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せいたろ(sitr)
2025-05-21 19:54:57
13929文字
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通和散実演販売
文仙 仙伊 文仙伊 3P 成人向 伊視点
陰部が膨れる潤滑剤(
https://privatter.me/page/68171269453db
)を売ることを勧められ、連れ込み宿へ売りに行く計画を遂行する伊作。文次郎は女衒に、仙蔵は上等な陰間に扮して、忍務ついでで伊作に付き合うこととなる。
※時代に合わせた身売り・売買春の考察や言葉選びはしていますが、正確ではありません。
※誰とも交際せず行為に及びます。
※売買春を肯定するものではありません
あんまりにも「売れる」と言われるので、潤滑剤の調合内容をそのままに販売用の保存方法を考えた。
生のままが効果そのままを期待できるものの、販売して当日しか使えないのは買った人に悪い。水分がほとんどだから、管理が悪ければ半日で腐ってしまうはずだ。辻で客をとる立君の方々は識字率も低く、説明した細かいことをちゃんと認識してくれるか危うい。
そこで布に吸わせたものを乾燥させてみた。少し布地自体が硬くなるものの、ハサミで切ることも可能で、水をかけると馴染みよく、テロンとした粘性はすぐに戻ってきた。
ほんのり甘みをつけたのも、舐めた時の印象が良さそうだ。少しえぐみのある素材も多少調合しているが、多分気にならない。
包帯に転用できるかもと古着屋でたくさん買った薄地の腰紐があったので、縫い目を解いて一枚にすれば量産できそうだ。試しに作ったものをいくつか持って、仙蔵を誘いに六い部屋へ向かう。
「仙蔵、部屋にいる?」
ああ、と反応があって、引き戸を開ける。一人で本を読んでいた仙蔵が視線を僕に向けてくれたので、試作品の乾燥潤滑剤を見せる。見た目はくたっとした長い布切れだ。
「これ、この間の潤滑剤。」
「もう作ったのか。」
驚いた顔をする仙蔵にかくかくしかじか説明する。こういう説明はどうにも端折れなくて長くなりがちだ。仙蔵はまばたきや小さな頷きで時折興味を示しながら最後まで聞いてくれた。
「確かに、生では何日もは保たなそうだな。乾燥させるならば散薬でも良さそうなものだが。」
「粉だとちょっと扱いづらいのと、1回分ずつ売るならこの形かなって。」
会話に出して初めて、どのくらいの量が一般的な「一回」に最適だろう、と気になってくる。一尺程度に切ってみたが、幾らで売るかも、すぐには思い当たらない。
「匙で測ったりは面倒だしな、確かにこれはわかりやすくて良さそうだ。」
「いくらで、どこで売るのがいいかな。」
「辻よりも茶屋か連れ込み宿がいいだろう。揚代をちゃんと取れている者のほうが気前よく買うだろうし、評判になった時に店があった方が基盤になる。」
確かに、と頷く。過去に情報収集のアルバイトで覗いたいくつかの店舗をお互いに言い合って、近く忍務のある港町の店に決めた。
忍務はい組が受けたものだったので、日にちを合わせてお邪魔することにした。何より仙蔵が、「三人いた方がいい。あいつには用心棒みたいな顔をさせておこう」と、さりげなく巻き込む風でどんどん決めてくれた。そんなに何人も居て売れるのかな?
その日に向けていくらか量産を計画する。こうして僕と仙蔵と、またしても何も知らない文次郎が行動を共にする事となった。
当日。
いよいよ夕方決行、その時間が迫ってきている。僕は薬売りの行商、僕と文次郎が知人同士、い組は女衒と陰間
……
という設定らしい。先に忍務をこなしているい組を探そうと港町を歩くと、すんなり二人の姿が見つかった。
ひらっと手を上げる文次郎に僕から駆け寄る。二人とも身綺麗にまとめていて、仙蔵は服装こそ長着に羽織で男ものの着こなしだけれど、市女笠に垂れ衣を合わせている。
「女衒っていうから、もっと荒っぽい感じにしたのかと思ったよ。」
「この方がまともな者とも話がつけ易い。」
しれっと言う文次郎が意外で、へえ、と感嘆してしまう。僕も女衒や陰間のイメージを改めよう。高級さを持ってした方がいいシーンはきっとある。
「しかしまあ、世間話を装ったのに随分とお高く交渉されたな。」
「田舎の城主へ貢ぎ物にされるところだったよ
……
」
疲れた声で肩を竦める仙蔵に同情の気持ちはあるけれど、そりゃあ、まあ
……
と納得してしまうところもある。薄化粧が色っぽくて、今日の仙蔵は一段と綺麗だ。
話しながら、件の連れ込み宿へ移動する。少し離れたところで二人には世間話をしていてもらって、軒先を掃き掃除する恰幅のいい男性に話しかける。
「旦那様。辻君や陰間の体調でお困りごとはありませんか。」
「間に合ってるよ。」
「交合を良くする濡れ薬がございます」
話しかけた二言目で、ぱっと目が合う。
「
……
濡れ薬?」
「はい。渇きにくく、唾液よりもずっと滑ります。人により、魔羅の増大がある場合もございます。」
顔を上げた男性は、少し先で話すい組にも目をやる。
「あれは知り合いか?さっき話していただろう。」
「良いお客様でして
……
」
成程
……
と勝手に想像を膨らませている男性の、次の出方をじっと待つ。
「その濡れ薬とやら、効果を見せてくれるか。あの陰間を使って、見世で実演してくれ。」
店舗へ目をやると、男性は脇道を示す。店の側面には一畳ほどの広い格子窓がはまっていて、中で二人、店付きの陰間らしい少年が寛いでいた。
「ここで?旦那様に見せるのでなく?」
「儂だけ知っていても意味がないだろう。客と陰間で使うのだから。仕入れの判断材料にさせてもらう。」
仕入れ、というので、店主とみた。納得はするものの、ちょっと先行き不安だ。実演するとなると、何をどう見せるのがいいだろうか。
「女衒に聞いてみます。」
う〜ん
……
と考えながら二人の元へ歩いていく。
「伊作。どうだ、売れそうな反応だったか?」
ワクワク顔を上げた仙蔵に、簡単に顛末を説明する。
「実演
……
なるほどな。要はどれだけツルツルと滑るかが見えればいいのだろう?」
「そう言っても、陰間で実演と言われたし
……
色っぽい感じを要求されるんじゃないかな。」
仙蔵が、文次郎を見る。
「
……
なんだ、俺が何かするような企みか?」
「私が女衒に尽くすテイで塗りつけてやるのを見せれば良いんじゃないか?」
ん
……
?と、間が空く。仙蔵が想像の倍は乗り気だし、自分が脱がない感じでしっかり舵を取ろうとしている。
「塗りつけるって、何だ?」
流石に僕も息を飲んだ。仙蔵は今日まで、潤滑剤のことを何も言っていないみたいだ。しれっと当たり前の顔をして仙蔵が続ける。
「魔羅が膨れて滑りが良くなる液剤だ。」
何を言われたかよくわからない顔で、文次郎が反芻している。ちょっと緊張してきたけれど、あまりにも仙蔵が当然の事のように言うので、僕の出る幕が無い。
「それを、実演?」
「そうだ。陰間のブツがデカくなったって客は喜ばんだろう。この三人ならお前が一番男気のある顔だし、そこのご主人や客が通りがかった時に成程塗ってみたいとなりそうじゃないか。」
ハラハラしながら見守る。文次郎、言いくるめられてるよ、そう言い出したい気持ちもあるけれど、どのくらいの評判になるかも、陰間のフリをやりきる仙蔵も、同じくらい気になる。
「
……
まあ、お前が脱ぐよりかはいいか?」
「よし、決まりだな。伊作、良いぞ。私はあまり喋らないようにする。それから販売額だが、2〜3回ほどの量で30文でどうだ。」
強気すぎて一瞬言葉に詰まる。材料費は布地を含めたって1つ1文がせいぜいだ。
「ちょっと高いよ。」
「娯楽とはそういうものだろう。病に伏している人間に与えるものでないんだぞ。店で食う甘味だって材料費は2〜3割程度じゃあないか。」
成程、と納得してしまう。確かに、娯楽の品か。薬ならこんな値付けはしないけれど、確かに
……
?
「どうせ値切られる。そこから25文か20文あたりにしてやれば感謝されるだろう。」
したたかな提案で、まだ僕の眉間に寄ったシワが伸びない。でも確かに値切り交渉はあり得そうだ。たくさん買うなら幾ら、とこちらで促しても良さそうだ。
「う〜ん
……
3つで30文。」
「弱いな。まあいいか。」
満足しない仙蔵はさておき。連れ込み宿の方へ目をやると、店主がこちらを見ている。
やや自信がないものの、戻っていって微笑んで見せる。
「やれそうか。」
明らかに嬉しそうな反応で、今のところ店主の興味は濡れ薬よりも仙蔵にありそうだ。
「はい。ただ、僕も女衒も同席です。」
「構わん、具合が見れれば良い。表から入って左手に、見世へ出る引き戸がある。入りなさい。」
二人を手招く。店主が先に店舗へ入っていって、僕が後に続く。
「濡れ薬は水で延ばすので、小さめの桶に湯冷ましを頂けますか。」
ああ、と薄く返事をして、店主は僕と別れて右手奧へ歩いていった。小さな台所と釜戸が見える。
戸をくぐって見世に出ると、ふわっと甘く香が焚かれている。この匂い、どこかで嗅いだような
……
?記憶を辿りながら、念の為後ろに続いてくれた仙蔵と文次郎に小さく囁く。
「この香、良くないかも。口元を、何かで覆っておこう。」
ん、と二人も頷く。見世の真ん中に陣取りつつ、僕と文次郎は口布をつけた。仙蔵は市女笠から紗の垂れ衣を外して、頭から被る。
店主に持ってきてもらった手桶を受け取って傍らに置く。背負ってきた笈から漆塗りの文箱を取り出す。店主と陰間たちが、おっと小さく感嘆しながら僕の手元に注目する。
文箱を開けると、一尺ずつ切って丸めた乾燥潤滑剤が収まっている。
借りた手桶には手のひらを沈められる程度に湯冷ましが張られていて、そこに一つ、乾燥潤滑剤を沈めた。たちまち布地に水分が行き渡り、粘性を纏って緩む。桶の中の湯冷ましが、ゆったり一混ぜするととろんと重い潤滑剤になる。
陰間が一人寄ってきて、そろっと手を出す。少し幼い仕草と表情で、僕らよりも一つか二つくらいは歳下かもしれない。
粘度の濃いところを、差し出された手のひらにぐじゅっと一筋垂らす。陰間はそれをぬるぬると両手に塗り込めて、おお
……
と小さく漏らしながら様子を確認する。
「口に入っても大丈夫。甘いよ。」
舐めて見せる。多少の催淫感はあったけれど、それよりも安全性を見せておきたかった。ほっとした顔で陰間が僕の顔を見る。
「魔羅が増大というのは本当か。」
不意に、主人が声をかけてくる。近くに座椅子を持ってきて、のしっと腰を降ろす。
「はい。この者に試すのは初めてなので、ものの試しとはなりますが
……
」
振り向くと見世の真ん中で、文次郎は膝を開いて正座していて、そこに足を崩した仙蔵が寄り添っている。絵にしたら欲しがる人がいそうと、すんなり思う。ヒソヒソと時折耳打ちをして、文次郎は少し渋い表情だ。
手桶を持って、そろっと二人に近寄る。
「本当に大きくなるか、見てみたいって。」
ふむ
……
と少し考えた顔で、仙蔵がぽそっと発言する。
「ということは、薬を使う前の大きさを見せる必要があるな。」
つっと文次郎を見上げる。
一呼吸ほど黙っていた文次郎が、はあ、と溜め息を一つ吐いてから応える。
「こんな売り方、二度としないぞ。」
悪いな、と口の中で呟いて、仙蔵がするっと文次郎の太腿を撫でる。右手が袴紐を解きにかかる。肩にこてんと側頭部をつける。あまりに自然で、優しくて、見ているだけのこちらの胸が高鳴ってしまう。
袴はすぐに寛げられて、腰紐も解け、上衣の衿元がはだける。褌の上から上下に摩る手元も、仙蔵の白い手では妙に色っぽい。服装を緩められた文次郎の右手が、遠慮がちに仙蔵の肩を抱く。
口布がもごもごと薄く動く。文次郎が仙蔵に何か言うのは、僕には聞こえなかった。仙蔵は嬉しそうに目を細めて笑って、褌も解いてしまう。
ゆさっと前向きに半勃起した陰部は、細い指にくすぐられるだけで20度ほど角度を上げて勃ちきった。店主と陰間が一緒になって見聞している。陰間の視線はどことなく熱っぽく、興味津々だ。
「さて、勃起しましたね。ここにこれを擦り込みます。」
二人のそばへ歩いて行き、文次郎の左側に膝をつく。僕は潤滑剤が滴る左手で、そこを優しく握って上下に擦った。文次郎がびくりと反応して、右側へ顔を背ける。そろっとそこから、仙蔵が見上げてくる。
「お前も絡むのか?」
ごく小さな囁きが聞こえて、はたと気付く。
「すまない
……
、適量を塗るってことしか考えてなかった。」
「阿保。まあいいか。そんなに違和感は無いだろう。」
仙蔵の白い指が、文次郎の亀頭を縦方向になぞる。潤滑剤がぬめってつるつると往復して、それに合わせて僕も根本から雁首までを上下に扱く。く、う、と文次郎が仙蔵の首筋に顔を埋めて小さく唸っている。
自分に試した時と近い感触がする。握り込んだ手の中に血流を感じる。皮がつっぱって薄く張ってきた。温度が上がってくる感じがする。血管のぷくぷくした弾力が浮き出てくる。
文次郎が苦しそうに呼吸している。こそっと「痛みは無い?」と囁く。ふー、ふー、と息をしながら何度か頷く。ぎゅうっと仙蔵を抱き寄せていて、肩を抱く右手が攣りそうだ。
手桶に沈んでいる布地を取る。ちゃぷ、と軽く絞ってもまだてろてろと液が絡むそれを文次郎の裏筋に当てて、つろーー
…
っと上に引き上げる。
「ゔ! ゔ
……
く 、それだめ だ」
びくびくっ!と文次郎の体幹が跳ねて、それに仙蔵の興味が注がれる。僕が摘んだ反対側を持って、引き返す。ごく軽い接触で、文次郎の亀頭から裏筋を縦に磨く。往復する。
「う ゔぅ ぁ」
はしっと僕の手首が押し除けられる。はあっ、はあっ、と荒い息で、文次郎は頭を垂れている。
さっきよりも手に余る太さになった感じがして、そうっと布地を離す。二割増しには膨れたように見える。店主に視線をやると、興味津々に観察していた。
「確かに膨れたな。どれ、乾かずまぐわえるのか。陰間よ、見せてみろ。」
「え
……
、此処でですか。」
内心慌てつつ、格子窓を見ると馴染み客らしい男が新たに二人立っていて、見世の外から此方側を眺めている。少しでも見る者が減るようにまとめなければ、と、次に出す言葉を考える。
「その陰間も良い宣伝になるだろう。嫌ならうちのを使うかね。」
側で見ていた店付きの陰間がぱっと顔を上げる。頬を染めて、おずおずと文次郎の方を見る。それを見逃さず、表向きには沈黙していた仙蔵が店主に反論する。
「私がしよう。」
「! おい
……
」
呼吸の狭間で文句を言う文次郎に、じっと見上げて仙蔵がねだる。
「旦那の
…………
」
こち、と額を付け合わせる。間近な仙蔵の瞳に、文次郎の視線が囚われている。
「よそに
……
貸すのか
……
?」
胸が鳴る。見て、聞いているだけなのに、僕が言われたわけではないのに、心拍数が上がる。耳が熱い。文次郎の瞳が動揺している。
きっとみんなそうだ。この場を見ている者はみんな、仙蔵の美しさをどうにか観ようとしている。少し聞こえていた雑談も止まって、居た堪れなくなったもう一人の陰間が控えめの音量でつらつらと三味線をいじり始める。
仙蔵が文次郎の首筋に顔を潜らせて、甘えた猫のように寄り添う。前髪を首筋に擦り付ける。紗の垂れ布を退けて、文次郎の横顔をさりっと舐める。そのまま押し倒して、裾をはだけて馬乗りになる。
「御楼主。」
裾をたくし上げて、仙蔵の流し目が店主へ向けられる。『見ろ』と視線だけに含めて、その流し目を向け続ける。仙蔵は自ら、長着の前合わせをはだけて、越中褌の紐を解いて、つーっと引っ張り出した。ぱさっと床に落とされる褌を見て、店主は息をするのも忘れて、仙蔵の瞳を、露わになった生白い太腿を、交互に見ている。
ゆらゆらと前後に腰を揺らす仙蔵と、じっと言葉を詰まらせた文次郎の交合が、ゆっくり始まる。一つ角度を定めて腰を沈める。僕はこの濡れ薬がどれだけ滑るかを知っている。
なめらかに柔らかく文次郎が収まった。丁寧に作られた一振りの刀と鞘みたいに、すうっと引き込まれるようだった。少なくとも傍目にはそうで、かくんと文次郎の上に仙蔵が頽れてしまうまでは、ここが色を売る連れ込み宿で、この部屋が陰間を陳列する見世だなんて忘れてしまっていた。
文次郎の腕が仙蔵の背に回って、きゅう
……
と一度抱き締める。ん、う、とくぐもった仙蔵の喘ぎが聞こえる。
小声で何かを訴えている。
じっと耳を澄ませると、鼻裏で泣き出しそうに、「おおきい おっきい」と繰り返していた。
きっと誰もが、夢中で観ている。
甘えた仙蔵の声が、じくじくと耳に沁み込む。
どうしようもなく、胸が鳴っている。
やっぱり交合だった。
それでも、綺麗で、甘くて、
それでも、色っぽくて、扇状的で
ああ、
いいな。
目が離せない。とんとん下から突き上げる文次郎の太く腫れた肉棒が、仙蔵の白い尻たぶの下から現れて収まってを繰り返す。堪えられない仙蔵の甘い声が、三味線の調子の狭間に漏れ聞こえる。おっきい、ふといの、もう、もうこわい、おくふかい、うらがえ るぅ だめ、だめ あ ああ
びくん!と弓なりに背が沿って、ぶるっ、ぶるっと仙蔵が達した。荒い息を吐きながら僕の方へへたっと崩れる。ぱたりと床に腕が落ちる。
仙蔵の右手のひらに、ちらかすまいと自ら受けたらしい精液が絡んでいる。
のろっと半身を起こす文次郎は目が据わっている。男の、雄の顔をしている。僕は落ち着いていないと。心臓がうるさい。
ちょん、と僕の膝に仙蔵が触れる。
紅潮した頬を
ぽうっと蕩けた瞳を
淡く紅で染めた唇を
僕に向けて、微笑む。
仙蔵の精液がべとっと絡んだ右手を開いて、
「仔犬」
そう小さく囁いて
唇を「おなめ」と動かした。
ぎゅっと会陰がくすぐられたようで、お腹の底が痺れて、僕は静かに床に手をついて、仙蔵の右手に屈んだ。指を舐めて、指の股に垂れた精液を舌先で掬った。ぴちゃ、と音を立てた。息が乱れる。耳がじんじんしてたまらない。口布の下で、僕は犬が皿の水を飲むみたいに、仙蔵の手のひらを舐めまわした。
「いさ」
呼ばれて顔を上げる。
「脱ぎたい」
ぽつ、と呟く仙蔵に、僕は何も問い返さず手を伸ばす。腰紐を解く。文次郎がそれを手繰る。前を開ける。今日の長着は上等なものだった。しなやかな織り地に潤滑剤や汁がつかないように、退けて、手繰って、襦袢ごと袖を抜かせる。文次郎が長着も手繰って、ふんわりまとめて傍らに置いてくれる。その間に、仙蔵が甘えた仕草で僕に両腕を伸ばす。迎えるように身体を寄せると、僕の首筋に長い腕が絡み付く。
僕の肩越しに、紗の垂れ布越しに、仙蔵は格子窓を見る。客も野次馬も並んで、仙蔵が裸に剥かれるのを食い入るように観ていたはずだ。
目、
目、目、目、目
………
人目が増えている。視線をいくつも感じる。まだガチガチに反り勃った文次郎の魔羅を観て、興味ありげに囁き合う話し声がする。僕にしなだれかかる仙蔵をもっとよく観ようと、屈んだり伸びたりして食い入る衣擦れが聞こえる。
ちゅ、と耳元に唇が付けられる。
仙蔵に気を向けると、甘えた仕草で、まるい頭を僕の横顔に擦り寄せて、頬をつけ合わせてきた。紗の垂れ布を手繰って、その中へ僕を囲う。薄布の中で二人、間近に触れ合う。勝手に僕の口布を首に押し下げて、仙蔵が唇を寄せてくる。
されるまま、触れ合わせる。お互いに唇を付け合わせて、乱れた呼吸を分かり合って、どうしようもなくて、僕たちはささやかに笑い合った。
「
……
したい。興が乗った。」
文次郎が音なく咽せている。
「人前なんて仙蔵は嫌そうって思ってたんだけど。文次郎に押し付けてさ。」
「まあな
……
」
三人がわかる程度の囁き声で話し合う。とろんと声は惚けているけれど、仙蔵は訳がわからなくなった状態でも、香や潤滑剤が効きすぎたのでもなく、本当に興が乗ったみたいだ。
「お前は、したくないのか?」
問われて、言葉に詰まる。
「
……
ばか。」
ふふん、と得意げな仙蔵が太腿を僕の脚の間にするっと入れてくる。僕の魔羅をむにっと押す。袴の下で僕は勃起していて、言い訳の余地なんか何処にもなかった。
「そうだよな。」
ちゅっ、と耳に唇をつけてくれる。
「私が抱かれていると、お前も抱かれたくなるのが常だものな。」
じんと腰の内側が震える。どうして僕が、抱く妄想でなく、抱かれる妄想をしていたとわかるんだろう。
「お前の可愛いところも見せびらかそう。」
囁かれて、耳が熱い。
人前で、外はすぐそこで、格子窓にはぞろぞろと覗き趣味の男で溢れていて、僕はどうして、嫌だと思っていないんだろう。
酔っていない。
新しい薬を試した訳でもない。
それなのに、刺すような視線へ、幾つもの目へ、人前で乱れることへ、確かな興味がある。
しらふの仙蔵が、ただ興味だけで、頭から被った垂れ衣以外の着衣を取り払ってそこにいる。
そも、この姿にさせたのは僕だ。僕と文次郎が、彼の長着を剥いて白い肢体を露わにした。男たちに見せびらかした。届かないところで自慢した。無意識ながら、僕はきっと堪らなくそれが嬉しくて、誇らしくて、興奮したのだと、わかってしまった。
むちゅ、と唇が吸われて、舌を差し込まれる。大袈裟に唾液を絡めた口付けを仕掛けられる。僕からも舌を絡めて、なるべく舌が密着するように、口の中に空気なんかが入らないように応えた。時折顔の角度を変えて、舌を擦り合わせた。
仙蔵の猫科の獣みたいな仕草を、きっと男たちは食い入るように観ている。僕の唇が深く咬まれるところ。僕が口の中をまさぐられるところ。僕の舌を舐めて吸って、美味しそうに仙蔵が蕩けるところ。
仙蔵にぐっとのしかかられて、抵抗せず押し倒される。寝転がって届くようになった視線を格子窓に向けると、雄の目がじっと並んで息を潜めていた。
僕らの姿はこの後オカズになるだろう。今そこで、格子窓の下でかいているかもしれない。美しい陰間に押し倒されるしようのない商人姿の僕に、自分を重ねて妄想するのだ。
口付けながら、お互いにもう一度息が上がっていく。店主は特等席で眺めている。幼い顔の陰間がもじもじしている。僕は自ら、袴の紐を解く。上衣の腰紐を解く。褌を解く。袴から片足を抜いて、仙蔵の下で膝を立てて大きく開く。
「
……
ひと
……
観てる
……
」
「ああ。」
すっかり、勃っている。言い訳なんかない。恥ずかしい気持ちはあるものの、それを期待が上回る。
組み敷かれて、仙蔵は僕と自分の魔羅を合わせて握って、潤滑剤を塗りつける。二本まとめてぬちゃぬちゃ扱く。息が詰まる。背が反る。仙蔵もびくりと震える。
「
……
布を使うの、良さそうだったな。」
さっき文次郎が歯を食いしばっていたのを思い出す。
「僕らも、してみようか。」
どうしてか、興味本意でも問題ない気がしてくる。仙蔵が興味を示してくれるだけで、善悪が曖昧になる。普段の彼の姿がしゃんとしているから、そこに頼ってしまっている。
ちろっと文次郎に目をやると、すぐにぱちっと視線が合った。ほんのり厳しい顔をしている。
よそ見をしている間に、仙蔵は僕の魔羅とまとめて、潤滑剤を滴るほど含ませた布地を触れさせて、つーっと滑らせた。
「! ぁ、う、ううゔ 」
亀頭へのつるやかで軽いぬめりと、ごく軽くなぞられる感触が一尺分続く。背がまた反ってしまう。手でするのと感触が違いすぎる。ずっと続く、軽くて、くすぐったくて、痒くて、頼りない快感。仙蔵も、ひ、く、と小さく喉から息を漏らしている。
触れられていない根本がじじっと痺れて射精感がどっと起きる。骨盤の内側が痒みに似たもどかしさに満ちて、会陰がきゅうっと締まって、どうしてか仙蔵は手を動かせるようで、僕だけが先に達してしまった。達した後もつー
……
っと布地が移動する。
「せ、あ あだめ だめそれ とめて あ 」
わあわあ大きい声が出て、視線が集まるのも分かっていながら、我慢できない。迫り上がる感覚を抑えられず、すぐにもう一度達した。
満足げに、仙蔵が綺麗な顔で微笑んでいる。
「二回。」
囁かれて、恥ずかしくて、身体がひくついて、内腿が笑っていて、力が入らない。仙蔵の綺麗な魔羅がぴんぴんに張って、硬く下腹につくほどに上反りで勃って、僕の潤滑剤でいつもよりも膨張して、僕の尻の間にあてがわれる。
はふ、はふ、と整わない息をして、僕は脚を開いて、腰を浮かせて、仙蔵が入りやすい角度で待つ。
押し当てられて、なんにも慣らしていない僕の胎に、潤滑剤を纏った仙蔵の亀頭が潜る。今度は僕と仙蔵の交合を、格子窓の外から見つめられる。ぬーっと収まって鼠蹊部をぐっと押し付ける格好になった時、僕の中のくびれたひとつ奥に亀頭がこくんと進んだ感触が響いた。
「
…
あ ? ぅ、」
仙蔵も、なんだろう、という顔をしている。下腹が震える。大きい人に抱かれた時に角度がいいと収まるところまで、届いている。
「ここ、くびれているな。」
仙蔵が短く前後する。
ひ、と身悶えしてしまう。
くびれをわかって、仙蔵は角度を確かめながらそこを混ぜる。つこつこ擦る。その度にびくびく下半身が反応する。
は、はひ、と、うまく呼吸をできずに硬直する。快感が強い。ほんの少し動かれるだけで、腹の上にぴゅく、ぴゅっ、と汁が排出される。
「 せん、きょ う、 なが 」
うまく声が出せない。
「私が初めて届くところだ。」
囁かれて、ずうっ
……
と性感が打ち寄せる。優しい仙蔵の声に、耳の奥が、その下が、痺れて甘い。
「いっ ぱぃ でちゃ」
「うん。」
まだ出る。
まだ、ふるえている。
はしたない。怖い。
人前で、僕は、まぐわいたくて脱いだ、股を開いた、酔っても、薬に負けてもいないのに、僕は、
「
……
良い子。」
思考を遮るように仙蔵が優しく言ってくれて、うっとりと微笑んでくれて、僕はきゅうっと仔犬の悲鳴みたいな声を上げて、もう一度射精した。
「沢山気持ち良くなったな。良い子。いっぱい出して、偉いぞ。」
満足げに、嬉しそうに仙蔵が微笑んでいる。文次郎を手招く。薬酒に夢中になった夜みたいに、仙蔵の背後に文次郎が来た。僕の上で二人が耳打ちし合う。文次郎は口布を、仙蔵は垂れ衣をかけたまま、布越しに口付ける。
そうしてもう一度、文次郎が仙蔵に収まった。この二人の交合はやっぱり滑らかで、すぐにぴったりと身体が重なる。僕の上にふるふると震えて脱力した仙蔵が身体を預けてくる。
僕を穿ってくれたままの仙蔵に縋る。両腕を背中に、腰に回して、きゅうっと抱き締める。くるしい。気持ちいい。苦しい。僕の耳元で、仙蔵が文次郎を呼んでいる。
ゆっくり押して引く、穏やかな抽送が僕にも響く。仙蔵が押されると僕にも深まって、仙蔵から抜けていくとヒクヒク浮いて、文次郎の交合が仙蔵を介して伝わってくるようだった。
「せ ん」
はあ、と息を吐いて耳の中に仙蔵が答える。僕の右耳に顔を埋めて、いさく、と囁く。僕と仙蔵が同じ垂れ衣で囲われていることが嬉しい。それでも、布越しにしていたい組の口付けが綺麗で、こんなに僕と抱き合っているのにあの瞬間仙蔵は遠かった。
「せん 、 せ ん
……
」
「いさ」
低くて優しい仙蔵の声が、さみしい。
誰か
誰か、僕を
不意に、仙蔵が口付けをくれる。
仙蔵に縋った。舌を深く突っ込んで歯の裏を弄った。角度をつけて唇を合わせた。仙蔵もそれに応えてくれて、僕の首裏に左腕を通して、頭を抱えるように固定した。唾液が混ざり合って顎を伝って、時々歯が当たったけれど、そうしなければ苦しくて溺れそうだった。
仙蔵とまぐわう文次郎の抽送が早まる。その衝動が、仙蔵にさっき掻かれた僕の中のくびれに響く。
「ゔ、 ゔう ぅ、せ ゔ」
ふくらはぎが攣りそうで、快感を逃せなくて、口付けをやめられなくて、名前を呼びたくて
僕と文次郎の間で、仙蔵が腰を使っているのが分かって、僕の、
僕の中で角度をつけようとしているのが分かって
それが堪らなく嬉しくて、息が詰まった。
ぼくを
だいて
「お前を、抱いているよ いさく」
溺れてしまう。
かき抱かれて、噛み合うような口付けの合間で、いさく、いさ、と呼ばれている。
すき、だいすき、これすき、こちゅこちゅ、う うう 、 おく
絡まる舌の間で、なるべく小さく甘える。文次郎に聞こえないように、行為に夢中になりながら、絡んだ舌の中に囁く。なるべく小さく、好きを繰り返す。
僕が好きなのは、仙蔵のかたち。
僕と仙蔵が好き合っているのは、在るが儘の姿。
ぼくをしかって
ぼくをころがして
ぼくをほんのすこし、したにみて
かわいいといって
ねえ
さみしいから
わらって
「ばか。」
ぎゅっと快感に眉を寄せて、へちゃっと笑って、溺れそうな僕の頬を仙蔵の柔らかな手が撫でる。
どれが心の中にあって、どれを喋ってしまったのか、わからない。急に怖くなって、耳に雫が、汗か、涙か、ほたほたっと流れ落ちる。
「かわい い、
……
わたしの、可愛い
……
っ あ、ゔ、 んん、 んぅ」
文次郎に揺さぶられて声を途切らせながら、蕩けた瞳で僕の目を見つめている。垂れ衣の下で、仙蔵が、仙蔵の好きな人に犯されながら、僕を優しく見つめている。
「わたし の、かわいい、どう、きゅうせ、 私の、かわいい、あっ、ぐ、 ともだ ち、 わた、しの、可愛い 」
「わたしの、かわいい かさぶた」
うう、うう、としか声が出せない。仙蔵ごしに揺さぶられながら、体がぶるぶるっと震えて、しがみついてくる仙蔵に縋って、抱き締めた。跳ねるような痙攣が仙蔵の腰から響いて、文次郎の荒い息と唸り声が聞こえて、もう二人も悦くなるのがわかって
ぞぐんと絶頂した。
「楼主よ」
荒く息をする僕たちのまぐわいが止まって一拍、格子窓の外の男が声をかけてくる。僕たちにじっと食い入っていた店主の男性が我に帰り、はいはいと対応する。
「何を塗っていた。あんなまぐわいがあるのか」
「真ん中の陰間をくれ」
「一番下のは幾らだ」
「いつもの子と、あの液薬をくれ」
「一番上になっていた陰間は幾らだ」
ざわざわと集まった男たちが、店主の対応を待たずに質問を重ねる。
「一番上の、陰間ぁ
……
?」
は、と文次郎が小さく笑う。小声で、僕たちだけに聞こえるところで苦く言って、ふくく、と仙蔵が笑い出す。
僕も笑ってしまって、心が安らぐ。ほっとして、いつも通りの呼吸ができる。先ず文次郎の身体が離れて、ぐっと唸る仙蔵が息を整える。ぐちゅ、と粘着質な音を立てて、僕から仙蔵が抜ける。その一息で右足の薬指が攣って、それをぽしょぽしょ言うと仙蔵は可笑しそうに笑った。
攣ったところを摩って宥めながら、まだわあわあしている格子窓の外を眺める。身体が重い。もちろん僕の腹は自分の汁でべちょべちょで、仕方なく褌で拭う。上衣にはついていなそうだけれど、ぺしょっと汗でところどころ貼りついてくる感触が冷たい。
「こういうお茶屋も宿も小綺麗な子が多いから、文次郎はかえって高値になるんじゃない?」
「バカタレ。そんな逆張りの需要ばっかりなわけ
……
」
「そも、売らん。いくら積まれても安い。」
キッパリ言い切る仙蔵に、僕と文次郎の目が向く。
「私の知らんところで、気軽に売るなよ?お前たち。」
まるで所有物みたいに、自分の持ち物みたいに、当たり前みたいに、仙蔵が言い切る。
『売らないよ/売るか』
同義の返事を同時に発声して、ふはっと三人で笑う。
ちゃり、ずちゃ、と、小銭が落ちる音がして、ふっと意識が格子窓に向く。バラバラの銭や、紐で括った三十枚か五十枚ほどの銭束がこちら側に投げ込まれている。
「もう終いかあ?」
「まだあるか?」
「見るだけでいい、もう一度頼む」
む
……
と、明らかに文次郎が苛立った顔になる。仙蔵に襦袢を羽織らせる。仙蔵も、僕の首に垂れた口布を元通り付けさせる。
「おい」
慌てた様子で、店主が僕の元にやってくる。
「その濡れ薬、なんという名だ。いくらだ。その文箱ごと買う。」
あまりに慌てた様子に気圧されて言葉が出てこない。
「一箱に幾つ入れてきた?何箱ある?」
「二十個入って、三箱あって、一個使ったから
……
」
ふむ、と、い組が一呼吸後に
『二千文だな』
声を揃えて言う。
ぎょっとしたのも束の間、店主は急かすように
「分かった。色もつける。早く売ってくれ。」
「色ぉ?当分ご予約満員御礼だろう。」
「良い宣伝になったじゃあないですか、御楼主。」
はっきり言わずに集客効果への強請りをかけるい組に、店主は息を詰めて
「二千二百文。」
一割増しで応えるも、仙蔵も文次郎も、つらっとして返事をしない。
「二千五百文。」
まだ沈黙で、僕の方がドキドキしてきた。
「さ、三千文。」
もう一声上がって、つらっと仙蔵が窓下のおひねりの山へ目をやる。
「そこにあるのも、全部やる!」
やっと仙蔵が微笑んだ。
文次郎が僕の笈から二箱持ってきてくれて、一つ使った手元の文箱と合わせて三箱を並べる。どちゃっと紐通しの束が三つ寄越されて、それぞれ一貫文だろう、と見て分かった。何とか身を起こして、着衣はぐちゃぐちゃのまま、膝をついて頭を下げる。
「ありがとうございます。文箱三つ、お納めください。」
僕が言って、ようやく店主もほっと表情を緩めた。
「きっとすぐ切らす。また近く来てくれ。」
「はあ
……
」
近場の港町なんかで顔を覚えられたくなくて、気乗りしない声を出してしまう。
「まだ安いか?!」
慌てた店主に、仙蔵と文次郎が笑い出す。僕は慌てて、いえ、多忙で、量産も難しくて、となんとか言い訳をする。
「楼主!」
「へえ!ただいま!」
客に呼ばれてバタバタと店先へ引き戻される店主に、申し訳ないながら僕も少し笑ってしまう。
「まあまあだな。」
「まだ安いくらいじゃないか?片付けて帰るぞ。」
フン、と鼻を慣らして文次郎が立ち上がる。格子窓に背を向けて着衣を整える。
仙蔵を見て、ぱちっと目が合う。
ちゅっと口付けを宙でして見せてきて、僕はぼわっと赤面してしまう。
「
……
立てるか?」
小声で囁かれる。
最後の絶頂のとき、仙蔵に目一杯子種を注がれていて、あまり動くと腹圧で垂れてしまいそうな予感がある。
「
……
溢しちゃうかも。」
「私もだ。」
ヒソヒソする僕らに文次郎が目を向ける。
何だかわからない顔をしていて、文句も言えず、だけど言葉を探しているのが見て取れた。
僕と仙蔵は顔を見合わせて笑う。
「何だ、何を
……
こら、笑うな!」
あははっ、と笑ってしまって、二人見合わせる。
他には誰も知らない、
二人だけの秘密。
おんなじ傷のかさぶたを、ずうっととっておこうね。
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