usagipai
2025-05-12 06:22:28
2084文字
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変化


光の子として生まれた彼は、産声を上げた瞬間から「特別」だった。

その肌は淡く輝き、触れる者は「穢れを祓われた」と泣き伏し、
その声はまるで神託のように周囲に響いた。
まるで太陽が人の姿を借りて、地上に降り立ったかのようだった
村の人々は彼に名を与えることすら畏れた。
名は“メテオ”――流れ星のように、空から落ちた奇跡として。
けれどその名に込められたのは祝福ではなく、孤独の烙印だった。
誰も彼に手を触れない。
その指先に触れたら、神罰が下ると信じられていた。
優しい笑みを浮かべる大人たちは、どこか遠くの誰かを見るような目で彼を見つめた。
慈愛に満ちた顔をしていたが、それはあくまで信仰の対象に向けるまなざしであって――
人として向き合う、等しい心ではなかった。

「特別な子だから」
「穢してはいけない」
「神の器なのだから」

そう言って、誰も彼を“抱きしめる”ことはなかった。
彼が泣いても、怪我をしても、転んでも。
与えられたのは祈りと供物であって、人間の温度ではなかった。
痛みを感じても、「神の子がそんなことで泣いてはいけない」と叱られた。
冷たい部屋、立派な装飾。けれど、誰もそこに居てはくれなかった。
愛されていると思っていた。
だが、心のどこかで気づいていた。
自分は人としてではなく、崇拝すべき象徴として扱われているのだと。

だから――

初めて、ステラという名の少女に出会ったとき、彼は世界が反転したような感覚に陥った。
歪んだ色のない日常が、一瞬で鮮やかに塗り替えられた。
「どうして泣いてるの?」
その手が、初めて自分に触れてくれた。
その声が、自分のことを“人”として見てくれた。
目の前の少女は、神でも光でもなく――ただ一人の“子ども”として、彼に声をかけた。
あまりにもまばゆかった。
その温もりを知ってしまったから、手放せなくなった。

「もう、誰にも渡さないよ」
「きみが望んでいなくても、俺がきみを必要としている」

――閉じ込めてでも、奪ってでも。
それが愛だと思っていた。
彼の中で「愛されたい」という飢えは、「失う恐怖」へと変わっていった。
心を奪われた彼は、優しくしたいと願いながら、歪んだ方法でしか愛せなかった。

けれど、ペルパと出会って、ようやく少しずつ気づきはじめる。
誰かを笑わせること、そばで日常を分け合うこと。
それこそが、本当の“人のあたたかさ”だったのだと。

ペルパの無邪気な笑み。ぬいぐるみを抱く仕草。
からかいと優しさが交ざるような声。
それらが、メテオの中にあった“孤独の空白”を、少しずつ埋めていった。

メテオの光は、今も強く熱く燃えている。
けれどそれは、誰かを焦がすためではなく――
誰かを包むために、少しずつ変わりはじめている。