2025-03-24 21:55:08
5469文字
Public 作品解説・制作後記
 

託して、どうか幸せに 制作後記

この作品のネタバレを含むので先にこれ読んでね
「託して、どうか幸せに」
https://privatter.me/page/67de40f7a55f9



 こんにちは、凶街モルテ曇らせが得意分野となりつつある蟹です(あ!思い上がったオタクだわ!ブロック推奨)

 『託して、どうか幸せに』(以下、たくしあ)の構想は過去作の『よいから覚めてもまた言わせて』(以下、よい覚め)を公開した後に生まれました。仕事と酒を往復する日々の中で時折よい覚めに思いを馳せていたところ、
「これ『あの女』が『あの男』でも似たような地獄ができるかもな……」と思ってしまい……気づけばスピンオフができてしまいました。俺得の極み……!丁度モルテでBL描きたい欲が高まってたので、尚更筆が進みました。やっぱり俺得でしかない!!
 蟹が観測できた範囲では、モルテががっつりBLしてる作品は見かけたことがなかったのでかなりドキドキしながら公開に向けて準備を進めていました。規約上許されているのはそれはそうとして、前例がない(もしくはクローズドな場でのみ共有されている)状態だと、かなり緊張感があります。坂本が勝手にそう思ってるだけ……
 というわけで制作後記も書いていくぞ〜〜

 ちなみに蟹が本当にモルテ曇らせが得意かどうかについて、真面目な話『公式設定』としてキャラの心理に詳細な設定がないのを悪用してゴリ押し曇らせしてる感じなので得意ではないです。そもそも意図的に曇らすなわざとらしいわ(蟹アンチこと蟹)


ストーリーのテーマ

 前提として『よい覚めとたくしあは同じ世界観だが、それぞれの作品は別世界線』です。つまり『起きたことに差異はあれど、モルテや人間といったキャラの根本的な人格は同一』となっています。

 よい覚めのスピンオフとして書く上で表現したかったことは色々ありますが、大きなものだと『モルテの業と人間の掘り下げ』になります。
 モルテの業とは(この世界観においては)『いかなる相手でも真っ当に愛し愛されることが困難になってしまう』というものになります。ひどいな。
 人間との肉体的な接触は新たな人喰いのバケモノを生み出す行為となって、バケモノたちは『お前は人間にとって害となるものしか生み出せない』と嘲笑うかのようにモルテの前に現れます。反対に、精神的な交流はある程度は可能……ですが小説本編での顛末を見てもらいますとまぁ……うん……。モルテの性格や相性の問題で人間関係うまくいかないとこだけは普通の人間みたいですね。ひどいな。
「あの女」も「あの男」も「人間」もそれぞれモルテと出会う前からどこかねじれた部分がありましたが、モルテが悪気なくギュウッとした結果ねじ切れちゃいましたね。ほんとうにひどいな俺が。
 モルテを精神的に追い詰めることに一切の邪心がないと言ったら嘘になるんですが(?!)、ここまで「愛」が報われない話を書くのは、まぁ私自身の価値観をある程度反映させた結果でもあります。
個人に向けた愛情は言葉を交わさない限りは双方向になることはないし、どれほど言葉を尽くしても分かり合えず一方通行のままということも全然ある、と今の蟹は思っています。人生に愛が必ず必要というわけじゃないとも思ってます。
 傷が癒えて痛みを忘れたらまた前に向かって進めるのが人間ですが、何度も過去の罪と思い出を夢に見るモルテは……モルテは一体……凶街モルテってなに?(発作)

 それはそれとして、この世界観のモルテがもう少しアホだったら勢いでラブを完遂できそうな気がしますが……だとしてもバケモノをどうにかしないといけない う〜ん、むず!!

 人間というキャラの裏話的語りは後々やるとして、人間の掘り下げをしようと思った理由についてつらつら書きますね。
 今よい覚めを読み返すと、人間の内面描写が少し物足りなく感じた……というところが理由です。『モルテを支える形で結婚したがってて下ネタというか性的な話題が苦手』というのは読み取れると思うんですが……それ以外の性格とかパーソナリティ、「あの女」に対してどう思っていたか、とかが書けなかったのが惜しかったので、今回はその辺り強化する形で人間の出てくるシーンを増やしつつ、地の文をよく考えました。後半で地の文にも「人間」がでしゃばりかけてるのは、やっぱ一人称視点での独白って便利っすね……って感じです。

 あと、たくしあ固有のテーマとして、「人間側のキャラが犯した罪にモルテが何を思うか」というのがあります。司法があの男の『見殺し』を『殺人罪』と判断するかどうかは……ちょっと私からはなんとも言えないですが……
 でも、少なくともあの男は自分を人殺しだと思い込んでいて、モルテに処理を頼もうとしたのも全くの嘘ではないのです。そしてそれは、人喰い亡霊という性質のせいで食人を繰り返した(その過程で人を騙すなどの悪辣な手段をとってきた)モルテにも通づるものがありました。お似合いだね!(クソ野郎の言動)

キャラ語り
・凶街モルテ
 あくまで『よい覚め・たくしあ内での設定かつ坂本色個人による非公式な妄想』という前提で聞いてほしいんですが、モルテの指向は「どっちもいけるしどっちもいけない」みたいな感じを想像しています。
 まぁその……付き合ったり諸々エキサイトするときに相手の性別を重視しないけれど、そもそも自分から能動的にそういう感情を抱くことがほぼない……みたいな……人喰い亡霊だからそういうこともあるかもしれないよね!!(ゴリ押し)
 「人喰いである自分への嫌悪感」はたくしあでもしっかりあって、それゆえに人から強い好意を向けられるのが苦手なのかもなぁと今作の執筆を通して認識しました。嫌悪感由来だと指向とはまた別の話になりそうだなややこしくなってきた 人間むず!!!(モルテは人外定期)

 本編に書いてないけど、過去の出来事として、「人喰い亡霊であることを理由に死体の処理を頼まれた」経験がありました。
 あんまり詳細は決めてないけど……「人食うんならこれくらいなんとも思わないだろ?」みたいなこと言われたんじゃないかな〜と思ってます。
 その経験は割と苦いものになり、それ以来自分の人喰い亡霊の部分を利用されるのがトラウマになっています。……という裏設定でした。

・人間
 人間も基本よい覚めと同じ感じ……ですが、「プロポーズを検討している」という明確な状況の変化がありました。それによってよい覚めとはまた違った展開と末路を迎えることになります。
 モルテとの友人関係に変化が訪れてないので、たくしあでのモルテとのやりとりはより普段の二人に近いイメージです。ちょっとでもモルテの精神的な支えになれると内心すごい喜ぶやつなので、モルテ名義の借用書を数枚抱えています。返済期限は二人の仲が続くまで!
 ラストシーンで人間がモルテへの想いを封じ込めたのは、よい覚めのあの女を想起させる目的がありました。果たして想いが決壊することなく一生嘘をつき続けられるかな?!

 ちなみに坂本色は今作執筆中に『プロポーズのときに渡す指輪は結婚指輪じゃなくて婚約指輪』ということを初めて知りました。その理解度でこんな話を書き切ったんですか!?!?!?!?!?!人生はハッタリの連続(問題発言)

・あの男
どうして「モルテ大好き❤︎」なオリキャラ作るとどいつもこいつも狂ってるんですか???????しらんがな
今作は夢の内容を絞った分、このキャラを深く掘り下げる余裕ができた気がします。

よい覚めのときは「あの女とモルテの関係そのもの」にモルテの罪が生まれてたんですが、たくしあでの罪の発生地点は、モルテが直接関係しない「あの男自身の人間関係」だったので、それとは別にモルテと仲を深めたエピソードを入れるつもりでした。それを説明しているのが、叔母さんの法事後のあれこれの回想です。
あの〜、法事の後に喪服着たままなんやかんやするやつが坂本好きで(?!)それをやりたくてああいう展開にしました。なんやかんやしてたかどうかはご想像にお任せします!!!!!!!!
このUTAUカバー動画にてモ氏の喪服ビジュアルが出た衝撃もあって、回想のシーンを描くの楽しかったです。もちろんそのUTAUカバー動画とたくしあは全くの無関係ですよ!!
ただもう、喪服着崩すのワイルドでモルテらしい抜け感あってアリアリのアリすぎてもうこのビジュアルで想像してまう あの男も式場でモルテ見かけたときこんな気持ちだったかもしれない(坂本キモ……

あと、「あの男」のビジュアルイメージは執筆時点である程度作ってました。挿絵とか描かなくても、見た目の設定決めておいた方が仕草の描写のアイデア考えやすいなって‥今更気づいた……ふわふわ髪質の緑寄り黒髪の童顔で、メガネのフレーム形状はラウンドじゃなくてボストンです!フレーム形状だけでも覚えて帰ってください。ただでさえ童顔なのにでかいメガネかけてるせいで余計ちんちくりんになってるのが可愛いと思

ところで受攻について、あの男が感情の重さだけで引っ張ってるのもモ氏が亡霊パワーマウントとってるのも正直どっちも想像できるので、ものすご〜く迷い散らかしてるんですが俺はどうしたらいい????しらんがな……

・あの男の父親、叔母さん
 ちょっと価値観が伝統的で安定を望み保守的になりがちな一族というか……なんというか………………
 父親はそれに厳しさとパワーとわがまま要素(……?)がプラスされちゃったので、あの男にとっての恐怖そのものになってしまいました。風呂場で亡くなったのは事件性のない心臓発作なので、本人的には大往生かもしれない。
 裏設定としてあの男の母親はあの男の幼少期に亡くなっています。なので父親はかなり責任を感じてあの男を育ててきました。責任を感じるあまり、自分の理解の及ばないところにあの男が行こうとすると、すごい不安になってしまうのですね……

 反面、叔母さんは優しくて『普通に』いい人でした。一緒に住む家族より少し遠い親戚の方が心許せる時もあるよね。
 あの男に対して『あの子は少しおっとりしてるところがあるから、芯のあるいい女性と出会って幸せな家庭を築いて幸せになってほしいな。あわよくば姪孫や甥孫の顔も見たいな』と心から思っていました。その想いを直接あの男に言っていたかどうかはご想像にお任せします。

・バケモノ
あれがよい覚めのと同一存在かというとそうではなくて、単に「定義前」の存在だから違うとハッキリ言えるわけでもない、みたいなヤツです。
よい覚めのバケモノはまぁ……かなりしっかり「赤ん坊」に近い概念になってましたが、たくしあのはもっと曖昧なイメージです。モルテは「虫みたい」と言ってましたがあくまで外見や動きを見ての例えなので虫というわけでもないです。

その他小ネタ、裏話
・モルテが五感をフル活用してステーキを食べるシーンは、肉体があることを強調する意図があるとかないとか 主にあの男とそういう展開になる説得力を出すために……(よい覚めのときもそんなこと意識してた気はする)

・よい覚めでモルテは「赤ワイン」を呑んでいて、たくしあではモルテは「水」を飲んでいます。元々赤ワインとの対比で「白ブドウのサイダー」にするつもりだったんですが、モデルにしたステーキハウスに行ったとき俺が水を飲んだので水にしました。ちなみにpixivでの表紙画像もそのステーキハウスで撮りました。加工で撮影技術の無さを誤魔化そう!(カス宣言)

・モルテの夢の話の中で、あの女らしい人物がちょっと出てます。今世界線では巡り合わせはあんまりなかったらしい……

・あの女とあの男の対照的な部分として、『モルテへの好意』と『己のアイデンティティー』のうち『片方は特に苦にせず、もう片方で死ぬほど悩んでいる』というものがあります。
 本編では描かれていない、モルテと友人として過ごした時間の中で、時を積み重ねるほどあの男は救われていって、あの女は苦しめられていったんだと思います。

・「男が妊娠する理屈なんてホラー作品ならなくてもいける!!ホラーだから!!」みたいな趣旨の力強いツイートもこの作品を書く上で力を与えてくれました。ありがとう知らない人!!!(??)

・夢の中のシーンは視覚の描写中心で少し聴覚を入れつつ、やや曖昧な描写にしました。一方で現実世界のシーンは五感フルに活用して描写をはっきりさせる、という違いをつけました。
「夢で見たこと」が現実に起きたこととどれほど類似してるかはぼかしつつ、語る場面での夢と現実の区別はよい覚めの頃よりわかりやすくなったんじゃないかと思います。

おわりに
 いかがでしたか???

 SNSで直に書きづらいことを書く場として機能しつつあるこのプラベ プライベートが語源だからなんら問題はないな!
 次回作の予定は未定……だけど、今夏はUTAUオンリーイベント「UTAって創る君の声2」が開催されますね。よい覚めが前回イベントに合わせての公開だったので、今回も同様になにか小説書きたいですね!!また重い話になってしまうのか……