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保科
2025-03-31 00:33:56
1441文字
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ひびちか
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>ハート型のはチカちーのだけじゃん
もし、一つだけ形を変えた意図が特別にしたかったとかならいいな~とずっと考えてたのでそういう話
お題
ひびちかタイム6time
「うーーーん?」
首をかしげる。
「うーーーん
……
」
今度は逆側に傾げて
――
尚、悩ましいので逆側に傾げる。
「どうしよう
……
」
決まらない。わたし
――
日比乃ひびきは、エプロン着のまま、腕を組んで静かに唸る。
目の前、我が家のキッチンに広がるのは、箱詰めされたチョコレートたち。
季節は冬、2月も半ば。バレンタインデー。学校のお友達の間では、感謝を伝える『友チョコ』という文化があると聞いて、わたしも、と作ってみたのだ。
ついさっきまで、完成品を包装用の四角い箱に入れて、リボンをかけたりしてみた。こういう細かい作業は案外得意だから、特に手間取ったりはしなかった。
手前のお菓子作りもそう。アーネンエルベのバイトの時に作った焼き菓子や、前に作ったことのあるトリュフチョコだから、作るのに困ることもなくスムーズに出来た。完成品も、なんなら自分の分があるくらいには余裕がある。
ここまで全部、ミスなくちゃんとできていて。じゃあ、今、こんなにも何を悩んでいるかといえば
――
最後のひとつの包み方。
「
…………
」
いいのかな。何度も頭の中で繰り返す疑問そのものに、また首を傾げる。
――
そもそも、何を迷っているんだろう?
これはまゆちゃんのぶん、これはスナオちゃんのぶん、と一つずつ数えながら進めて。おんなじように詰めようとして、最後、手が止まった。そこから進めないまま、今に至る。
なんとなく、この包みを『おんなじように』することが躊躇われた。でも、それが、どうしてなのかさっぱりで。わたしはわたしの心がわからないから、もう一度、うーん、と唸る。
そうして、視線を横に向ける
――
もしかしたら包むのに失敗するかもって思って、隣にあったデザインの箱も予備で買っておいた。
赤くてよく目立つ箱は、ちょっと派手かなぁ?とも思ったけど、念の為。それが、悩み始めてからずっと、目に留まって離れない。
みんなの分を包んだ白い箱は未だ2つくらい余っていて、わざわざこっちを開ける理由もない。このまま使わず、また今度の機会までしまっておくのが一番いいって分かる。
当たり前の事は、分かっている
――
でも。
「
……
チカちゃん、どっちが好きかなぁ」
最後の一つの相手の名前を、ぼんやりと口にする。
白と赤。きっと目立つのが好きじゃないあの子は、普通のが良いっていう。普通なのがどっちかは、きっと、わたしだって分かってる。全部分かっているのに
――
でも。
でも。それでも、なんとなく、
……
なんとなく、イヤだった。
「
……
」
そんなふわふわな気持ちで、赤い箱のビニールを開けるわたしの判断は、とても、自分勝手で、ヘンなことなんだと客観的に思う。もしチカちゃんに知られたなら、なんでそんなことしたんだって聞かれて、きっと何も答えられないのに。
「
……
よしっ、出来た」
――
赤い箱の中にチョコを入れて、リボンで縛る。結び目が崩れてないのを確認して。漸く、プレゼントが全部完成したのに、深く息を吐いた。時間、結構かかっちゃったけど、これで。
「おわったー
……
!」
そうして、もう一度深呼吸すれば
――
気付けばさっきまでのモヤモヤも、悩みも、もう何処かに行ってしまったようで、嘘みたいにスッキリした気持ちだった。自然、わたしは未来のことを考えてしまう。
喜んでもらえるかな。美味しい、って言って貰えるかな。赤い箱を指でなぞって、鼻歌交じりに考え、ふと気付く。
――
そういえば、この箱、ハートの形してるんだ。ちょっとかわいいな。
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