アビワン大阪2層と新刊二種の話など

2023/12/2(土)アビスインワンダーワールド大阪二層にて発行した新刊の話と雑文。


*氷冬本

ヘタリアが好きです。かれこれ十年くらい推しているので殿堂入りしているのですが、最近またちょこちょこ書いてたのと、一度は本を出してみたかったのです。
メインで推していたときの小説は書き始めて初期すぎてものすごい拙いので封印したい。でもできてない。
本を出すには締切がほしいのですが、ヘタリアオンリー限らず私はオールキャラしか出れない(以前は北欧会議という北諸組メインのオンリーがあったようですが今は一部CPとオールキャラだけのようです)し、書いていると言っても知り合いはいないのでさびしい。ちょうど普段と違う大きなイベントに参加するので、合わせて書いてみることにしました。
いやもっと早く同人誌出せていたら、とは思いますが、元々webメインで壁打ちしてた引きこもりなのでな

いま一番推してるアイス君で一筆書くことにしました。近年書いたもので一編(本当は二編ですが片方は短いし現パロ)あるので、追加で1~4編書けばいいかな、とページ数を稼ぐ算段。
30~40pくらいの本が作りたかった。短編集としてまとめるのでテーマ決まってたほうがいいだろうと、アイス君視点一人称小説で、国軸のいろんな国と交流する話。初期案では一般人もいた。
最終的に60pなのは最後の話がのびのび筆が乗ってしまったからです。

アイス君本は四編構成です。場所はいずれも現代(感染症流行があるかないかはふわっと書いています)
先の二編は日常ネタ、後の二編は歴史ネタ。
日常ネタは他にもイタちゃんがアイス君とジェラート食べに行く話とか、アイス君が一般人の民からお手製の本をもらう話とかあったんですが手直しする時間がなくて没に。いつか。
歴史ネタを書くにあたって、文化や歴史、土地ならではのものを調べていたら沼りました。
なお締切上一次資料にあたれなかったのでネット検索。一次資料って主にアイスランド語なんでな。日本の北欧歴史研究は少ない。ヴァイキングらへんはほどほどに詳しい研究はあれど、サガ(北欧神話~ヴァイキング時代に語り継がれたもの)はさすがに膨大すぎて翻訳すらままならず、カルマル同盟以降となるとほぼない。そのうち古書探します

ヘタリアのアイス君は、めずらしくも生まれたばかりの話が掲載(他だとアメリカと、ちょっと日本とイタリアくらい)されていて、キリスト教化以前の、最初のアイスランドという存在であることが示唆されているので、だいたい9世紀生まれ。自我を確立したのが874年頃(ノルウェー初入植)と930年(議会であるアルシング成立)のどちらあたりかわからないけど、927年成立のイングランド(ヘタリアではイギリスさん)とほぼ同年代。イギリスさんが欧州でやや年下っぽいのは母ブリテンさんがいる設定があるんでな
調べた範囲の私設定だと「アイス君の自我が目覚める→色々あってノル君の属国(支配下)に→ノル君がデンさんとスーさんとカルマル同盟結んでデンさんの属国に→色々あってスーさんがフィン君連れて離脱→色々あってノル君だけがスーさんの家に行く→色々あってアイス君がデンさんと同君連合王国に昇格→WW2にデンさんがドイツさんに占領され、巻き込まれでアイス君はイギやめりかの保護下に→ごたごたのうちに同君王国破棄、アイス君共和国として独立」
というざっくり流れを意識しています。だいたい「長いこと放っておかれて静かに暮らしていたが次第に欧州のごたごたに巻き込まれていった」。
長い間支配されていたので成長速度は遅くていつも少年ぽい言動だけど、ときおり妙に大人びている印象を抱く、というのが私のアイス君のイメージです。

イスタンブル観光の話。
アイス君とトルコさんは、クリスマスで共演をした仲。あとアイス君の夢オチ。お互いにおじさんと坊ちゃん呼び(特別な呼び方というよりはこの年齢差だとお互いそう呼ぶ感じに見えますね)。
イベント回の共演で歴史的つながりは薄い?のでプライベートの仲、と定義しています。ちなみにアイスランド←→トルコ間は飛行機一回乗り換え。
ヴァイキングの末裔なアイス君と、イスタンブルの最新の定住者トルコさん、街を通じて微妙につながりがあるの、めちゃくちゃ興奮しました。

Miklagarðr(ミクラガロルズ)は古ノルド語で偉大な都市、素晴らしい街、などの意味があるらしい。西と東をつなぐ世界の中心だったので。この言葉はアイスランド語に変化しつつ残っている、らしい(出典がブログと曖昧だが)。
表記揺れでミクラガロルズとミクラガルズ、ミクラガルドがあり、どちらかといえばミクラガルズの方が優勢っぽいことに後で気づく。ルーシの言葉混じりっぽいので地域ごとの発音の違いなのだろうか。

ノル君とデンとスーさんはヴァイキング時代にコンスタンティノープル(英名、ラテン語でコンスタンティノポリス)に滞在したかもしれない(歴史的にはヴァイキング傭兵があった)という設定。おじさんことトルコ、オスマン帝国(原作だとオスマントルコだが歴史用語では今使われない)がコンスタンティノープルに定住したのは1453年オスマン帝国vs東ローマ帝国、コンスタンティノープル陥落からの東ローマ帝国滅亡以降のことなので、ヴァイキングとオスマンは直接関係ないのですがここは街の話ということでひとつ。
コンスタンティノープルなのかコンスタンティノポリスなのか(あるいはオスマン風にコンスタンティニエ)、現トルコ語のイスタンブールなのかイスタンブルなのか、表記揺れが多すぎるんですがなるべく最新の記述や現地語に寄らせました。公文書で名前変わりすぎなんよ。
都市の女王の名称もビザンツ風なので、オスマン側の美しい呼び方はもっと色々あります。
東ローマ帝国(自称)とビザンツ帝国(西の国からの他称)なので、アイス君にはビザンツと呼ばせました。ビザンツ人はローマ人よりかはギリシャ人の家系が濃いようですが、きっと神聖ローマ帝国よりは近い。
ヴァイキングについて蛮族と記したのですが、ビザンツ側から見た呼称なのでヴァリャーグとふりがなを打つか、略奪者と書いた方が正確性に近い気がします。

ところで東ローマ帝国にあたる国は、新キャラビザンツさんなのか古代ギリシアさんなのかローマ爺ちゃんなのかで気になるところ。最後に皇帝コンスタンティノス11世自ら帝衣を脱ぎ捨て市街戦に一兵士として去ったという逸話はローマ爺ちゃんのお気に召すと思うのですが、都市の女王という呼称からギリシャさんのお母さんでも美味しい(そしてギリシャさんから二重に恨まれてほしい。だが版図拡大中の15世紀にはギリシャさんけっこうでかいんよな)。トルコさんどうなんですか
このへんのコンスタンティノープルの話は、別ジャンルで好きになってしまって調べたのが役立ちました。歴史って唐突に点が繋がるからすごい。


ほぐおクリスマスの話。
北欧では神話などと結びつきつつ「ユール」と呼ぶようですが、ヘタリアでは一貫してクリスマス呼びなので、北欧内ではユール、ドイツ内ではクリスマスと記述しています。他にも英語と現地語混ざりまくり。わかりにくくてもうしわけない。
(追記) アイスランドだとユール(丁諾典jul、芬joulu)の発音がヨウル(氷Jól)かもしれない。出典がウィキしかなくて不安だー。そしてまたしても古ノルド語由来でアイス君ちが一番原型残ってるやつだ。

ドイツクリスマスが好きで入れたかったのと、十二月の発行だったので冬らしい話になりました。
ドイツの風景はベルリンですが、私がミュンヘンとアウグスブルクあたりしか知らないのでちょいちょいごまかしてます。ドイツの屋台ごはんはなんでも美味い。

ユールラッズの話題はどうしても入れたくて入れたのですが、絶対アイス君知り合いでしょの気持ちが湧いてきたので飛び込ませました。本当は毎日訪ねてくる定型をしてほしい(が、本家で肝心のアイス君がユール前後に本国にいないことが多い)。彼らが一斉にやってきたら眠れないだろうなぁアイス君
もともとアイスランドの厳しい冬を子供に叩き込む恐ろしい存在だったようですが、近年は海外の影響や子供を怖がらせすぎないようにと、プレゼントをくれる赤い服の兄弟のイメージも定着しつつあるよう。ただし母グリーラが怖いのは変わらず。父レッパルージはグリーラの尻に引かれている人間。入れ損ねましたが彼らはアイスランド北部ミーヴァトン湖周辺ディムボルギル溶岩台地在住(諸説あり)です。ずいぶん具体的だな。

北欧ユールごはんは食べてほしいものを二~四品ほどピックアップしました。案外似たものを食べるのはデンマークとアイスランドくらい(属領時代が長いアイスランドのユールがデンマーク寄り)で、他三国は特色出過ぎてメインに迷ってしまう。ノルウェーは癖のあるごはんが多いみたいです。しかしグロッグ(ドイツ語グリューワイン)を飲むのは一緒。
子供たちに参加してほしかったので酒の量が少なめで、二階に上がったここから真夜中にかけて大人たちは酒を浴びるみたいに飲むにちがいない。(どこぞでヴァイキングの呑み方は潰れるまで呑むと聞いたんですが本当ですか?!)

プレゼントの話。
アイス君は欲しいと云われたら、みんなお揃いのロパペイサを用意するいい子さんだと可愛いと思います。
北欧の歴史は一度はカルマル同盟で統一したものの、実際には対立してた期間の方が長いんだそう。本家でも近代まで喧嘩ばかりだったのに最近は協力してて周囲に驚かれている、という設定があります。アイス君はフィン君から「18世紀まであんまり会ったことないかも」とレア存在で、パフィンに「寂しがりの癖につんけんする」と語られているので、どうせ僕なんかと諦めつつも構ってほしいの気が強そうだなあと思います。構ってもらえるならなんでもしてしまうというか
兄ノルのことをうざったく思いつつも、兄に捨てられた記憶がまだ新しかったり、つっけんどんにしても甘やかされたい甘えがあったりする関係だと思います。兄たちがいなくなると動揺するし、そして兄の好きなものを無意識に用意する。
ほぐおは皆それぞれ、クリスマスをあと何回揃って迎えられるか、を考えていそう。まだそこまで至らないのがシーランドとラドニア。
とはいえクリスマスではしゃぐかれらは、シリアスどころでなく全身ひん剝かれたり、ラドニアにサプライズサンタを用意したりと結構しっかり楽しんでいるのが可愛い。

タイトルについて。
表題はなんでかわからないけど、アイス君本を計画する前からあったタイトルを使いました。おやすみ羊CDの影響だろうか。アイスランドでは羊毛が盛んです。
アイスランド語タイトルを併記するのをやってみたくて。一単語だけ古ノルド語です。おわかりいただけただろうか。
表紙の英語は最後までアイスランド語か英語か迷った。最終的に中古ショップに流れたときに表紙1部分だけで内容が判断できるようにしたく、英語になりました。日本語よりかっこよさ重視。

装丁について。
あまり部数を刷る予定がなかったのでシンプルです。
遊び紙+遊び紙印刷をフル活用しました。
当初遊び紙を白にしてフルカラー印刷する予定だったのですが、締切直前に唐突に印刷所さんが大量の紙を入荷・更新したので変更、特殊紙+いつもと違う遊び紙+印刷になりました。多少紙で遊ぶだけならもうちょこっとさんでいいじゃないか
表紙はふんわりあったかいやわらかさをイメージして画用紙風の手触りの紙です。
オーロラとクリスマスと北欧五か国のイメージでイラストを入れています。



*参考文献
ブログや大使館や旅行ガイドを主に参考にしました。個人の滞在ブログについては主観的なものや簡易的なものも多いので、信憑性補強のためさらに複数あたっていますが省略しています。ウィキペディアは補助的に(関連性補強や単語の確認に)利用しています。

『アイスランド 大使の食卓』東京ニュース通信社
2012年発行/ISBN 9784863362123

トルコ旅行ブログ/旅行会社によるコラム トルコ文化について(チャイ、グランドバザール、歴史など)
https://turkish.jp/blog/?pg=6

ターキッシュ・カルチャークラブ/トルコ文化について(チャイなど)
https://worldclub.jp/turkish/

研究社 ルーン文字の遍歴(第七回)/小澤実(立教大学)による連載
https://www.kenkyusha.co.jp/uploads/lingua/prt/21/runes2201.html
※ヴァイキングとコンスタンティノープルの関係性についてはここから

ドイツ便り/クリスマスマーケットについて
https://doitsutsu.com/

タイトル不明/個人ブログ クリスマスマーケットについて
https://mops-germany.com/christmas-ornaments/

北欧ヒュゲリニュース/北欧クリスマス料理について
https://hyggelig-news.com/2018/12/14/16378/

ガイド・トゥー・アイスランド/旅行会社のコラム アイスランド情報について
https://guidetoiceland.is/ja
クリスマス文化
https://guidetoiceland.is/ja/history-culture/christmas-and-new-year-s-eve-in-iceland
ユールラッズ
https://guidetoiceland.is/ja/history-culture/the-icelandic-yule-lads-and-gryla

アイスベル/個人ブログ クリスマスについて
https://icevel.com/iceland-christmas/

北欧アイスランド文学の歴史(3)/PDF 北海道大学 清水誠著 2010年
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/42726/1/ARCS130_003.pdf

在アイスランド大使館/クリスマスについての記述
https://www.is.emb-japan.go.jp/itpr_ja/taishi23.html

ウィキペディア
イスタンブール、コンスタンティノープル、ルーン文字、サーガ、アイスランド文学、ユール、ユールラッズなど

恋する方言/方言変換(訛りが甘めなのでさらに手を加えている)
https://www.8toch.net/translate/