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かいえ
2025-01-25 02:17:34
4910文字
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【タケミチ愛され】東京卍會の不文律 ②
本誌第277話を見て堪らなくなり書いたお話
総長代理だから相談役な代理みっちを書こうと思ったのに、出来上がりは全然違うものに…
幹部からのみっちへの愛が重過ぎて、モブが近寄れず相談役にするのを断念しましたやつです
モブ視点
4,907文字
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東京卍會の幹部は、もれなく全員が暴走族の総長クラスで構成されていた。その総長クラスであるの猛者達の頂点に立つ男が、佐野万次郎こと無敵のマイキーだ。
幹部たちにも各々武勇伝があるが、マイキーさんの武勇伝となると、それはもう数えきれないくらいあった。
抗争で凄い不利な状況であるのに。二万人連れて来いと相手チームを煽ったとか、一人で千人もやっつけてしまったとか、中には眉唾ものみたいなのもあったが、今、マイキーさん本人を目の前にした俺は、その圧倒的な不良のオーラを見て、全部本当の事だったかも知れないと思ってしまった。
俺は幹部連中によって、マイキーさんの前に引き立てられていた。
マイキーさんは積んだ木箱の上に座って、埃っぽい床の上に正座している俺を見下ろしていた。マイキーさんが奉行で、俺は白州にいる罪人のような構図だ。俺を見るマイキーさんの目は座っていて、瞳は闇夜のように真っ暗で光が無い。とても人間の目とは思えなくて、俺は恐ろしさにゴクリと息を飲んだ。
「おまえか、タケミっちに近付いたって奴は?」
「いえ
…
あの
…
」
近付いたというか「自販機の前でお金が足りなくて困っていたから十円貸しただけです」と言いたいのに、怖すぎて口が動いてくれなかった。
「どうやって死にてぇ?」
やっぱそう来ますよね? と、セルフ突っ込みをいれつつ、冗談じゃなく本当に抹殺されそうで俺は蒼ざめた。
この場から逃げ出したいけれど、俺と出入り口の間には、幹部たちが大勢立っているので、どうやっても逃げられない状態だ。それに、この場から逃げ出せたとしても、追手は必ずやってくるに決まっている。制裁対象になって、逃げおおせる訳が無い。俺は絶望の淵に立っていた。
「そんな奴に話なんて聞いてないでさ、さっさとやっちまおうよ」
耳に付けたピアスがリンとなる。発言者は東京卍會の創設メンバーで肆番隊隊長の羽宮さんだった。平常時から目がイッてる感じの人だったが、今日は更にイッっちゃっているようにしか見えず背筋がゾッとしてしまう。
「そうだよ、そいつ、タケミっちの手にキスしたんだろ?」と、陸番隊隊長のスマイリーさん。綿菓子のようなふわふわした髪型でいつもにこやかに見るけれど、実は恐ろしい人らしい。
「でも、そいつは『代理に近寄らない、話さない、目を合わせない』という不文律をやぶったんだもんな
…
そんなの死刑になるって分かってやったんだろ?」と、陸番隊副隊長のアングリーさん。スマイリーさんの双子の弟にして、スマイリーさんの何倍も強く怖い人だという噂がある。
「うちの配下の工場で解体してやろうか?」
もっと恐ろしい事を平気で言うのは、元横浜天竺総長で捌番隊隊長のイザナさんだ。マイキーさんとは異母兄弟という噂があるが、二人の容姿は似ても似つかない。ただ戦闘スタイルはよく似ていて、ほぼ互角という話だった。そして、成人しているということもあり、暴走族というより事業を始めている気配があった。その関係の工場で魚のように解体されちゃうのだろうかと、正座しながら足が震える。
「ちょっと待った!」
そこに颯爽と現れたのは花垣さんだった。
幹部の間を抜けて走ってきて、俺とマイキーさんの間に両手を広げて割り込んで来たのだ。背中に刺繍された「東京卍會」の金色の文字がすぐ目の前に見えて泣きそうになった。
「この子は悪くないですよ!」
花垣さんはしっかりとした大きい声で宣言するように、マイキー君に言い放った。
「何で来た、タケミっち!」
マイキーさんの苛立った声と、背後の幹部の舌打ちが聞こえてくる。この件は花垣さんには内緒で行われていたのだと知って、何だかすごく嬉しくなった。花垣さんが俺を嫌っている訳ではないという事が分かってとてつもなく嬉しかった。
「何でって、来なかったら、ヤバかったですよね?」
「自業自得なんだよ。俺のもんに勝手に触れたんだ。当たり前だろう?」
「マイキー君がそんな考えなら、オレにも考えがありますからね。この子は、今日この時間をもって、俺の専属の部下にします! なので、俺の許しなく話しかけるのは禁止です!」
俺が花垣さんの直属の部下?
まさに青天の霹靂のような話だった。マイキーさんの奥歯を噛み締めている音が聴こえた。
「タケミっち、なに勝手な事を言ってんだよ?」
「勝手なのはそっちですよね?」
俺が怖くて何も言えなくて、絶望するだけだったのに、花垣さんはマイキーさんに真正面から立ち向かっていた。俺より小さな身体で、俺を守る盾のように立っている。その背中はとても広く見えて、俺は感極まっていた。花垣さんは、ここにいる人たちの中の誰よりも小柄であるなのに、誰よりも強くて大きく感じた。しかも、総長のマイキー君を恐れることなく、対等の立場で話を着けようとしてくれているのだ。ほとんど知りもしない俺の為に、命を張ってくれているのだと思うと、嬉しくて胸が震えた。
「キミ、大丈夫? 立てる?」
花垣さんは話は終わったとばかりに振り返ると、後ろにいる俺に手を差し出してくれた。今日の花垣さんはいつもの金髪のリーゼントではなく、髪はおろしたままの自然な感じだった。くせ毛の髪はふわふわとして、まるで宗教画に描かれた天使のように神聖で可愛らしい。
俺は呆然として花垣さんを見上げるしか出来なかったのだけれど、花垣さんは自ら俺の手を握り、引っ張り上げて立たせてくれた。
その瞬間、周囲から複数の殺意が発生して、強い視線となって俺にを突き刺さったけれど、それでも俺は幸せだった。
花垣さんが再び俺に向かって微笑んでいるのだから。
もう、ここで死んでも良いと思った。
「勝手にきめちゃったけれどいいよね? 俺の直属の部下になってくれるよね?」
たとえ、後で殺されたとしても、こんな風に花垣さんにお願いされて断れる隊員は居ない。どっちみち「はい」と言おうが「いいえ」と拒もうが、待っているのは死しかないのだとするなら、俺は花垣さんの元で死にたいと思い「はい」と答えた。
花垣さんは、花が綻ぶように笑みを浮かべた。
マイキーさんを始め、幹部達の視線がひたすら怖い。
後悔はしないけれど、その時に浴びた憎悪は一生忘れられないと俺は思った。
「じゃあ、行こっか」
そういう花垣さんの声は明るくて、何も恐れる必要が無いという気持ちにさせられた。
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