Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
夢篠
2025-04-10 23:14:38
2298文字
Public
Clear cache
Customize name
1303565
Customize name
全方位all happyだよ~、OK?
好きな子と話す男に舌打ちする山本陣内
1
2
雪のように白い肌、血色の良い頬はつるりとしていて桃みたいだ。丸くて大きな瞳は恋の高鳴りに夢見心地の色に染まっている。滑らかな黒髪はきっと触れると柔らかいのだろう。私の幼馴染の
ナマエ
という娘はどこからどう見ても「完璧」という言葉がよく似合った。
ナマエ
はタソガレドキの侍大将の遠縁にあたる娘だ。幼い頃からその美しい見目と為人で将来を嘱望された。その身を与えられる最高の栄誉を得るのは誰なのか。そんな下世話な話を耳にした事がある。
私は
ナマエ
の事を友人として好いていたから、そんな下世話な話を彼女の耳に入れないように動いていた。いつしかその動きに手を貸してくれる者が現れた。それが。
「ねえ、聞いていますか、昆奈門?」
「はいはい、なあに、私のお姫様」
「もう、さっきから聞いているではありませんか。陣内さまの事!」
ナマエ
には美しい世界を見ていて欲しいと思った。私の身近で唯一と言って良い程、血腥い事を知らないひとだったから。だから陣内が協力してくれのはとても有り難かった。それから、陣内が
ナマエ
を好いている事も。
いつから陣内の
ナマエ
を見る目が優しかったのか、実は私は良く覚えていない。もしかしたら、最初からその眼差しは変わっていなかったのかも知れない。陣内はいつも、
ナマエ
をとても優しい目で見ていた。何だかこちらが悲しくなってしまうくらいに。
「ねえ、昆奈門。最近陣内さまは
ナマエ
の事を何か仰っていた?」
夢見るような瞳は恋する娘のそれだ。
ナマエ
はとても幸いな娘だ。お前が好いている男は、お前の事を慕っているのだと、私から伝えるのは余りに野暮だから何も言えない。でも、なんだかとても焦ったくもある。
「陣内が
ナマエ
の事を?そうだねえ
……
。前髪が少し伸びたんじゃないって言ってた」
「もう!適当な事ばっかり言って!」
頬を膨らませて唇を尖らせる
ナマエ
は可愛らしい。
……
本当に可愛らしいんだよ?唯一少し離れたその背後で鬼のような形相で腕を組んでこっちを睨み付けている陣内の姿が目に入らなければ。
幼馴染という事もあって私と
ナマエ
の距離感は普通の男女のそれよりも近いと思う。でもそれは幼馴染という前提があるからであって、私たち二人の間には勘繰られる物など何も無い。けれどやっぱり陣内には思う所はあるようで。あ、目が合った。
ナマエ
に気付かれないように片目を瞑ると舌打ちを返された。酷いなあ。
「陣内おいで~」
「っ!陣内さま
……
!?」
「
……
やあ、
ナマエ
殿。ご機嫌麗しく」
にっこり笑って彼を手招く。思いっきり睨まれたけど構うものか。お膳立てしてやらないとこの男、いつまでも焦ったいのだもの。
ナマエ
には気付かれないように矢羽音で遣り取りする。
(お膳立て、感謝してネ)
(
……
余計な事を)
(嬉しい癖にねー)
(昆
……
)
「陣内さま?」
とろ、とした蜜のような甘い瞳が陣内に向けられる。基本的に変わらない穏やかな顔が、僅かに顰められた。苦しそうな顔は娘を恋慕う男のそれだ。嗚呼、素敵だな。
「昆奈門と何を話されていたのです?此奴はあなたに迷惑を掛けてはいませんか」
「いいえ、陣内さまのお話をしていたのですよ」
穏やかな時間だ。私たち忍びには勿体の無いぬるま湯のような。微笑み合う二人はとてもお似合いに見えた。まだ、想いを交わしていないのが嘘みたいに。
「私の、ですか?」
「ええ。陣内さまが
ナマエ
の前髪が少し伸びたのじゃないかしらって、仰っていたと昆奈門から聞きました」
あっ、ちょっとそれ本人には言わないでよ。ちら、と陣内の顔を見ると凄く冷たい目で見られた。ええ
……
、だって本当の事言っても怒るでしょ
……
。
「まさか。私が申し上げたのは
ナマエ
殿の髪はいつも美しく輝いていますね、と」
「
……
っ、まあ!
ナマエ
の事を揶揄っていらっしゃるのね!そんな風に言われたら恥ずかしいです!」
「ははは、
ナマエ
殿に嘘など吐きませんよ」
ねえ~~!私は何を見せ付けられてるの~~!?目の前にはまだ想いを交わしていないけれど、最早秒読みといった男女。お膳立てしたのは良いけどさあ。私の事忘れてない?
「
……
そうやって、簡単に女を褒めないでください
……
。
ナマエ
は勘違いしてしまいそうです
……
」
白い頬を赤らめて俯く
ナマエ
はとても愛らしい。陣内もそう思ったようで、する、と視線が揺れた後、陣内の手が
ナマエ
のそれに重なった。
「
……
勘違い、ではない、と言ったら?」
「
……
っ、陣内さま
……
、」
えっ、あっ、これ、私退出しなきゃのやつじゃん
……
。でも今更気配が動くより、私が気配を殺す方が良いんだろうか?とにかく二人の邪魔をしないように気配を消して存在を空気と化す。見詰め合う男女と壁と化す大男。やんなるね
……
。
「ずっと、
ナマエ
殿の事を、」
「っ、駄目!駄目です!」
「っ、ん!?」
ぐ、と身を乗り出した
ナマエ
が白くて小さい手で陣内の口を塞ぐ。二人の距離感が近くなる。さりげなく陣内の手が
ナマエ
の腰に回っているのが小憎たらしい。
「
ナマエ
に言わせてくださいませ!」
「しかし、こういうのは男の私から
……
」
「いいえ!愛の告白に男も女もありませんわ!」
……
あ~早く終わらないかなあ。
1
2
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内