ガイベル
2025-05-11 03:55:38
8919文字
Public お話
 

月の溺れる海

夏の海に行く☀️🌻
砂上の楼閣 side B
単体で読めます。



──今日も、だめかな。

車外でさんさんと降り注ぐ太陽の光とは裏腹に、バジルの心はどんよりとしていた。冷房をつけたばかりのまだ生ぬるい運転席で、ふいに浮かぶ考えを追い出すように頭を振る。

……だめだめ、自分がそんなことを考えたら。
大丈夫、サニーくんも行くって言って、うなずいてくれたし。荷物の準備も手伝ってくれた。調子も悪くなさそう、だと思う。今日のおでかけはきっと、うまくいく。
きっと。
何も不安に思うことなんてない。
きっと成功するよ。


だから。

……だから。

泣くな。

泣くな、泣くな。
忘れ物を取りに行くと言ったサニーくんがいつ部屋から戻ってくるか、わからないのだから。もしかしたら……戻って、こないかもだけど。でも、戻ってきてくれたらなんでもない顔をして、笑わなきゃ。
久しぶりの海、楽しみだねって。


……これまでのサニーくんと、ぼくのお出かけの実績。それは実際、ほとんどが"あって無いようなもの"だった。もっと正確に言えば、"完遂できた"と、思えること。
どこかへ行って、目的を果たして、帰ってくる。
ただそれだけのことが、うまくいかない。
たとえば。いざ外へ出ようとなった時、やっぱり部屋の中にこもって出てこなくなってしまったり。あるいは目的地の直前、目の前でも。彼は……、彼は、突然動けなくなる事もあれば、心配になるほど青ざめ、具合が悪くなってしまうこともあった。傍目で様子を見てもわかるように目がまわり、冷や汗が止まらないような、そんな感じ。
そういう時は少し休んで、そのまま帰る。
それが、今の日常だった。

また一緒に新しい思い出を作ろうという願いは、中々うまく叶わない。


・・・---・・・

今から少し、昔の話。
今日みたいな、底が抜けたように高い青空の広がっていた、あの夏の日。うだるような暑さを外に締め出したうすら寒い病室の中で、目を覚ましたサニーくんがみんなに過去の真実の全てを話し、そして引っ越した。

それからほどなくして退院したぼくも結局、何かから逃れるようにあの町から離れた。
サニーくんのおかげでもうあの影は見えなくなっていたけど、ぼくは血の繋がった近しい家族もいなくなってしまったし、遅かれ早かれそうしていたと思う。一度そのことでいつまでも帰ってこない両親に連絡を取った時も、特に賛成も反対もされずに、そのまま了承された。
それはともかく……おばあちゃんの葬儀の時くらい、帰ってきてくれても良かっただろうに。


そうして広い都会の一人きりの生活にも慣れ、数年ほど経った頃。
広いはずのこの都会の片隅で、どういう因果かまた、彼と出会った。意外にもずっと生活圏が重なる位置に住んでいたらしい。気がつかなかったのも不思議なくらいに。

ぼくはその時、自分の趣味と特技を活かした花屋をしていて、仕事のために使う少し大きな車が手元に増えた事以外は、特に大きな変化もなかった。他に大切な持ち物といっても、アルバムはサニーくんの元にあるはずだったし、とりあえず自分を必要としてくれる植物たちと……あとは、もうほとんど置物になってしまっている思い出のカメラが、自分の持っている最低限のものだった。
サニーくんの家……いや、家族がどういう形になっているのかは知らなかったが、どうやら彼も今は一人暮らしをしているという事だけが、その時わかる事だった。
そうして出会ってからは、またサニーくんと二人きりで過ごすようになった。お互い暇な時に会うだけで、特に決まって何をするわけでもなかったけれど……数年離れた期間があってもやっぱり、彼の隣は心地よかった。
……そして、それから二人で郊外に少し広い家を借りるのに、時間はかからなかった。

あの町から引っ越す前より大人びて、少しだけ顔色の良くなったように見えるサニーくんと、言葉少なながらもまた手を取り合って、支え合っていこうと再び約束をした。
嬉しかった。と、思う。

二人ぼっちの暮らしの中で、だんだん普通の友人同士ではしないような触れ合いをするようにもなった。でもそれは多分……恋人同士のやりとりというよりは……同じ過去を抱えた同士の慰め合いだと言われれば、そちらの方が適切な気もした。
サニーくんがどう思っているかは知らないし、なんとなく知りたくなかった。なによりなんだかもう、彼が隣にいて、自分のことを嫌いにさえなっていないのであれば、自分たちの関係の名前など、なんだっていいような気がしていた……

よくない何かが、また徐々に彼を苛んでいるかもしれないことに気付いたのは、そんな日々の積み重ねの中で。お出かけを試みた時の反応が一番顕著ではあったけど、時々ぼんやりどこかを見つめている時も、心ここに在らずで反応が鈍くなったり。でも、そういう違和感についてもどうすればいいのか、わからなかった。それに、誰かに相談すると言っても……。たとえば病院にかかると言ったって、こんな症状いったいどこの、誰に診てもらうというのだろう。
あの町よりも広く顔見知りが少ない都会とはいえ、人の目だって避けられるわけでもない。それに、実際の罪には問われていないとはいえ……取り返しのつかないことをした身で、たとえば精神病院にノコノコ行って、うっかり入院ともなれば、どんな扱いを受けるのか、帰って来れるかどうかもわからない。……ああいうところは、面会さえ難しくなるような話だって聞く。
ぼくはそれは嫌だったし……何より本人もあまり望んでいないようだった。それに自分だけならまだしも……ぼくの判断で、彼を社会的に殺してしまうわけにはいかなかった。

自覚のなさそうなサニーくんに『一度家族に連絡しようか?』と聞いても、どうして?という不思議そうな顔で首を横に振られて終わってしまう。それからもっと他の人……、あの町のみんなには……正直、ぼくたちはまだ許されていないのかもしれないと、思っている。
繋がりが全く途絶えているわけではない。
折にふれ電話をして、何度かまたみんなで会わないかと提案してみた事もある。ただ、それは各々の忙しさを理由にずっとはぐらかされているような、先延ばしにされているような感覚も否めなくて。それにぼくだって、電話口の声色だけでもやんわりとした拒絶か否かくらいはわかる。

だからあまり、それに期待するのもやめた。
でも今のサニーくんにはそんな事とても言えないから、みんなも忙しいみたいだねなんて言って、ずっとそのまま。……一方で、サニーくんが誰かに電話をかけたり、連絡をとっている所は、見た事がなかった。

無自覚そうなサニーくんの反応の通り、早く対処しなければすぐ死に至るような、大きな問題が起こっているわけではない。
だからまだ、大丈夫。

ただゆるやかに、穏やかに、音の調子がはずれていくような日常に、すこし不安があるだけ。
でも、また離れ離れになるよりは、ずっと。
……ずっと、よかった。

ぼくは、それで。いい。


・・・---・・・

頭と身体を休ませるためのベットで、どこか憔悴した顔をしながら横たわるサニーくんの隣に寄り添う。
光を映していない瞳がぼくを見つめ、言葉が紡がれる。静かな声色は普段からあまり声を出さないせいで、少し掠れていた。
……バジルって、意外と甘えん坊だよね」
…………。そうかな……
そう思うのであれば、それはきっと、他でもないサニーくんにだからだけど。
「ねえ」
……どうしたの?」
珍しく少し話したそうなサニーくんの様子に目を細める。
「すこし……思い出した事があって」
……なあに?」
「いい、アドバイス」
バジルがシーツの海に適当に投げ出していた手に、サニーの指が重なる。体温はあまり感じられなかった。一度そちらに目をやってから、彼の言葉を待った。
………………
「な、なに……?」
「──痛みは……、痛みは、いつか癒える。」
それはどこか言い含めるような、言い聞かせるような、静かな言葉だった。
そうか……でも、ぼくはどこも痛くない。
ただ、今は君が──、いや。
「それは…………誰の、言葉?」
その問いかけにサニーくんは静かに目を閉じた。
しばらく応えが返ってこない。もう眠るのだろうか。
日々のやり取りの中で、こういうことも少なからずあった。会話が唐突に終わり、置いてきぼりにされる感覚も否めないけど、仕方がない。
……賢者の…………
…………そう」
耳聡く、こぼれた言葉をそっと拾った。
……賢者の言葉、かあ……
うーん……
……そういう感じのアドバイスならぼくもひとつ、思い出したかも」
……どんな言葉?」
「えーっとね……
たとえば……

『──誰にも知られない限り、何してもいいよ』

その言葉に、すこしだけまどろみの中にいたサニーくんの目が驚いたように見開く。
その時やっと自分の発した言葉が、自分たちにとっては正に、あまりに良くない教訓だったと気がついて……バツの悪い気持ちになった。
するりと口をついて出たそれは、はたして一体、誰の言葉だっただろうか。……こんな愚かな考えは、賢者の言葉ではないことだけは確かだろう。
でも、これはその昔……
……もしかすると、いつかの自分が、言ったのだっけ──

「ごめん、なんでもない。おやすみ」
そう声をかけて目を閉じる。
……ぼくは、この後に及んでまだ傷つきたくないのだ。


・・・---・・・

再び使いはじめていたあのカメラも、新しいアルバムが埋まらないうちにサニーくんが籠りがちになってからはまた、埃をかぶることが増えている。
毎回、出先で使われる事のなかったカメラの重みがその帰路で数倍、数百倍の重さに感じられるから。そして新しい思い出を残せないなら、わざわざ持っていく意味もなかった。

時々少し寂しい気持ちでアルバムを見ながら、思い出をなぞる。遠い昔のぼくは、みんなの何気ない、自然な、そのままの表情を撮ることが好きだった。マリちゃんがいて、サニーくんがいて。……みんなが、笑顔で。
もしかしたら、そんな本当の本当の昔みたいな関係に戻ることをもっと早くのうちに諦められれば、楽だったのかもしれない。わかっている、みんなとも、サニーくんとも違って、前に進めずに戻りたい戻りたいとわがままなのは、他でもない、ぼくだ。だからそもそも彼はやっぱり、こんなぼくと一緒にいるべきではないのだろうか。いつまでも隣にいたって何の役にも立たない気がしていて……でも、それを認めたくない気持ちにまだ、蓋をしている。

時々、それが溢れそうになるだけ。


・・・---・・・

閑話休題。

それで、そう。今……今日に、至る。
今日は海に……海に行こうって。

一人でいると、ついこうやって過去から今までを反芻してしまう。そしてもし、もう二度とうまくいかなかったら……という考えがどうしたって頭をよぎって、あふれ、頬を伝う。

ただ、今サニーくんが車に戻ってきてぼくのこのありさまを見てしまったら絶対、不安になって落ち着けないだろうし……。そうしてすぐに二人で快適な家の中に逆戻り。お出かけなんか、夢のまた夢だ。
次にいつ、彼の気が向く、このチャンスが来るかもわからない。早く泣き止まなきゃ、だめだ。

しかし、頑張って止めようとするほど余計に溢れてくるもので……。ぼたぼたと頬を流れるそれを何度も、何度もぐしぐしと乱暴に拭った。きっと目元が赤くなってしまっているから、それをどうにか誤魔化さないと。そう思ってなんとか涙を押し留めて鼻をかみ、車に備え付けているサングラスをかけた。
ぼくの薄い色素の瞳はもともと太陽の光に弱いから、こんな日差しの強い日には嫌でも必須のアイテムで。……だからこれが本来の用途だけでなく、腫れた目を隠すための物だなんて、誰も……

……きっとサニーくんも、夢にも思わないだろう。



・・・---・・・

黒いリュックを大事そうに抱えて戻ってきたサニーくんを迎えて、車を静かに発進させた。
目元は隠せても、口を開けば声が震えてしまいそうで、なかなか言葉が出てこなかった。そうして何を喋るわけでもない無言の車内には、申し訳程度の音量で流しているお気に入りの曲がループする。
サニーが覚えているかはわからないが、昔聴いていたミックステープを一緒に聴かせてもらった時の曲だった。

しばらくすると隣からうつらうつらと眠そうな気配が感じられたので、小さな声で着くまで寝ていても良いよ、とだけ声をかけた。
囁く程度に出した声は、震えていなかったと思う。


・・・---・・・

昼前に何とか無事、目的地近くの駐車場に到着した。
サニーくんもぼんやりとはしていたけれど、いつもみたいに具合が悪くなっているということもなさそうだ。
……あと、少し。本当に、あと少し。

海へ向かう道中には、道ゆく人々を捕まえるようにキッチンカーが出ていた。
メニューを見ると意外と豊富で、軽食からお土産まで色々あったが……そういえば今日は来ることに必死で、ご飯の事とか、全く考えていなかった。サニーくんの最初のお目当てはかき氷みたいだったけど、ついでに色々買っていこう、ということになった。

サニーくんがかき氷の他に選んだ、カロリーの高そうなサンドイッチと、ぼくの少し軽めの野菜のサンドイッチ。成人男性の昼食としてそれで足りるかと聞かれれば、正直まったく、足りるわけがない。
でも、……普段の家では平気でも、調子が悪いとサニーくんは好物でも半分くらいしか食べられないことがあるから。食べきれない分はそのまま捨ててもいいけど、ぼくは自分の胃袋の空きスペースを確保するのが、いつのまにか習慣になっていた。


・・・---・・・

遠くに見える水平線、光を反射する水面。
目の前一面に広がる、海。

暑い日差しの中、砂浜について自分たちのスペースを確保する頃には、手元のかき氷は半分ほど溶けて液体になってしまっていた。自分のはもう既に半分くらい、色付きのジュースみたいだ。
そういえばどこで見聞きしたのかは忘れたけど、かき氷のシロップは色をつけるためだけのもので、実際には味はどれも変わらないらしい。何も変わらないなら、選ぶ意味も特にないけど……いつからかなんとなく、ぼくはいちごを選ぶようになった。
なぜか心惹かれる、真っ赤な赤色。
サニーくんのかき氷は色々な色が混ざって溶けて……宇宙みたいな、紫色に見えた。

食事もそこそこに落ち着いたころ。
今までの積み重なった心配をよそに、拍子抜けするくらいにあっさりと海に着いてしまって、逆にどうしよう、と思う。提案からここまでが突発的な事とはいえ、正直無計画にも程があった。ぼくたち二人とも特別海水浴が好き、というわけでもない。

でも、それなら………
「お城でも作る?」
今二人でできそうな事を、精一杯してみたかった。

サニーくんもぼくも。もちろん、今の今まで砂の城を作ったことがないわけじゃない。昔、みんなで海に行った時にも散々、たくさん、色々な形を作っていた。
でもぼくが本当にしたかったことは"砂の城を作る"ことではなくて……ただ、ただサニーくんとの前向きな共同作業をするという、ひどく抽象的なことで……、そして、重要なことだった。


・・・---・・・

砂の城を作る途中、だいぶ日も傾いて、涼しくなった頃。
休憩のためにパラソルの元へ戻り並んで座った。
邪魔になった帽子やサングラスを横に置いてしばらくぼーっと海を眺めていると、ふいにサニーくんの身体がすり、とこちらに触れる。
ぼくがそれに反応するより先に、そのまま丸くなるように身体が落ちてきて、ぽすりとぼくの膝の上に彼の頭が収まった。
「んん……
「えっ…………?」
突然のことにびっくりして何も言えないでいると、眠たげなとろりとした瞳がこちらを見上げた。
絡んだ視線の先のその無防備な様子はどこか甘えを含んでいて、瞬間、ぶわ、とぼくの顔に熱が集まる。ここれって……膝枕、だよね……
ぼくの反応を見てサニーくんは我に返ってしまったらしく、みるみる表情が固まる。そしてがばりと勢いよく起き上がろうとするのを、咄嗟に引き留めた。
「ごめん……
……いいよ。大丈夫」

そう言って、ほとんど無意識に彼の頭を撫でた。
そしてもう片方の手は起き上がる事を止めるように彼の胸に添えた。サニーくんの鼓動が手のひらから伝わって、そこからどんどん、自分の輪郭を形作るような気がした。……それが自分も生きてここにいるということを、思い知らせてくる。
…………………生きている。
トク、トク、と、控えめに、静かな音を刻む彼の心臓の音を感じる。

生きている……………
普段は青ざめたように白い顔も、この暑さのせいなのかはたまた別の理由か……今日は少しだけ、血色が良い気がした。今までした事がなかった、外での恋人同士かはたまた家族みたいな寄り添い方も、開き直れば落ち着いてきて……今度はもう少し、もう少しだけ長く、このままでいたいと思った。


・・・---・・・

日がとっぷりと暮れて、丸い月が海を泳ぐ頃。
ついに砂の城は完成した。
完成、といってもまあ、他の人が見たらきっと、なんて事ないただの砂の山なんだろうけど。
でも二人で一緒に作り上げたものは、今この瞬間、何よりも大切に思えた。……こんな事ならカメラ、持ってくるんだったかな。そう思いながら、砂の上に寝転がり、じっと城を見つめる。

「サニーくんとね、どうしても一緒に作ってみたかったんだ。だから、嬉しい。ありがとう。」

……こうして満たされた気持ちの時のほうが、これが最初で最後で、もう全てが終わりでもいいなんて思うのは、どうしてだろう。

あっという間だったけど、夢みたいな一日だった。
今すぐ誰かに『やっぱり夢だったよ』と言われても、納得してしまいそうなくらい。

「また一緒に色んなこと、しよう」
……うん、そうだね。」
やけにはっきりとしたサニーくんと言葉とは裏腹に、ぼくはぼんやりとした言葉を返す。

砂の城の背後に広がるのは、昼とは印象が様変わりした吸い込まれそうな黒い、暗い海。
寄せて返すさざなみの音。
静かに、優しく、そちらへ呼ばれているような気分。

──やっぱり、明日には崩れちゃうのかな……

カシャ、というシャッター音が響いて、一瞬強い光が起こる。
驚いてそちらを振り返ると、いつのまにかサニーが持っていたカメラが写真を吐き出したところだった。

………サニーくん、………カメラ、持ってきてたの?」
「うん」
そっか。
……あの時、サニーくんが部屋に取りに行った忘れ物って、カメラだったんだ。

思い出を残すための……
ぼくの、宝物。

「こういう時のために、持ってるんでしょ」
出来上がった写真を大事そうにポケットにしまうと、サニーくんは控えめに笑う。
それは泣きたくなるくらい、綺麗な景色だと思った。

……じゃあ、サニーくんも、撮らせてくれる?」
改まって写真を撮られる事が苦手な自覚のある彼は、ぼくのお願いに少し恥ずかしそうにはにかみつつ、それでもそっとカメラを差し出してくれた。


・・・---・・ ☀︎

海に浮かぶ不実の月が、背後から未だにぼくを呼んでいる気がする。
……でも。

──『帰ろう。』

サニーくんがそう言って差し伸べてくれた手を取る。そして、しっかりと握り返した。

ぼくの意識が現実の方を向き始めると、急にヒリヒリとした痛みを自覚し始める。腕と、脚……。と、いうことは……いけない。
日焼け止めのこと、すっかり忘れていた。半袖にハーフパンツという軽装で腕も足も今日一日剥き出しだったから、どこもかしこもすっかり赤くなっていそうだ。ああ……これを彼に隠し通すのは少し、難しいかもしれない。……やっぱり最後まで全部が全部、上手くいくという事はないけど。それでも。


帰ろう。帰ろっか。



心地よく月が沈む海の方じゃなくて。
柔らかな太陽みたいな、君の元へ。


そしてこい願わくは、次もまた一緒にどこかへ。


end.
☀︎ ❀ ☀︎ ❀ ☀︎




__
おつかれさまでした。
お読みいただきありがとうございました。

23年ごろから孤独に暖めている☀️🌻ウィピングボーイパロの漫画が読みたい(突然話変わりすぎ)
毎回瞬発力や力がなくてでも綺麗な絵でサニバジ主従漫画、めちゃくちゃ見たいと思います。。お坊ちゃんサニーくんにご奉仕やお世話してくれる天涯孤独バジルくん見たすぎる。
サニーの身代わりで折檻受けるバジル、好意がうまく伝わらないサニー、サニー家の庭の手入れしているバジルとかで1年半ぐらいひとりずっと捗っている。テンプレだろうが両片思いで無駄にすれ違ってる所が見たい、サニバジ工場の偉い人に取り次いでください……たのむ〜頼む頼む頼む(?)

全然関係ないけど勝手にサニバジ概念だと思ってずっと欲しかった缶を得たので誰かついでに見ていってください。

 
ここは日記か?
売上の一部を保護猫活動に寄付しているそうです。(現在もかは不明)

終わり。