かなざわ
2025-05-04 18:23:00
4458文字
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君は愛されているよ

芽衣子生存、司の下宿先が鴗鳥家になるIf
タイトル通り愛されててシングルスケーターになる司くんが見たくて設定捏ね回しました。設定説明が主です。小話ぽいものは2ページ目以降。


弟疑惑

司17歳、慎一郎27歳

 名港ウィンドFSCに入った新人が凄いらしい。最初に聞いたのは、そんな噂だ。
 司は14歳から独学で滑り、クラブに入ったのが16歳の頃。そこから破竹の勢いでバッジを取得し続けている。
 物心つくかつかないかの幼い頃から始めているのが当たり前と認識されているフィギュアスケートを、その年齢から始めようというだけで大分目立つ。
 次に聞いた噂は、件の新人が鴗鳥慎一郎に目をかけられているらしい、というものだった。
 エイヴァ宛に送られてきた動画をヘッドコーチに持ち込んだのは他ならぬ慎一郎だったので、きっかけを作ったという観点からみればそうなるのかもしれない。
 そうしてここ最近耳にした噂では。
「司くん、今度は病気で療養していた弟、らしいよ」
「病気? 療養? 弟? 誰がですか?」
「司くんが、私の弟だって」
「はいいいいい?」
 何の話なんですか、と目を白黒させている。
 慎一郎はこの話を最初に耳にした時、驚きを通り越して思わず笑ってしまったのだが。
「噂話って面白いね、どこをどう走ってそんな話が出てきたんだろう」
「え、あの、慎一郎くん。その話は否定したんですよね……?」
「ご想像にお任せするよ、って言っておいたかな」
「どうして?!」
 本人がハッキリ否定しないとなれば、その噂は面白おかしく広がっていくばかりだろう。尾鰭も背鰭も、何なら角や羽もつくかもしれない。
 回答を煙に巻いたのは、突拍子もない噂話が最終的にどんな着地をするのか見てみたかったというのが一つ。
 それからもう一つは。
「司くんが本当に弟ならいいなあ、と思ったからだよ」
「ひえっ」
「エイヴァとは仲良くしてるし、理凰は懐いてるし、今でも十分弟みたいなものだけどね。他の人からそう言われるのはまた別腹という感じかな」
……慎一郎兄さん」
「! なんだい、司」
「い、一回だけですから! これ以上は呼びませんから!」
「ええ、録音し損ねたからもう一回だけ」
「しないでください!」