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さかな
6817文字
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ジェイ監
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僕の
何かに気がついて手始めに餌付けし始めるジェイドと、なんにも知らない監督生
1
2
誰が為のジャックポット
「あっラッキーセブン」
珍しい組み合わせについ目が奪われた。視線の先にはレオナ先輩とジェイド先輩とフロイド先輩。
サバナクロー寮生とオクタヴィネル寮生は相性が微妙なのか、あまり並んでいるところを見ない。一般寮生でもそれなのに、ましてやすぐ「魚臭い」など言うレオナ先輩とリーチ兄弟となるとさらに珍しい組み合わせだった。
「ん? どうした?」
「あそこ、見ない組み合わせの人たちがいるなと思って」
「わっ!ほんとだ!
……
でも監督生ちゃん。珍しいのはわかるけど、ラッキーセブンって?」
昼食を共にしていたトレイ先輩とケイト先輩が、監督生の唐突な発言に首を傾げる。
今日はマブたちが居残りを命じられ、先にひとり大食堂に来たはいいものの席が取れずに右往左往していたところを見かねて助けてもらったのだ。
「ええと
……
ラッキーナンバー占いってご存知ですか?」
「あ、誕生日バラして足してくやつ?」
「それです! こないだエースに教えてもらって」
「そういえば妹も小さい頃やってたな」
元の世界にも似たような占いはあったが、ここの世界にもあるんだ! となんだか嬉しくなって、教えてもらってから知ってるものだけで飽き足らず、知り合いの誕生日を片端から聞いてやった記憶はまだ新しい。
「
……
で、あそこの3人はナンバーが」
「7が3つ並んでラッキーセブン、か」
計算が早くてなりよりである。レオナ先輩は7月27日、ウツボの先輩方は11月5日。どちらも一桁になるまで数字を足していけば7になるのだ。
「あんまり見れないって意味ではピッタリかも!」
「はは、確かにな」
女児が好むような子供騙しの占いであることは否定できないためなんと言われるかとちょぴりヒヤヒヤしたが、笑って受け止めてもらえて安心する。
「でもあの3人が揃うジャックポットだと得するのアズール先輩だけな気がしますね」
「おや、面白そうなお話ですね」
「ギッッ」
ホッとして精査せず言葉を吐けば、肩を叩くのは手袋に包まれていてもわかる人魚のヒヤリとした手で。アズール先輩は私の思わず出た悲鳴のなり損ないを鼻で笑うと「ここ、空いてます? 失礼しますね」と滑るように横に座ってきた。
「それで? なんのお話をしていたんです?」
「してないです
……
」
「こらこら、あんまり苛めないでやってくれよ」
「トレイ先輩
……
!」
先輩方へは友好的な挨拶を交わしていたが、こちらへ向けられるにこやかな圧に震えているとトレイ先輩が庇ってくれる。
あの日以降ハーツラビュルとはなんだかんだと交流が続き、今では名誉寮生染みた扱いをしてもらっているのだ。歯磨きチェックだけは馴染めないが、同寮の先輩というものがいないオンボロ寮生にとって目をかけてくれるありがたい存在である。もはや頼れる同盟国の気持ちですらある。
「嫌ですねぇ。純然たる興味ですよ」
「あそこの3人が並んでるの珍しいね〜って話してただけだよ⭐︎ ねっ、監督生ちゃん」
「そうです!」
「
……
あぁ、アレですか」
そちらを見やり状況を把握したアズール先輩は眉間をキュッと寄せたかと思うと、盛大な溜息を吐いた。常にないお疲れの様子である。
「アレ、あなたのせいですよ」
「えっ」
気遣いの声でもかけるべきか、と迷っていれば思いもよらない責任の所在に先輩方と一緒に驚いてしまった。
「植物園でレオナさんにお誕生日を聞いた覚えは?」
「
……
あります」
ラッキーナンバーをやりたいがために片端から誕生日を聞いて回っていたが、確かにレオナ先輩には植物園で寝ているとこを訪ねた。しかし、あの場には他に、自分に連れまわされていたグリムしかいなかったような。
「キノコ片手に「僕は聞かれてないのに!」と暴れたウツボがいましてね」
「ジェイドだな」
「ジェイド君だね」
「いやだって、ジェイド先輩のは知ってますし
……
」
え、わたし祝いましたよね? と首を傾げるも「いまのアイツにそんな理屈は通じません」と真顔で断じられ何も言えなくなる。そんな駄々っ子みたいな
……
フロイド先輩じゃあるまいし
……
。
「ですので、僕にはなんの得もありません。むしろ損害が出ています」
「そ、そうなんですね
……
」
ご理解いただけました? と爽やかに笑いかけられるが、目の奥はひとつも笑っていなかった。トレイ先輩とケイト先輩からも向けられる視線すら痛い気がする。
アズール先輩はどんな暴れ方だったか少しも言わないが、自分が原因と言われると知りたいような知りたくないような不安な気持ちになる。いっそ謝ってお茶を濁したくなり口をもごつかせていると、音もなく近付く影があった。
「監督生さん」
「ヒッ」
噂をすればウツボである。
かけられた声に彼の片割れが名付けた小エビが如く飛び跳ねて見上げると、そのピシリとした姿勢をゆっくりと傾けて顔を近づけてきた。
「ラッキーセブン、お好きなんですか?」
「え? まぁ
……
はい」
「そうですか!」
じっとりとした目に怯えたが、かけられた言葉はなんだか間の抜けた質問で。
「では今日からよろしくお願いしますね」
「はい?」
「僕、陸のお付き合いは初めてで
……
。監督生さんが教えてくださいね♡」
「
……
え!?」
話の流れが掴めずポカンとしている間にひょいと軽く持ち上げられ、椅子と私の間にジェイド先輩が挟まった。
突然展開に思わず暴れるが、お腹にがっしり回った腕はビクともしない。
「えっちょっと、なんですか!?」
「あー
……
ジェイド?」
「トレイせんぱっ、グッ」
トレイ先輩の声に助けを見出しそちらに意識をやれば、咎めるように更に強く腕が締まった。
「お食事中失礼いたしました、どうぞお気になさらず。
……
ほら、監督生さん。暴れてはいけませんよ」
「えっ!? 私が悪いんですか
……
?」
そんな馬鹿な! と視線を巡らすが、返ってくるのは同情の眼差しばかり。山盛りの料理を持って遅れてやってきたフロイド先輩に至っては「小エビちゃん捕まえられて良かったねぇ」なんてにこにこジェイド先輩を寿ぐ始末であった。
「監督生さん」
「アズール先輩! なん、なにがどうしてこんな」
「ジェイドは番を手に入れられて嬉しい。あなたはお好きなラッキーセブンがこれからずっと側にある。そして僕はもう騒音で悩むことはない! 三方ヨシで実に素晴らしいじゃないですか」
「えっと
……
とりあえずカップル誕生⭐︎ って感じ?」
「ふふ。そんな、お似合いだなんて照れてしまいます」
「はは、なんかすごいとこに居合わせてしまったな」
もはや、この場で笑っていないのは私ひとりだけだった。流れる和やかな雰囲気に茫然とする哀れな小エビへ、フロイド先輩が優しく語りかける。
「小エビちゃん、はやく諦めた方が幸せになれるよォ」
「そんなぁ
……
」
「まだ陸にいたいデショ?」
それに、オレら別に仲悪くないじゃん。
何がそんな嫌なの? と少し拗ねたような垂れ目になにも返せずにいれば頭上からはご機嫌な笑い声が降ってくる。
「大当たりの未来をお約束しますよ」
「
……
お手柔らかにお願いします」
既にこんな扱いきれない大当たりなんか早々に尽きるだろうと抵抗も諦めて身を委ねると、ウツボ椅子はご機嫌にふくふくと揺れる。
この時は本当に、予想したそれが尽きる前に勝手に大当たりされてウツボの興味も好感度も執着もじゃんじゃか増えるなんて全く! これっぽっちも予想していなかったのだ。
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