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めめた
2023-03-28 12:03:21
5910文字
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邪竜の御子と異教徒
邪竜の子であるリュールと、神竜様の話に助けられなかったパンドロの話です。ちょっとパロっぽいかも。
こんな話が読みた〜いの勢いで書いてます。気が向いたら追記で続きます。
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※作者は宗教的なことについて無知です。
形だけの教会。救われない我が身。神様は何方におわすのか。救いを求めて祈っても、必死に生きようと考えても、小さな子どもの手は、何にも縋れず力尽きた。
曰く、邪竜は世界を壊してくれるらしい。そんな邪竜と対をなす神竜は世界を見守ってくれるらしい。
(ああ、早くこんな世界を
……
)
ソルムは自由の国だ。それでなくても、誰が何を信仰して、なにをするかなんて、他人にとやかく言われる筋合いは無い。迷惑をかけている訳でもないのだ。ただ、信仰しているだけで。
両親が失踪してからもう何年か。家出をした妹の行方も見つからない。小さな教会で神に祈る日々を淡々と過ごしていた、とある日、一通の手紙が届いた。
封筒に差出人は無く、封蝋の紋様もごく一般的なものだった。
訝しく思いながら内容を確認すれば、書き出しにきちんと差出人が書かれている。隣国であるイルシオンの教会からだった。
たった一人、ソルムに居る聖職者を招集するためだけに出された手紙は、本当に要件だけが簡潔に記載されていて、イルシオンで何をするのか、その内容は全く無かった。
けれど、呼ばれるがまま向かうことにしたのだ。国を離れるにあたり、両親はともかく、妹のことは気がかりだった。生死も定かではない、たった一人の妹だ。彼女は逞しく、自由に生きているだろうとは信じているが、兄として心配しないということは不可能なのだ。
それでも、もしかしたら妹も国外に居るかもしない。そんな風に言い訳をして、己を騙して、結局は己のためだけに、イルシオンへ向かった。
国境を越えてすぐの街で防寒具を買った。ソルムと違ってイルシオンは雪国だ。国境を挟めば砂塵と粉雪の違いが現れるのを不思議に思うが、しかしそれは長旅の暇つぶしに過ぎない。大して興味もないことだった。
鼻の頭を赤くして、漸く呼ばれた教会へと到着した。肩に雪を乗せたままその扉を押して開く。中はステンドグラスがキラキラと輝いていて、実家の教会とは大違いだった。
「パンドロ殿ですね。遠路遥々、よくお越し下さいました」
招待状を手渡すと、受付をしてくれた牧師は愛想よく頭を下げた。つられて、パンドロも頭を下げる。
異教徒。パンドロのソルムでの立場はそんな言葉で片付けられた。
人が何を信仰するかは自由だ。だからこそ、パンドロが何をしていようと害が無ければ何も言われない。表面上は、そうだ。石を投げられることも無い。けれどパンドロは一人だった。
たった一人、信仰するなら神竜だという風潮の中で、邪竜を信仰した。
だからパンドロは、イルシオンからの手紙に驚愕したのだ。
イルシオンが邪竜教徒に手紙を出すこと自体はおかしくない。この国は、神竜信仰が当たり前のエレオス大陸で唯一、邪竜信仰が一般的な国だからだ。
けれど異国の、大々的な活動も出来ていないパンドロ宛に手紙を出してくることは異例のようにも思えた。そもそも、よく存在を知っていたものだ、とも思う。
「残念なことに
……
邪竜ソンブル様は未だお目覚めになられません。ですが、安らかに眠られておられるなら、それは喜ばしいことです。邪竜様の安寧こそが、我々の安寧であります」
司教の話に耳を傾けながら、パンドロは両手を組んだ。いつか邪竜は目覚めて、この世界を壊す。その後はどうなるのか、どうするのか。その考えは邪竜にしか分からない事だ。知る必要も無い。その時にはパンドロも息絶えているのだから。
「本日、皆様にお集まり頂いたのは、大切な発表があるからです」
邪竜ソンブルについての話が終わり、これが本題、と言わんばかりに声色が変わる。
「御子様がお目覚めになられました」
ぱち、と。パンドロは目を開いた。ソルムでは邪竜教の聖書は無く、又聞きの伝承しか知らずに居たため、御子がいた事も知らなかったのだ。
この機会に、一目姿を見られたら、と欲を出した。
司祭に導かれるまま、祭壇に姿を現した御子は、竜と呼ばれながらも人の形をしていたが、鮮やかな赤い髪に、宝石がチンケなものに思える程の美しさを持つ赤い瞳を持っており、神々しい、と形容するに相応しい姿をしていた。
途端にザワつく教会内で、パンドロだけが口を閉ざして震えていた。畏怖と、歓喜が全身を巡る。組んだ両手に力が入って、今息が出来ているのかも分からない。
だから、不意に目を向けられるまで、不躾に視線を注いでいることにも気が付かないでいた。
(お怒りになられたかもしれない
…
)
慌てて目をそらして、再び祈るように瞼を下ろした。
高揚感が治まらなくて、耳元で鼓動が聞こえる。司教は場を静めると再び話を始めた。
「御子様はまだ万全な状態では無く、身の回りのお世話を務める者が必要です。此処にお集まり頂いた皆様の中から、御子様に直接指名をして頂きます」
司教が言い終わるが早いか、御子と呼ばれた赤毛の少年はその場を動いた。司教と、その隣にいた司祭も、周りで座している沢山の司祭も、入り口付近に座した信徒達も、皆が動揺した。
再び騒がしくなった周囲への疑問と、床板を叩く足音が気になったパンドロは再度目を開けた。床の上には自身の足と、見慣れない靴を履いた別の足。
ゆっくりと頭を上げれば、そこには、ついさっき見惚れた邪竜の御子が立っていた。
「このひとがいいです」
スッ、と指を指された間違いなくパンドロだった。聖職者として、一般の信徒よりも前に座してはいたが、他国の者として、また大きな活動をしていなかったため隅に身を置いており、他の人影も誤る位置には居ない。
「お、オレ
……
?」
思わず声に出すと、御子は黙って頷いた。
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