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筒条
2021-04-14 11:17:08
3547文字
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SB69
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ヤスハチにどうにかしてすけべをさせたい
やすはちにスケベさせたい自分が脳みそを限界まで絞ってこの展開ならやすはちもスケベしてくれるのでは…というシチュエーションを考え出したものの現状なかなかスケベに至らなくてどうして…になっている話の冒頭メモです →本になりました(
https://cylindxx.booth.pm/items/6336292)
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「オレ、ヤスとだけは、そういうことしたくねぇ」
眼前の幼馴染は珍しく、本当に珍しいことに消え入りそうなか細い声でそう呟いた。
俺とだけはってなんだ。俺だって、なんでお前とこんな。
ことの始まりは30分ほど前に遡る。
ライブ会場にダークモンスターが現れた。
ダークモンスターは、元となるメロディシアンの持ち主の種族に関係なくその姿を生成するらしい。今回、ネコ科のミューモンから発現したそいつは、複数のバンドのライブが合同で行われていた会場だったこともあり、討伐されるまでは早かった。そこまではいい。面倒はそれからで、件のダークモンスターが蜂の形態と性質をもっていたことだ。厄介なことにダークモンスターにも生存本能があるらしく、討伐される直前にフェロモンを模したなにかを分泌したようだった。その場にいたミューモンの中でも最も近しい種にあたり、よりにもよって最前線で暴れていたブンブン蜂族のハッチンがもろにそれを浴び、その場にくずおれた。女王蜂が雄蜂に生殖を促すそれ。純正の種が発したものではなく、発した本体もすでに浄化され元のミューモンに戻っているため効果は一時的なものらしいが、それでも一度強制的に発情を促された身体は、すぐに治まってはくれなかった。
普段からハッチンを邪険に扱いがちなバンドメンバーではあるが、外部から強制的に引きずり出された情動に戸惑い震える背中を、お決まりの流れで放置できるほど冷血ではない。
……
なくなっていた。あの双循でさえ(心底面倒そうな表情はしていたものの)そうなのだから、随分と絆されたものだと思う。
震えるハッチンを半ば引きずるようにして楽屋に戻り、とりあえず症状がおさまるまではと備え付けの長椅子に座らせた。いつもの喧しさはどこへやら、膝を抱えるように縮こまり、膝小僧に額を押しつけそのまま押し黙った。ふーっ
…
ふーっ
…
と熱の籠った息を継続的に吐いている。その塊に視線を合わせるように膝をついたジョウがハッチンの耳元で何事かを囁いた。会話の内容はよく聞こえないが、できるか、となにかを尋ねている。はっと空色の瞳が見開かれ、はくはくと金魚のように開閉を繰り返す口元からはファ、とかう、とか言葉にならない音が漏れている。やがてぽそりと何かを呟き、叱られるのを恐れる幼児のようにより強く膝を抱え込んでしまった。そんなハッチンに悟られぬようにか控えめにひとつ溜息をついたジョウは、困ったように後頭部をかいた。
ふたりのやりとりをなんだかいつもと立場が逆だな、なんて他人事のように眺めていた。ああ、調子が狂う。腰を上げたジョウが徐に双循に目配せをした。それを受けた双循はハッチンを軽く一瞥したのちジョウに視線を戻し、俺に向けて顎をしゃくった。あ?と思う間もなくジョウが口を開く。
「ヤス」
「あ?」
「お前、扱くの手伝ってやれ」
「
……
は?」
なんとも直接的でデリカシーに欠ける物言いに脳の理解が一瞬遅れた。扱く。じわじわと追いついてきたその言葉の意味に、心臓に熱湯を浴びせられる心地がした。
「なんっ
……
はぁ!?な、なにを!?」
「分かりきったこと聞くな、ハッチンのちんこだよ。」
成人になると髪のまえにまずデリカシーが抜け落ちるのだろうか。なにをとは聞いたがそんなこと俺だってわかっている。本当に聞きたかったのは、なんで俺が、という点だ。唐突に突き立てられた白羽の矢を抜くこともできず、動揺のまま射手のななめ後ろあたりですまし顔で佇む双循を見やる。俺の視線の意図を理解したのであろう双循はいつものように大袈裟に肩をすくめた。
「別にワシが世話してやっても構わんが
……
」
くいくいと人差し指と中指を招くように立てる仕草が妙に生々しくて癪に触る。というかその動きはなんだ、何をする気だ。ジョウも同じ感想なのだろう、ほら見ろあいつには任せらんねえだろう、と言わんばかりの表情で俺を見てくる。
要は射精をさせることで発情を鎮めるという原始的な手法だ。理屈はわかる。手段としては自慰でも構わないはずなのだが、変なところでウブなハッチンはどうにもそういった行為に慣れないらしく。(先程のジョウはそれを確認していたらしい。)いや断っておくが俺とてそちらの方面に明るいわけではない。
「ハッチンだって手ェ貸りるなら同い年のお前のほうが気も楽だろ。」
……
逆ではないだろうか。それこそこいつは、他でもない俺に情けをかけられることを最も嫌うはずだ。
上級生ふたりの催促の視線が痛い。理不尽な居心地の悪さに耐えられず、仕方なく、本当に仕方なく未だダンゴムシ状態のハッチンの肩にそっと右手を置いた。
「
……
とりあえず、触るぞ。出せば終わるんだから変に暴れんなよ。言っとくが俺だってやりたくてやってるわけじゃねえんだから恨むならジョウを恨め。」
やけに言い訳がましい物言いになってしまったが事実なのだから仕方ない。
すると、発火しそうなほどに顔を真っ赤にしたハッチンがふぁ、と上ずった声をあげ、肩に置かれた俺の手をはたき落した。
「ふぁ、や、なんで
……
なんでヤスが」
「だからジョウを恨めっつったろ。聞こえてた通りの理由だよ。」
「
……
なら、いいっつーの
……
いい、いらねぇ。自分でなんとかする、から」
「うぜぇ、こんな時まで強がんな」
「だって」
「オレ、ヤスとだけは、そういうことしたくねぇ」
俺とだけはってなんだ。
俺だって、なんでお前とこんな。
……
なんで、こんな、形で。
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