かん
2025-04-21 20:35:55
9796文字
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学校一の美人さんとの真剣勝負は、何故か不戦勝に…

的野美青さん

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前回。


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「じゃあ、テスト返します」

テスト返却の最終科目。

1番から順に教卓へ向かう。






"勝った方は負けた方にひとつ、なんでもお願い
できるってやつ"







彼女との約束からはやくも1週間。

これで、決着が着く。

この2週間、全力を尽くして勉強した。

後は、勝って的野さんに想いを伝えるだけ


「●●くん」


神妙な面持ちで教卓へ


〇〇:ありがとうございます




94



〇〇:よし

自己採点通りの結果。

クラスでも上位のはず。

後は、彼女が何点なのか




「はい、じゃあ解説していきます」


しかし、最後まで彼女の名前は呼ばれない。




視線を横にずらすと


誰も座っていない机がひとつ。




的野さんは、このテスト期間

一度も登校することはなかった。










テスト初日の朝



〇〇:

ひとり教室で最終確認。

今回のテストはいつもとは違う。

いろんなことが懸ってる。

いつものテストよりもずっと、緊張していた。


〇〇:ふぅ

大丈夫、いける。

テストも告白も、うまくいく



愛季:おはよー


〇〇:あ.


瞳月:おはよ


「おはよー」

的野さんとよく一緒に登校してる2人が。


〇〇:


しかし、彼女の姿がない。


「あれ、的野さんは?」


愛季:それが体調崩したみたいで


「えっ?」


〇〇:えっ


瞳月:ん?どうしたん?


〇〇:あ、いやなんでも


「えっ!?大変今日テスト初日なのに


愛季:うん


「成績、大丈夫かな
 

愛季:まぁ美青賢いから、成績は大丈夫だと
思うけど

確かに、進級には問題ない。

でもそれじゃあ


瞳月:美青、落ち込んどったな


愛季:うんそりゃ大事なテストだから


瞳月:真面目やな、しーやったらラッキーって
思うけどな


愛季:しーは美青ぐらいの点数ないでしょ笑


瞳月:やかましいわ


〇〇:あ、あの


瞳月:ん?


〇〇:的野さん何か言ってた


瞳月:なんかって?


〇〇:いや、そのなんでも


瞳月:いや、特には


〇〇:ありがとう


瞳月:全然いいけど



〇〇:ぁぁぁ

絶望感により机に突っ伏す。

終わった


今までの努力が、水に流されていく。

的野さんが来ないと

的野さんが居ないと、まるで意味を成さない。



「はいじゃあ鞄前後に」

「トイレ行っとけよー」

「机の中何も無いなー」






「おいっ!」



〇〇:



「お前だよっ!●●!」


〇〇:はっはいぃ


「お前舐めてんのかカンニングにするぞ?」


〇〇:へっあ、すいませんっ

頭が真っ白になって何も聞いてなかった。

慌てて雑に広げられた教科書を鞄へ。



「じゃあテスト配るぞー」


切り替えろ切り替えろ。

大丈夫明日からの教科で勝負すれば良いだけ。

あの約束をしたんだ、きっと来るはず



「始め」


〇〇:はぁ


無理だ立ち直れない。

テストで点取ることより告白が先に来てしまった。

いつもならテストが命なのに


〇〇:あぁ


………


〇〇:



バシッ



〇〇:いたっ


問題を解け」


〇〇:あ、すみません


あんなに勉強したのに、それどころではなくなってしまった。





*****





「じゃあ次来る時は



テストの総合順位、もちろん一位だった。


勉強会したから敵なしというか

的野さん以外眼中になかったというか.

本気で勝ちたかったらというか

まぁそれも、肝心の的野さんがいないから、
全部終わり。


次会う時は終業式。

そして学年が上がりクラスが変わる。

もう彼女との関わりは断たれるだろう。




まぁ短いけど楽しい時間だった。

僕なんかが彼女と一緒にいてはいけない。

学校一の美人さんと、勉強会できたことは記憶に残り続ける。



「あのー、誰か的野さんのお家に大事な書類を届けてほしいんだけど誰かいける?」


やっぱり的野さんに会いたい

会って、ちゃんと想いを伝えたい

終業式はまだしばらく先で、時間が長ければ
長いほど気まずい思いをするだけ。

それに、もう的野さんに覚えられないかも





でも仮に今自分が手を挙げても、なんでお前がって雰囲気になる。

そもそも的野さんのお家知らないし。


愛季:はいっ!しぃーと行きますっ!


瞳月:は?


「じゃあ、この後職員室に来て」


愛季:はいっ!


瞳月:聞いてへんけど?


愛季:


瞳月:

こそこそ何かを話す2人。

自分にもそういう相手がいれば



彼女がいないと自分は、またあの時と同じだ。










ガラガラガラ


誰もいない。

いるはずないのに、図書室に来てしまった。


いつもの席に座って、テストを机に広げる。

ここで点数を言い合って

勝った負けたなんて盛り上がって

勝って、想いを伝える。


淡い妄想が消えていく。


最初はひとりが当たり前だったのに。

今、ひとりだと寂しい。



〇〇:.帰ろ


もう、思い出として消費する。

辛いだけだから。




ガラガラガラ




愛季:いたっ!


〇〇:え


瞳月:な、しーが言った通りやろ

いきなりさっきの2人が図書室へやって来た。


愛季:なんでわかったの?


瞳月:最近美青とここで、イチャイチャしてんの
やろ?


〇〇:はっ!?してません


愛季:〇〇くんほんとに〜?


〇〇:え名前


愛季:あれ?違った?


〇〇:あってます


初対面、そして異性に名前を呼ばれることが
ほとんどない。

彼女以外に。



愛季:ごめんごめん笑、美青がよく名前で呼んでるからつい


〇〇:全然、大丈夫


的野さんは普段、自分をどう話すんだろう

悪く言われてないかな

ちょっとは、異性として見てくれてるのかな



瞳月:愛季、あれ


愛季:そうだっ!ちょっと待って

何やら鞄から取り出す谷口さん。


愛季:はいっ!


〇〇:これは


愛季:プリント


〇〇:誰の?


瞳月:美青


〇〇:なんで僕に?




愛季:私たちの代わりに、美青にプリント届けてくれない?



〇〇:えなんで?


瞳月:美青と仲いいやん


〇〇:いや、それは2人も


瞳月:てか、美青のこと好きやろ?


〇〇:


瞳月:美青おらんのに、言えへんの?


〇〇:すいません


瞳月:それは、誰に謝ってんの?


〇〇:はいぃ.

あまりの恐ろしさに涙が出そう。


愛季:まぁまぁまぁそれは、本人達でっ

谷口さんに宥められてる山下さん。


瞳月:それで?行くやろ?


〇〇:的野さんのお家は?


愛季:はい、メモ!


〇〇:あ、どうも

事細かに書かれたメモ。


瞳月:わからんかったとか訳の分からん言い訳
しとったら、許さんからな


〇〇:えー



全く信頼されてない模様。

まぁ好きの二文字を的野さんの前どころか、周りにも言えないから当然だ。



愛季:まぁ、このプリントはおまけだからね


〇〇:的野さんにこの事は


瞳月:言ってない


〇〇:一応、連絡した方が

スマホを取り出しLINEを


愛季:ダメダメダメダメ!


〇〇:あ

スマホを取り上げられてしまった。


瞳月:なんで連絡がいるん?


〇〇:いや、僕が行ってもいいのかなって


瞳月:嫌って言われたら、行かへんの?


〇〇:それは


愛季:大丈夫!絶対喜ぶから!


〇〇:


瞳月:自分を下げることが、周りも下げてることに気づいてる?


〇〇:


瞳月:美青は可哀想やから仲良くなったん?


〇〇:


瞳月:違うやろ、あんたがいいなって思ったから
一緒やったんやろ?


〇〇:はい



結局全部、的野さんからだ。

喋りかけたのも、勉強会を提案したのも。

呼び方も、この勝負も。


逆に自分は、何もしてない。

お互い下で呼ぶ、なんて言ったのに

まだ呼んだことはない。

何度もLINEを送ろうとした。

でも送信ボタンが押せない。

だから、待った。

的野さんが来るのを。

また、彼女に任せた。

テストで勝てば、大丈夫だ。

勉強を言い訳にした。



瞳月:行って何をするか、わかってる?


〇〇:はい


愛季:美青のこと悲しませたら、怒るから!


〇〇:はい




的野さんのプリントを綺麗にまとめて、鞄に
仕舞う。



〇〇:いってきます


瞳月:いってらー


愛季:〇〇くんっ行けー!




ガラガラガラ バタン




愛季:大丈夫かなぁ


瞳月:大丈夫やろ


愛季:しぃーめっちゃいいこと言ってた笑


瞳月:掘り返さんとって


愛季:人に恋愛のアドバイスするのは、
上手なんだ〜



瞳月:やかましい


愛季:ふふ


瞳月:そんなこと言うなら愛季も、他人の
アシストする余裕はあんねんな笑


愛季:もー!しぃー!


瞳月:えへへこれで、おあいこやから笑





*****




〇〇:


閑静な住宅地の中を歩いていく。

どれも同じようなお家が並んでて、迷ってる。

ただ、なんとなくどのお家も上品な感じ。

確か、ここら辺なんだけど


〇〇:あ


すごく目に留まったお家があった。

別に何か特徴があるわけではない。

でもわかる、的野さんのお家だ。


〇〇:ここだ

表札にはやはり、的野の2文字が。


〇〇:ふぅ

いける、大丈夫。

うまくいく。

心を落ち着かせて、チャイムを鳴らした。





はい』

自分のいちばん好きな声が。


〇〇:あ、あの


.荷物ですか?取りに行きます


〇〇:え、あぁ

めっちゃ早い

一方的に切られた。

なんか機嫌悪い

やっぱりまだ体調が


ガチャッ


美青:はい





〇〇:あ


美青:え

1週間ぶりに彼女を見た。


〇〇:ひ、久しぶり

パジャマかなかわいい


美青:なんで


〇〇:心配で、来てみた


美青:なんでよぉ


〇〇:え?

突然、大粒の涙を綺麗な瞳に溜める。


美青:ぅぅ


〇〇:えどうしおっ!?

そしてそのままこちらに飛び込んで来た。


〇〇:うっ

そしてそれをなんとか受け止める。


美青:ごめん


〇〇:いや謝ることなんか


美青:ごめんなさい

自分の胸に顔を埋めて泣き続ける的野さん。


〇〇:大丈夫大丈夫

彼女の背中を優しくさすることしかできない。


美青:ぅ゛ぅぅグスッ

幼く泣く的野さん。

匂いも赤ちゃんみたいな優しい香り。


〇〇:大丈夫

自分はただ、彼女を慰めることしかできない。


でも久しぶりにみる的野さんは、
やっぱり可愛くて綺麗で。

あんなに普段大人びてるのに泣いてるときの
ギャップがまた、自分の心をときめかせる。


〇〇:会えてよかった


1週間だけ。

一生会えないわけじゃない。



でもやっぱり

好きな人とはずっと一緒にいたい。


その気持ちを確かめるように、お互いがお互いの温もりを感じ合った。











美青:ズズー ズズー





〇〇:


美青:うまっ


〇〇:


美青:ズズー ズズー



眼鏡が曇ってる。


あれから20分、黙ってラーメンを食べ様子を
ずっと眺めてる。


彼女の家で。



一旦、状況を整理しよう。


あの涙が収まった頃、半ば無理矢理お家に招待
してもらった。


そしてお見舞いに買った十蘭とポテリコを渡したら、すぐに食べたいと的野さんが。

お湯が沸く間、いろんなことを聞いた。

彼女がインフルエンザに感染したこと、最初は
高熱で大変だったこと。

発症5日間は出席停止になるから、学校に来れなかった。

しかし解熱まで5日かかった為、そこから2日間
休む必要があったこと。



〇〇:今は大丈夫?


美青:うん、もう大丈夫。だから明日から行けるんだけど


残念ながら終業式まで学校はない。

普通なら喜ぶところ。



〇〇:親御さんは?


美青:お父さんは、仕事。お母さんは今日、仕事
休みだからそろそろ帰ってくるかも


〇〇:あ、そっか

あんまり長居はよくないな。


美青:ごめん、約束守れなくて


〇〇:全然大丈夫、体調がいちばん大事


現に今、美味しそうに食べてる姿を見て安心
した。



丸メガネにボサボサの髪。

かわいいパジャマにいつもより更に透明な顔。


むしろ好きな人の普段のラフな姿を見れて、ちょっとラッキー。



美青:はっ!?


〇〇:どうかした?


美青:すっぴん

慌てて顔を隠す。


〇〇:もう遅いよ


美青:ごめんっ、メイクしてくる

自分の部屋に行こうとする的野さん。


〇〇:待って

その手を掴んで止める。


美青:恥ずかしいからメイク


〇〇:大丈夫


美青:大丈夫じゃないからっ


〇〇:か、かわいいから大丈夫


美青:騙されないから


〇〇:ほんとだから見せてほしい


美青:いやっただでさえメイクしてもブサイクなのにそれすらな







〇〇:美青さん


美青:





〇〇:あほ、ほんとにかわいいから、顔見せてほしい



恐る恐るこちらを見る的野さん。

ただその顔は、真っ赤になっている。



美青:ほんと?


〇〇:.うん

綺麗な顔と見つめ合う。

その中でも、艶がかかった唇から目が離せない。


美青:




〇〇:


どちらからか、距離を詰め合う。

そしてそのまま







ガチャッ



「ただいまー」






2人:うわぁぁっ!!


2人ともが尻もちをついた。


何してんの?」




もしかしてこの人が


美青:おかえりお母さん


〇〇:え

いちばん恐れていたことが現実に。



……体調どう?治った?」


美青:だいぶまし


そう、それで


〇〇:あこ、こんばんは


「こんばんは」


〇〇:●●〇〇です


「的野美青の母です」


〇〇:えーっとあの今日は、プ、プリントを
届けに来てそれで


「美青のお友達?」


〇〇:あ、えーっと友達というかその、
あの




美青:彼氏



〇〇:えっ


美青:私の彼氏、だよね?


〇〇:うん



「あ、そういうことっ?なるほどねぇ〜」

邪魔してごめんなさい、と謝るお母さん。

彼女と雰囲気がなんとなく似ている。


てか彼氏って



「〇〇くんだっけ?」


〇〇:あはい


「晩ご飯、よかったら食べて行く?」


〇〇:えでも.


「美青の話、したいし聞きたいのどう?」


〇〇:じゃあいただいてもいいですか?


「ふふっもちろん美青も、いい?」


美青:うん








〇〇:おいしっ


「あら〜、じゃあよかった」

あの後ほんとに晩ご飯をご馳走していただいた。

しかも、美青さんも料理を作ってくれることに。



エプロンを身につけて頑張って料理してる姿を
見ると.愛おしいすぎて。

頬が痛くなるくらい緩んでた。



そしてその間


お気に入りのぬいぐるみである



プーしゃんといぬに挨拶をした。




一応、写真に収めた。

かわいい。



レゴとか昔の写真も見せてもらった。




思ったよりガチだ。



あとは、幼い頃の美青さんとか。



共通してることは、ずっと可愛い。




〇〇:美青さんのお味噌汁美味しい



美青:よかったぁ.

お味噌汁史上いちばん美味しいかも


〇〇:美青さんが切ったサラダも美味しい


美青:それは切っただけだから


なんて言いつつ嬉しそうに笑ってる。



「うふふっ美青は学校でどんな感じ?」


〇〇:美青さんは.みんなの憧れです。勉強も部活も頑張っててみんなに優しくて、凛として逞しく。男女関係なく憧れてます


「ほんとにじゃあよかったね美青」


美青:そんなことないからっ


美青:〇〇言い過ぎ


〇〇:いやまだ足りないくらい




「うふふ〇〇くんは?美青のどこが好き?」


〇〇:一個ですか?


「何個でも笑」


美青:ちょっと一個にし


〇〇:優しい顔が可愛いお目目くりくりスタイル
抜群声色が好き芯がある髪がサラサラ肌綺麗耳
可愛い手の長さがいい自分がイケメンだと
んぐっ


美青:お、おわり

無理矢理口を抑えられた。


「えー〇〇くんもっとあるよね?」


〇〇:ふ、ふぃ


美青:こっちの身にもなって


「じゃあ、美青は?」


美青:え?


「〇〇くんの好きなところ」


美青:何個


「一個」


〇〇:え

僕もいっぱい言われたいんだけど






美青:全部




〇〇:


美青:




2人で顔を真っ赤にする。


「ふふ

自分もそういえばよかった

その後食べたもの全部、やけに甘かった。









時刻はもう22時。

楽しすぎてあっという間だった。


〇〇:じゃあそろそろ帰ります


「あら〜泊まっていけばいいのに」


美青:えっ


〇〇:そ、その今日は


「"は"ね笑」


美青:送るよ


〇〇:いやこんな夜に


美青:上着とってくる

自分の部屋に行ってしまった。


〇〇:いいのに


「〇〇くん」


〇〇:はい


「美青のこと、これからもよろしくね」


〇〇:もちろんです


「またいつでも、来てね」


〇〇:ありがとうございます


「お父さんにも会わせたいし笑」


〇〇:僕も会いたいです

その時は、また別の挨拶をしに来るだろう。


美青:よしっ行こ


〇〇:うんじゃあ、お邪魔しました


「またいつでも来てね」


〇〇:はい



バタン







〇〇:さむっ


美青:ほんと、寒い

3月とはいえ、夜はまだ肌寒い。

まぁさっきの熱で涼しいくらいだけど。


〇〇:ごめん、急に来てご飯まで


美青:来てくれて嬉しかった、ありがとう


〇〇:.うん


美青:来てくれると思わなかったし


〇〇:


美青:どうせ、愛季とか瞳月の入れ知恵でしょっ?


〇〇:なんで


美青:〇〇がそんなこと考えるわけない


美青:意気地なしだし鈍感だし


〇〇:すいません

言い返す言葉がひとつもない。


美青:でもちゃんと来たし、名前も初めて呼んでくれた


〇〇:


美青:あの〇〇から動いてくれて、いっつも
私からだし


〇〇:こっちからするのは、嫌かなって


美青:

彼女の右手を恐る恐る繋ぐ。


〇〇:これで今までの分返せる?


美青:返せるわけないでしょ笑


〇〇:だよね笑


美青:結局テストも私の負けだし


〇〇:受けてないからノーカン


美青:いいよ、私の不戦敗で


〇〇:ダメ


歩みを止めて、彼女の綺麗な顔を見る。


美青:え?



〇〇:次のテストも勝負しよ


美青:一緒のクラスかわかんないよ


〇〇:そんなの関係なく、美青さんと勉強会したい


美青:


〇〇:僕は、クラスとかテストとか関係なくもっと美青さんと一緒に過ごしたい



〇〇:他の人に取られたくないし、大学も美青さんと一緒がいい。


〇〇:美青さんのお父さんにも会いたいし、僕も家族を紹介したい


美青:うん



〇〇:ずっと憧れて尊敬してたから



美青:うん




〇〇:ずっと好きです、今までもこれからも





〇〇:的野美青さんが、好きです




美青:やっと言った



〇〇:ごめんなさい



美青:私も、ずっと好き





お互いに抱きしめ合って気持ちを確かめる。


美青:ずるい


〇〇:なにが


美青:いいとこだけ持ってった


〇〇:ここぐらいは


美青:今回だけだから


〇〇:よかった


美青:今回は、テストで負けたから仕方なくね


〇〇:えっ?


美青:次私が勝ったら、どうなることやら笑


〇〇:絶対負けないから


もう離さないためにも。





美青:来年も、クラス一緒だったらいいね



〇〇:ずっとね



美青:ふふっ









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ガラガラガラ






〇〇:


相変わらず、誰もいないこの部屋。

来年とうとう建て壊しになる。


つまり自分の卒業と共に、いなくなる。



いつもの席に座って、窓を眺める。

桜は美しく咲いて、卒業生達が写真を撮ってる。


最初は窓から見てるだけだったのに

ただ眺めてるだけでよかったのに。


気づけば、いちばん大事になった。

離したくなくなった。






〇〇:帰ろ


ひとりは結局、寂しいし。





ガラガラガラ



美青:いたいた笑


〇〇:さすがです


美青:そりゃ、〇〇ここが一番好きだもん





〇〇:うん


美青:私がその理由〜笑?


〇〇:うん


美青:ふふっ私も




美青:ここがいちばん好き


〇〇:そっか


美青:写真撮ろ


〇〇:ここで?


美青:だってここ、無くなるし


〇〇:そっか撮ろ


美青:それに





美青:2人の思い出がいっぱいあるから


〇〇:だね



この図書室はなくなる。

けどこれからも、思い出は繋がる。

ここが記憶から無くなることはない。



形じゃなくとも、残る。

少なくとも自分と彼女には。



美青:卒業おめでとう、〇〇



〇〇:ありがとう



〇〇:卒業おめでとう、美青



美青:ありがとう



〇〇:来年もよろしくね


美青:こちらこそ、よろしく



2人でそんなことを言いながら

ここを写真に刻む。


〇〇:まだ?


美青:ちょっと待って盛れてない


〇〇:かわいくないときないよ



美青:う、うるさいっ




この部屋からまた、新しい一歩を踏み出した。



FIN