かいえ
2025-02-24 14:17:56
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【灰武】派遣先のものすごく怖いのに格好良くて綺麗な兄弟に迫られて困っています! ②

ハウスキーパー見習いの武道が、派遣先の灰谷兄弟に迫られる話
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 それから数日後、竜胆は「この部屋さ、模様替えしようか」と、武道に提案してみた。二人でいる空間をもっと快適にしたいと考えての事だ。もちろん下心もいっぱいある。
「模様替えって何をするんですか?」
「もっと居心地良くするんだよ。例えば、ここにソファがあったら良くねぇ?」
 確かに床に座って画面を見るよりソファに腰掛けてゲームをする方が楽かもしれないと武道は思ったようで「そうっスね。良いかもしれないですね」と返事をしてくれた。
「だろ? 後、あっちの部屋も綺麗にしてさ、ベッド買い換えてちゃんと寝られるようにしたら最高じゃね?」
 親指で玄関方向を指し示して竜胆が言う。最初に来た日にストッキングが落ちていたいかがわしい部屋のことだ。
 もちろん下心ありまくりだ。いざその時が来ても、あの誰が使った分からない汚らしいベッドの上で、清らかな武道を抱くなんてありえないからだ。
「そこまでしなくても」
 武道は竜胆の提案にやりすぎだという感じだった。一瞬、自分の下心が見えているのかと、竜胆は内心ドキドキした。
「この間、床の上で寝たら翌朝だるかったじゃん。二人で雑魚寝できるでかいベッドに変えようぜ」
 何とかもっともらしい理由を付けて、ベッドを新調したいと竜胆は思っていた。勝手に新調する事だって出来るが、それだと武道に警戒される恐れがある。
「それはそうですけど。でも、ここって他の人も使うんですよね?  そんなに綺麗にしても、汚されるだけじゃないですか?」
「そこは安心していいよ。俺達しか使えないようにしたから大丈夫」
「そうなんですか? そんな事して大丈夫なんですか?」
「大丈夫だって。他にもアジトはいっぱいあるから、タケミチは気にすんな」
 この人「アジト」って言ったよと、武道が震え上がっていた事に竜胆は気づかない。
「ここを俺達だけの秘密基地にしようぜ」
 そう言って竜胆は武道に微笑んだ。
「秘密基地?」
 竜胆の言葉に、武道の青い綺麗な瞳がキラリと光った。先ほどまでの消極的な態度が一変して「それ、最高ですね」と答えてくる。
竜胆は予想したより武道が乗り気な事に喜び、武道が大きな瞳を見開いてキラキラさせて竜胆を見上げたので、キュン死しそうになっていた。
 こうして、竜胆と武道によるアジトの秘密基地へ改装大作戦が始まった。
 じゃあ、どこをどう変えるか考えようと、竜胆が提案すれば、武道は嬉しそうに話に乗った。
 ただ竜胆の思惑と違ったのは、全部自分でやろうとする武道の姿勢だった。竜胆にしてみれば、後は業者に発注すれば良いと考えていたのだ。だから、ホームセンターで材料から購入して、組み立ての家具を買ってやろうという武道の発想に唖然としてしまった。それなのに面倒くさいと言わなかったのは、休みの日に来て作業しても良いかと、武道が聞いてきたからだった。
 武道と仕事じゃない日にも会える。
 だったら、作業は面倒なほど良いじゃないかと、竜胆は少しおかしくなっていた。棚からぼたもちとはこういう事を言うのだろう。竜胆は平然とした表情を浮かべつつ、内心はニヤニヤしっぱなしだった。
 そうした次第で、出来るところは自分たちでやる事になった。例えば壁紙の張り替えとか、ちょっとした棚を作ったりする作業だ。必然的に材料もちょいちょい買いに行く必要があり、竜胆にとって武道との買い物はデートしているようなものだった。
 作業は思ったより大変だった。でも、武道の自由時間を占有しているのだと思えば何ともなかった。それに、普段の自分なら、こんな面倒な事は他人にやらせるのに、武道と一緒だと、どんな面倒な作業も楽しく面白くやれてしまうのが竜胆は不思議だった。
  竜胆と武道の秘密基地は、毎日のように作業して一ケ月もすると完成した。そして、今日は玄関に近い部屋に新しいベッドが運び込まれる日だった。竜胆は何時間も前からアジトのマンションで配送業者がやってくるのを待っていた。これを機に、竜胆は今夜こそ武道に告白して、武道の初めてを全て奪うつもりでいた。
 配送業者は時間になっても来なかったが、ずっと今夜のシミュレーションをしていたので、いつもならブチ切れるのというのに全く苦では無かった。とはいえ、一時間遅れでベッドが届き、買っておいたシーツをセットしたら、武道の仕事が終わる時間を過ぎてしまっていた。
 今夜は蘭が自宅に戻る予定がない事を、竜胆は事前に確認しておいたが、それを知らない武道は怖がって待っているかもしれない。竜胆は慌ててアジトのマンションを飛び出しバイクに飛び乗ると、ワクワクしながら自宅に向かった。
 玄関を開けると、武道のスニーカーがあるのが目に入った。にこにこしながらリビングに行き、武道の名を呼んだが、明かりはついているのに武道の姿は無かった。変な位置に武道のリュックが投げ出されるように落ちているのも変だった。
 リビングの清掃は終わっているので、竜胆はバスルームに向かった。バスルームの引き戸を開けても、武道はそこにいなかった。イレも覗いたが、武道はどこにもいない。納戸も来客用のトイレにもいない。武道が依頼されていない部屋の中に入る訳が無いとは思ったが、使っていない奥の部屋から順に開けて、念のため暗がりに向かって「タケミチ」と声をかけたが何の反応も無かった。
 念のため、自身の部屋も探したがいなかった。残るは蘭の部屋だけだった。
 まさかと思って扉を開けると、衝撃的な映像が目に入った。クイーンサイズのベッドの上で、蘭が武道の身体に馬乗りになっていたのだ。
 それだけでも気が遠くなったというのに、蘭の手は武道のズボンを脱がそうとしているところで。「兄ちゃん!?」と竜胆は思わず叫んでいた。それなのに蘭は「どしたー? トラブルでもあったか?」と、能天気に竜胆に尋ねて来たのだ。
「トラブルでもあったかじゃないよ! タケミチに何してんの?」
「そんなの決まってんだろ♡」
 竜胆は恐ろしくショックを受けていた。初めて自分で見つけた相手に蘭が手を出そうとしているのだ。しかも、自分より先に。
「に兄ちゃんもタケミチの魅力に気がついちゃったんだ
 蘭が興味を持たなかった事をあれほど喜んだ自分がバカみたいだった。蘭とシェアしない、自分だけのものだと思っていたから、尚更ショックだった。
「いや、気が付いてないな?」
 あっさりと蘭が答える。だったらただの興味本位だ。つまみ食いするみたいに、武道の初めてを奪われるのは我慢ならなかった。
「え? じゃあ、止めてよ。そいつは俺が最初に見つけたんだから」
「魅力は分からなかったけど、興味が出たから止めない」
 蘭がふふふと笑う。いつもなら見惚れる兄の笑顔だけど、今日の竜胆はカチンときた。
「武道はいつものとは違うんだって。清らかなの。この年で童貞なんだぜ?」
 竜胆はこの年でと言ったが、武道はまだ十七歳だから、まだこの年でという年齢でもないから、童貞でも特に変ではない。
「マジか」
「マジ! だからやらないで」
「えー。結構ヤル気になってたんだけど」
「ダメったらダメ!」
「女はいつもシェアしてたじゃん」
「そうだけどでもタケミチはダメ!」
 竜胆の言葉に蘭の目がスッと細められた。竜胆はようやく我に返った。怖い兄を怒らせたかもしれないと内心ヒヤッとする。
「もしかして、この先も、ずっとシェアしないって言ってる?」
 蘭はやはり怒っているようで、声のトーンが絶対零度だ。
だって兄ちゃん興味無さそうだったじゃん。だからタケミチは初めて独り占め出来るかと思ってさ
 半泣きの竜胆を見て、ちょっと可哀想だったかもと蘭は思った。確かに、いつもは蘭が竜胆の相手になる女を調達する事が多かった。自分で見つけた相手と最初にやりたい気持ちは分からないでもない。けれども、竜胆が独り占めしたい人間が、自分以外になるのは蘭には耐えられなかった。
「そっか。悪かったな。でもシェアはするよな?」
 本当は嫌だったけれど、竜胆は歯を食いしばって頷いた。蘭には絶対服従するしかないのを竜胆は身に染みて分かっていた。兄である蘭をずっと傍で見ていたのは竜胆だ。その兄の恐ろしさは半端ない。ここで蘭の機嫌を損ねるのは、絶対得策ではなかった。しかも、怒りの矛先は竜胆ではなく、武道に向かう事を竜胆はよく分かっていた。
「じゃあ、せめてタケミチに初めて突っ込むのは俺にしてよ」
「りょーかい。じゃあ俺は上の口を頂こうかな♡」
 蘭はすこぶる楽しそうだ。
「タケミチのファーストキスを兄ちゃんが奪っちゃうの?」
「処女は奪えるんだから良いじゃん」
「だってファーストキスはどこでするとか、俺だってもう決めてたのに
 今夜ドライブの後に夜景を見ながらしようと、竜胆は計画を立てていた。
「そんなにか。分かった。じゃあ、ファーストキスは竜胆がしろよ」
「ホント?」
「あわりぃ。そういえばさっきやっちゃったワ」
 蘭の言葉に武道に目を移すと、武道のふっくらとした唇は濡れて赤く光っていて、口の周りは唾液でてかっていた。しかも武道の顔も首筋もほんのりと赤く上気していて、その大きな瞳は欲情で潤んで焦点が合っていない。
 先程から武道が一言も話さないのは、蘭がしたキスで酸欠にさせられているに違いなかった。
 竜胆は何もかも嫌になった。ずっと大事に取っておいたおやつを蘭が勝手に食べられたみたいな気分にさせられた。
 竜胆はその場で膝をついた。目から勝手に涙が溢れていた。
「ひどいよ兄ちゃん
 竜胆は奈落の底まで落とされたような気分だった。こんな事なら、さっさと武道にキスしちゃえば良かったと竜胆は死ぬほど後悔していた。でも、実際は寝ている武道にキスしているから、武道のファーストキスを奪ったのは竜胆なのだが、武道が認識しているファーストキスの相手が蘭だという事実が耐えられないのだ。武道の最初の相手は全部自分である筈なのにと、憤りが抑えられない。
 しかも、蘭は武道の事を何とも持っていないのに、初々しいファーストキスどころか、ディープキスまでやっちゃったのだ。もう、本当に信じられなかった。
 そんな絶望の淵にいる竜胆に蘭は近づき、同じように膝をついて竜胆の身体を抱きしめた。
髪を撫でながら「ごめん。兄ちゃんが悪かった。キスはしちゃったけど、それ以上はしてないぞ。上の口も尻の穴も竜胆にあげる。最初に突っ込んでいいから、これ以上泣くなー?」と言った。
 全然謝っていないが、竜胆は蘭が譲歩するだけでも奇跡に思えたから気にしていなかった。だから、竜胆は現金にも「ホント?」と、途端に目を輝かせた。蘭はそんな竜胆を微笑ましく見つめながらも「シェアしてくれるならそれでいいよ♡」と釘を刺す事を忘れはしなかった。
 竜胆は「もちろんだって」と言って笑った。
 武道とセックスすることが、いつの間にか蘭の許可制になっている事に、バカな竜胆は気が付いていない。
 クイーンサイズのベッドの上で半裸にされた武道は、この後自らに訪れる色々を想像も出来ずに、ただぼんやりと二人の様子を眺めていた。