砕いたトコシエコウの実、藻塩を少し。水はおたまに一杯、サイノナが湿るくらいまで。ファプタが手持ち無沙汰に鍋とリコの周りをぐるぐる駆けまわりながら訊ねた。
「また肉の鍋そす?」
「今回はちょっと変えるのです」
「リコ、火を強くしたぞ」
 煙がバンバン上がり始めた焚火を囲って石を組み、枯れ蔓を餌に燃えている焚火の上に鍋を下ろした。それから、大きめの葉を三枚重ねて蓋をする。
「これでしばらく待つそす」
 リコが高らかに宣言した途端、ぐきゅうう――ともはや隠しようもなくお腹が激しく主張して、リコはみるみるうちに耳まで真っ赤になってしまった。ナナチが慰めるようにぽんぽんと肩を叩いた。
「腹減ってたんだもんな。オイラもさっきから腹の虫が鳴ってるぜ」
「僕も早く食べたい」
「ファプタも肉食いたい」
 鍋の四方を囲んで葉っぱが揺れ動く様子を揃って観察する。ときどき火に枯れ蔓を足し、細長く昇り立つ煙を避け、葉のすきまから出てくる湯気に混じるトコシエコウの実の香気を嗅ぎ、まんじりともせずにじりじりと待った。
 ファプタは落ち着きなく爪で地面をがりがり引っかいたり、しっぽを立てて伸びをしたりと過ごしていたが、リコの膝に寝転ぶように寄りかかって下から覗いた。
「まだそす?」
「もうちょっと」
 香ばしいふわふわが絡みついて、リコは遠慮なく耳のつけ根を撫でながら答える。ファプタは気持ちよさそうに眼を細めていたが、しばらくしてまた訊いた。
「まだそす?」
……もうちょっとだけ。お鍋がコトコトして、おうたを歌っているうちに出来上がるの。って、リーダーが昔云ってた」
 リコが待てないときの口実だったんだろうな。レグは察した。
 ファプタが興味を駆られたように首をかしげる。
「おうた歌うそす?」
「うむ。ナナチ、ハリヨマリのうたの続きを歌ってみてくれないだろうか」
「改まってなんて恥ずかしいに決まってんだろお」
「そんなことないよ! 私も一緒に歌うから!」
 軽く咳払いをして、リコがくつろいでいた姿勢を正す。ファプタをやさしく撫でる手は止めないままに、遠い記憶を呼び覚ますように、眼を閉じて身体を揺らしながら歌いはじめた。

 いつしか 岩つぶては
 尾をひく 焼けた鉄の雨となり
 氷を鎧う木々を
 雲へと変えてゆきます
 狭間の空に 首を伸ばした大きな亀が
 群れをなして
 こがねの空を仰いでいます

 ずいぶんゆったりした、眠りを誘うような民謡が洞に反響する。独唱は次第に二重唱となり、うたともつかぬ鼻歌がたまに音を外しながらも参加する。最後にすうすうと吐息が三人の耳に入って、顔を見合わせて同時にふにゃりとゆるく破顔した。リコの膝で丸くなっているファプタは心地よさそうに寝入っていた。
 鍋を下ろしてじっとり水滴を含んだ葉っぱを取り払うと、くたくたに煮込まれたサイノナと鮮やかなピンク色に変わったネリタンタン肉が姿を現した。肉の臭みはすっかり消えて、代わりにトコシエコウの香りとほのかな甘い匂いに包まれている。
「旨そうじゃねーかあ」
「バラコチャみたいな匂いもするな」
「もしもーし、ファプタ? できたよ。食べる?」
「食べる‼」
 バチッと音がしそうなほどに眼を開けたファプタが勢いよく飛び上がった。リコはくすくすと笑いながらおたまを手に取る。レグからうつわを受け取ってよそうと、興奮を抑えられない様子でしっぽをぱたぱた叩いているファプタに、一番で手渡した。
「お待たせしました。リコ蒸し焼きです」
「美味いそす!」
「こら、先にいただきますだろ」
「いただきますそす」
 まだ口に入っているというのに、覚えたてのさじをこぶしで握って、かっこむようにしてファプタが肉を頬張った。はふはふと湯気を立てながら、へにゃあととろけそうな笑みを浮かべる。
「なんというかこれは……! さっぱりしていて、甘みと旨味があふれてきて、美味い……!」
「バラコチャだけじゃなくて、他の木の実も食べてるのかな? 身体も小さいし、アマカガメとの共生関係がなくて、コロニー作って暮らしてるのかも。もしかして、寄生虫がより強い消化を促しているのかな。内臓解剖したらわかったかもだけど……
「ファプタがまるっと呑み込んでしまったな。見ろ、素晴らしい光景が並んでいる」
 ファプタは肉もサイノナもきれいに平らげて、うつわに顔をうずめるようにして底についた肉の脂の一滴までぺろぺろと舐めている。リコと目が合うと、「おかわり!」と満面の笑みで要求した。コリコリしたほほ肉が気に入ったらしく、牙が付いたままの筋の多い肉を舐めしゃぶってご満悦である。
 ナナチといえば、幸福をかみしめるようによく味わって一口ごとにため息をついている。背中の殻の内側のやわらかい肉は崩れやすくほろほろにほどけて、脂の染みたサイノナとよく合った。
「んなあまぁ――……
「ナナチもおかわりする?」
「あぁ! ……あ、いや、リコが腹減ってたんだろ。おめーがおかわりしとけ」
「私いっぱい食べてるよ? しっぽのとこ、もきゅもきゅしてて美味しいね」
「ファプタおかわり!」
「おめーさっきもおかわりしてなかったか?」
「僕はあまりお腹空いてないから食べてくれ。サイノナもいるか?」
「草要らない。肉欲しい」
「だーめ。お肉だけじゃなくて、おやさい食べないと大きくなれないよ」
「マェン……わかった」
 渋々ながら、リコの微笑みに当てられるようにしてファプタが神妙にうなずいた。いいこだねー、とまた白ふわの撫で撫でを堪能しているリコは嬉しそうで、ファプタもこうべを垂れて甘んじている。レグとナナチは視線を交差させる。
「なんか……リコにはやけに素直だな」
「レグが頼りねえからなんじゃねえの? お姫様、リコに盗られちまうぜ」
「僕は、二人が楽しそうならそれでいい」
 ナナチはゆっくりまばたきをした。羨ましそうに見ているくせに。そしてニヤッと口端を吊り上げた。
「んなぁ、そうだな。リコの飯、美味いもんな」
 ファプタはガッガッとさじで無心に食らっていたが、ふいに顔を上げてリコをつついた。
「なぁに? ファプタ」
「リコは腹いっぱいになったそす?」
「うん、お腹いっぱい。ネリタンタン獲ってきてくれて、ありがとね」
「ファプタすごいそす?」
 お日さまの光をたっぷり浴びた金色の目が期待するようにリコをうかがう。リコはめいっぱいの感情を込めて、大きく頷いた。
「うん、とってもすごい! ありがとう、ファプタのおかげで美味しいごはん食べれたよ!」

     *

 トコシエコウの花畑が一面にあった。真っ白な世界を彩る白い花弁とみずみずしい緑の葉が風もなくそよいでいる。その中央で、深緑の探窟服を着た、特徴的な帽子の女の子が振り返った。
「腹いっぱいで寝ちゃったのか? 六層もだいぶ歩いたもんな」
「えへへ……そうみたい」
 プルシュカはよしよしーっとお姉さんみたいにリコの頭を撫でてくれた。その手があったかくてくすぐったくて、リコはふにゃりと頬をほころばせる。
「リコはなんでも上手にお料理してすごいな。前に云ってたネリタンタンが食べれるなんて嬉しい!」
「うん、私もプルシュカに食べてみてほしかったの! でも六層のはちょっと違ってて、背中が甲羅みたいに硬くて、食料もバラコチャだけじゃなくて、虫を食べてるんじゃないかって思ってて……
 手振り身振りに思うままに流れるリコの話をプルシュカは興味深そうに相槌をうち、ときに驚いたように息を吞み、くすくすと楽しげに笑って続きをねだった。アマカガメがバラコチャの匂いでネリタンタンをおびき寄せて振動から口を開き、まるごと胃に落として溶かしてしまう話を終えて、プルシュカは眼をまるくした。
「へえ、じゃあアマカガメってやつもバラコチャの香りがしてうまいのかな?」
「どうだろう……? わかんないや」
「リコでも知らないことあるのね」
「そりゃあもう! アビスは不思議に満ちてるんだよ。だって六層にもネリタンタンがいること知らなかったし、それがバラコチャ以外のものを食べてるなんて、原生生物図鑑を一新間違いなしの大発見なのです!」
「白笛の偉業がまたとどろいちゃうな、こども卿!」
「それ、やっぱりなんとかならない……?」
「いいじゃん、こども卿。かわいくて」
 自慢げな笑みをこぼして、プルシュカは続ける。
「あたし、前は行動食四号ばっかり食べてたからさ。リコのお料理にはびっくりすることばかりで、うまいこといっぱい知れて、次はどんなごはんが食べられるんだろうってワクワクして。リコと冒険できてとっても楽しい!」
「私も。プルシュカと冒険できて嬉しいよ!」
 またね。プルシュカ。夢でしか出会えない友達。
 風に散るようにトコシエコウの花びらにまかれて、白笛がひとりとひとつ、残された。


(終)