ベルとモルの会話(+α)

会話文メインのとある日常話。糖度高め。おまけ(2ページ目)はヴィリデとベルの会話です。



カップル割のカフェに行きたいモル。
いろいろ考えた末にベルに彼氏役をしてもらうよう、頼むことになった。



「別に構いませんが、私よりヴィリデさんが適任では?」
「うん、ししょーが真っ先に思い浮かんだんだけど……
「けど?」
「ししょーはね、彼氏っていうより、お父さんって感じが強い」
「お父さん?」
「そう。それにししょーと手を繋ぐのは恥ずかしいというか……


モジモジと顔を赤らめるモルを、ベルは不思議そうに見つめて首を傾げる。確かヴィリデの家に泊まるたびに、同じベッドで寝たり、ホラー映画を見るときに始まりから終わりまでずっと抱きついていたと聞いたのだが、それは……
……いや、深く追求するのはやめておこう。昔先輩であるミアに言われたのだ。『女の子が言う「恥ずかしい」に無闇に突っ込んではいけない』と。


「なるほど。……待ってください。私とあなた、手を繋いだことはありませんでしたよね?」
「そうだっけ? でも大丈夫だよ!」


満面の笑みを浮かべたモルが、すかさずベルの手を両手で握る。ひんやりと冷たい手が、ほんのりとした温かさに包まれる。


「ね!」
……はい」


何か返そうと音にしかけた言葉を瞬時に取り消す。
楽しそうに笑っているのに水を差したくないし、この手のぬくもりを束の間でもいいから享受していたかった。


「そのカフェにはいつ行くんですか?」
「明日行こ! 学校も休みだし」
「分かりました。心置きなく楽しめるよう、課題をしっかり片付けるのを忘れないようにしてくださいね」



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翌日、カジュアル系のお洒落な服を着て玄関に現れたベルを見て、モルは目を見開いた。

「ベルってスーツ以外の服持ってたんだ……
「あまり着る機会はありませんが、手持ちはそこそこありますよ。似合ってますか?」
「うん似合ってるよ。……ってか、すごくかっこいいね」
「お褒め頂きありがとうございます」



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カフェに入ったあと。

「いくらなんでもイケメンすぎない?」
「あなたが望んだ彼氏を演じるならと、最低限のことをしたまでですが……もしかしてやりすぎましたか?」
「ううん、違うの! ただ他の人からの視線がすごくて……
「なるほど。それなら席を変えてもらうよう、店員さんにお願いしましょうか。あなたもせっかく楽しみにしていたのに、集中できないでしょう」


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席を変更したあと。


「ん〜〜! おいしい〜〜〜!!」
「あなたの食べ方は何度見ても飽きませんね」


「どうぞ」
「え?」
「あーんですよ。ほら、食べてください」
「ベル、そこまで彼氏ムーブを徹底しなくていいよ……
「では私が食べますね」
「わぁー! ダメダメ! それはあたしが頼んだやつだから!」
「冗談ですよ。はい、どうぞ」


「ベル」
「はい、何でしょう」
「もしかしてあたしを口説こうとしてる?」
「さぁ、どうでしょうか。モルがお望みならいくらでもしてあげますよ」
「勘弁して」


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帰宅中。


「はー、たくさん美味しいもの食べれて満足満足」
「良い時間を過ごせましたね」
「うん、ベルのおかげ! 今日はありがとね!」
「どういたしまして」


わずかに目を細め、口角を上げたベルはそっと手を差し出す。


「?」
「手を繋いで帰りましょう。道中は危ないですからね」
「店を出たから彼氏ムーブはもういいよ」
「この服を着ている限りはあなたの彼氏を務めるつもりでいるので。もう少し付き合ってください」
「あたし以上にノリノリだね」


仕方ないなと言わんばかりに息をついて、差し出された手を取って歩く。


「あなたがよく見ている恋愛漫画やドラマの影響を受けたのかもしれません」
「ベルも見てたの?」
「あなたの好みを把握するために少々」
「へぇ〜。……あ、だったら、もっとあたしの好みを知ってもらいたいから、推しの作品布教してもいい!?」
「構いませんよ。学校の課題を全て終えたあとなら、何時間でも聞きます」
「いいよ! あたしの何時間は長いから覚悟しててね!」
「はい、楽しみにしています」