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豆炭々炬燵
5014文字
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星のカービィシリーズ
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【デデカビ】その特別な味に
お祝いにかこつけてもだもだ片思いしていた大王の気持ちに向かい合い答えを出したはるかぜの話。
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小高い丘の上。頂上が近付くにつれ春色の後ろ姿をデデデ大王が視界に捉えた。
ちょっと遅い朝のブレイクファーストがおいしい時間帯にデデデ大王はカービィに言われた丘の上にやって来た。
「結構はやい時間に来てくれたんだね」
「お前が何時に来いって指定しなかったからな」
「だって君がいつでも来ていいように時間決めなかったから」
カービィの言っている意味が理解できずデデデ大王が首を傾げる。
それは一体如何意味だ、と問いかけたデデデ大王の言葉は上空から感じる違和感にかき消された。
昼間の時間、つまりシャインが空に上がっているにも関わらず夜の象徴であるブライトが一緒に空に上がっていた。目まぐるしく変わる昼夜にいよいよデデデ大王は焦りだす。
「これは一体!? また喧嘩でもおっぱじめたのか!」
「ちがうよ」
カービィの落ち着き払った声に苛立ち険しい面持ちでデデデ大王が詰め寄る。
それでも意に介さず、カービィは続けた。
「ぼくが頼んで来てもらったんだ。君がいつきても大丈夫なように、いつでも最高な時間になるように」
今も尚、引っ切り無しに昼と夜をくり返す空に向かってカービィが大きな声で叫ぶ。
すると、あれだけ落ち着きのなかった空色がピタリと止まった。丁度星が瞬く夜だった空を引き連れ沈むブライトに合わせ、ゆっくり朝を引き連れたシャインが世界を眩い光で包み込む。
柔らかな朝日を背にしたカービィが何処からか皿に乗っかったショートケーキをずいっとデデデ大王の前に差し出した。
眩しさからかデデデ大王が目を眇め疑問を口にする。
「なんなんだ一体
……
」
「これがぼくのこたえだよ、デデデ」
朝日に照らされたショートケーキが白く眩く光って見えた。受け取ってと言わんばかりに皿ごと押し付けるカービィから渋々デデデ大王が受け取る。まだ意味が分からない。何が答えなのかも。
「さいこうのシチュエーションで渡すのがれいぎなんでしょ? だから朝日がのぼるこの丘の上で君に渡したかったんだ」
「──ショートケーキをか?」
「うん! とびっきりおいしいとくべつなショートケーキ!」
ちゃんとコックをコピーして使って作ったんだから。そう胸を張るカービィにデデデ大王の頭の中は?マークの嵐だった。
だが、次の一言に漸くバラバラだったピースがかちりかちりと組み合わさっていった。
「ぼくからのお願い。どうかぼくと恋人になって下さい」
カービィにしては珍しくお辞儀する姿にデデデ大王の足元がぐらつき思わず倒れそうになってしまった。
おっとっと。小さな手で支えるカービィをデデデ大王はやおら見下ろす。
一週間前の夜、殆ど愚痴に近かった独り言を聞かれていた。それよりも、その答えが返ってきたことに、一番欲しかった答えが返ってきたことに、デデデ大王の視界が歪む。
泣き出しそうなのを知られたくなくてデデデ大王がショートケーキを鷲掴み大きな口で半分ほどぱくりと食べた。口に広がる今まで味わったことのない幸福な味にまた涙が込み上がる。
「ねえ? おいしい? 恋人にしてくれる? ねえってば~」
デデデ大王が泣くのを我慢しているなぞ知らないカービィはデデデ大王のガウンを引っ張っていた。
ケーキは美味しかったのか、恋人にしてくれるのか、返事してよと繰り返すカービィの口にデデデ大王は残り半分になったケーキを突っ込んだ。いきなりケーキを突っ込まれて吃驚したカービィだったが、すぐ満足げな顔でケーキを食べ飲み込んだ。
「あま~い、おいし~」
「だろ」
「でも、いいの? ぼく半分食べちゃったよ?」
「いいんだ
…
。それにこれがオレ様の返事だ」
「どういうこと?」
「これから食べる食べ物は二人で分け合って食べるってことだ。ずっとな──」
デデデ大王としてはこれ以上ないくらいの返事だったが、残念なことにカービィには一ミリも伝わらず結局ドストレートに「恋人同士になってもいいってんだよ!」と怒鳴りながら告白する羽目になった。
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