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紫輝
2024-02-23 08:07:49
6704文字
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リオヌヴィ
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【リオヌヴィ】その『お作法』を投げ捨てろ【原神】
ヌ様に恋愛相談されて心で泣きながらアドバイスするセスリ殿の話です。かっこいい公爵はいません。すみません。こんなあらすじですがいつものリリカルほもです(言い方)
書いてる最中セスリ殿にあまりに申し訳なくてずっと胸がギリギリいってたんですが、当事者の公爵がヌ様を愛しすぎててその辺り全部不問にしてしまったので2ページ目に後日談を足しました。空くんとお茶会する二人の話です。
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2
□■□
パレ・メルモニア。四階の執務室である。
今日も今日とて秘境攻略にフォンテーヌの表と裏のトップから力を借りたのち、そうだ話があるとヌヴィレットに引き止められて茶卓を囲んでいるところだ。
季節のクッキーでリオセスリの淹れる美味しい紅茶の一杯目を楽しんだ辺りでヌヴィレットから聞かされたのは、いくつかある二人の関係に恋仲の文字が加わったことだった。友人である君に隠し立てしたくなかった、と言う彼に、まずはおめでとうと笑う。
「お付き合い始めたんだ? じゃあリオセスリ、やっと告白したんだね」
「いや」
「え?」
「告白したのは私だ」
「ええ?!」
それから「お代わりを淹れよう」と席を立ち、ポットへ向き合っているリオセスリの背中をちらと見て続けた言葉に、返ってきたのは意外にも否定だった。失礼だとは思うけれどヌヴィレットから動くところは全く想像できなくて思わず裏返った声に、ヌヴィレットは淡々と続ける。
「ずっと想いを寄せてはいたのだが、いざそれを告げようと思うと恥ずかしながらそういったことに関する作法には疎いことに思い至ってな。どのようにすれば良いかとリオセスリ殿に助言を求めたのだが、」
「待って」
「うん?」
何やら信じがたい事を聞いた気がする。普通は、絶対に、やらないであろう事を。
「それリオセスリに聞いたの?!」
「うむ」
ヌヴィレットの性格を知っているからこそこの人がどんな風にそれを問いかけたのかも容易く想像がついてしまって、他人事なのに頭が痛い。
彼しか頼りがいなくてとヌヴィレットは言う。それはいい。男冥利に尽きよう。ああけれど
これ
・・
は。
それを差し引いてもあまりにも、
「か
……
」
「??」
「可哀想
………
」
呟いてしまった。呆然と。心遣いをありがとう、と、茶葉がポットへ入っていく音をさせながらくつくつと笑うリオセスリの声がする。笑い事ではないと思うのだけれど。
出会って間もない自分にも(自分だからかもしれない)わかるくらいの想いの片鱗に触れてきた。自身の領地たる要塞の秩序を慮るのと同じくらいこの人に心を砕く様を見てきた。彼が要塞の秩序に重きを置くのは、巡り巡ってこの人の憂慮を減らしたいのかもしれないと、そう考えてしまうくらいに。
傍目に見ていてわかるくらいの深い深い想いを、悟らせる気がなかったのかいずれはそうするつもりだったのか、この人が極端に鈍いだけなのか(これが一番近い気がする)、ともかく身の内に潜めて、この人のよき相談相手として人間の中では一番近くに立ち続けたリオセスリの精神力には感嘆しか出ない。だからこそ。
「あのね、ヌヴィレット」
「なんだろうか」
言いたくなってしまった。彼が何も言っていないのなら、彼の中で何らかの始末をつけたか、これを上回る何かが二人の間にあったのだろう。そうは思うけれど、それにしたってこれはあんまりだ。
「ヌヴィレットはずっとリオセスリのことが好きだったんだよね?」
「ずっとの定義が曖昧ではあるが、そうだな」
「そのリオセスリに、「好きな人がいるから告白しようと思う。どうしたらいいかアドバイスして欲しい」って聞かれたらどう思う?」
「
…
?
……
っ?!」
自分の言葉に不思議そうに首を傾げたヌヴィレットの瞳がはち切れんばかりに見開かれ、白皙が白を通り越して蒼白になる。長い足がテーブルを打ち、茶器がささやかな悲鳴をあげた。そうして立ち上がったヌヴィレットはよろよろと歩を進め。
茶葉の仕事を見守っていた黒い背中にぴとりと貼り付いて動かなくなった。
「
…
リオセスリ殿」
「なんだい?」
「私は
…
君にとても申し訳ないことを
……
」
「ははは、ご理解いただけたようで何よりだよ」
悄然とくぐもる声に返るリオセスリの声はミルクティーのようにやわらかい。やっぱりこの人ヌヴィレットに甘いよな、なんて思いつつ、余計なお世話と理解していても二人の今後が不安になる。
「なんというか
…
大丈夫?」
色々。気になることがありすぎて漠然としてしまった問いかけに、ポットにティーコージーを被せ、よいせ、と呟いて身体を返し、ヌヴィレットを正面から抱き直したリオセスリは困ったように笑った。
「そこが可愛いと思っちまってる時点で駄目な自覚はあるな」
ぽんぽんとその背を撫でながら口にされるそれは先のミルクティーに蜂蜜を入れたような声音で。
「そっか。お幸せに」
「おう」
どうやら無用の心配だったようだ。照れたような笑顔にこちらもなんとなし嬉しくなってしまう。
薄曇りの空に光が差し、お茶会が再開されたのはそれから五分後の事だった。
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