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ひつじのゆめ
2025-01-04 18:40:33
4780文字
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What if……?
我が道を行くアシュと振り回される砂の、付き合ってるアシュ砂です。砂がちょっと女々しい。
後半へ行くにつれて空気が怪しげに……
🔞は無いのでパスつけませんが、♡は飛んでいます。ご注意ください
注意書きは以下の通りです↓
※何でも許せる方向け
※口調が迷子
※捏造注意
1
2
――
えらい目にあった。本当にえらい目にあった。
心なしかフラつきながら、サンシャインは廊下を歩く。あれから夜が明けるまで、もう言葉にするのも恐ろしいまでの責めを受け続けることになった。泣こうが喚こうが許されることはなく、夜が明けるまで延々と、である。
もう本当に死ぬかと思った。むしろ何で死んでないのかが分からない。いやあんな理由で死ぬのはかなり嫌なのだが、本当に命の危機を覚えたのだ。まざまざと見せつけられたガチギレ王子の本気は、怖いなんて言葉で表せるレベルではなかった。
赤くなったり青くなったり、我ながら忙しく顔色を変えていた時だ。
「サンシャイン」
斜め下から掛かった声に振り向けば、七人組の一角であるミスターカーメンが立っていた。何か用だろうか。
「どうした、今度のスパーの件か? 」
「いや、違う。そうではなく
……
」
そう言ったきり、カーメンは何故か黙ってしまう。その表情は暗いというか、何かに困惑しているようにも見えた。こんな反応をされるのは中々珍しい。こいつは比較的、はっきりとものを言うタイプの超人であるはずだが。
すわ緊急事態かと問いかける前に、カーメンの口が再び開いた。ひっそり身構えたサンシャインは、飛び出してきた言葉に隠れた目を丸くする。
「
……
近頃、腹に違和感があったりはしないか? 」
「
……
は? 」
「だから、腹に違和感
……
常と違うところがあったりしないかと聞いてるんだ」
何を言い出すかと思えば、本当に何のことやら。
質問の意図がいまいち分からず、首を捻る。だが、相対するカーメンの表情はやけに真剣だ。こちらが理解できないだけで、何か重大な意図があるのだろう。こちらも真面目に考えてやるかと、少し考えてみる。
(いやまあ、違和感はあるんだよな
……
昨日の今日だし
……
ただこれはまあ、一時的なモンだからな
……
)
「
……
今のところはねえな」
裏にある諸々を呑み込んで、とりあえずそう答える。そうすれば、カーメンは見るからに表情を明るくした。
「そうか
……
! いや、それなら良いんだ。それなら
……
」
そう安心したように呟いているが、サンシャインの方はあまりよろしくない。そう思わせぶりな態度を取られると、何となく気になってくるではないか。
「おいカーメン、結局お前は何が言いたいんだよ」
そう問えば、明るかった男の表情に一瞬影が差す。先ほどと同じ、困惑と窺いの混じった暗さ。
しかし、それも一瞬のことだった。何かに納得したらしいカーメンは、世間話でもするように言う。
「何、ちょっとした確認だ。お前に何もないというなら、アレはただ酒の席で気になったから聞いてみただけだったのだろうよ」
「いや何の話
……
」
相変わらずはっきりしない口振りである。もう一度言い募ろうとしたサンシャインの眼前に、煤けた白が突きつけられた。
顔を引けば、それが何か記された紙切れだと言うことが分かる。というか書類の裏紙だった。好きに使えと箱に放り込まれているやつ。
「
……
何だコレ」
「お前が聞きたいだろうことの答えだ。アシュラマンに頼まれて用意したものだが、一目見て覚えたとかで持て余していたのでな。ついでだからやる」
それだけ言って、カーメンは歩き去って行った。何だったのだ、一体。
頭を掻きながら、受け取った紙切れを眺める。そこには手書きだろう文字がつらつらと並べられていた。この字は今しがた去っていったカーメンのものだろう。つまり、これは何らかのメモ書きか。
とりあえず読み始め、顔を顰める。何だ、この凄まじく怪しい文章は。
「人ならざる者を懐胎させる呪法、ねえ
……
」
何とこれ、タイトルである。内容は全くもって題名どおりだ。元が無機物だとかで性別がないものに子を孕ませるために施すあれやそれが、さほどデカくない紙にびっちりと書き込まれている。
どこの誰に需要があると言うのだろうか、こんなもの。真っ先に思ったのはそれだった。
あの男が得意とする古代エジプトの秘術に、まさかこんな怪しげな代物があったとは。いやそもそも秘術という前提が十分に怪しくはあるのだが、それでもこれは並外れている。
こんなもんどうしろってんだと頭を悩ませかけて、ふと違和感を覚えた。
――
さっき、カーメンは何て言っていた?
(アイツ確か、アシュラマンに頼まれたって
――
)
バッ!と、もう一度紙切れに目を通す。人ならざる者を懐胎させる呪法、どう考えても需要の無さそうなそれ。
だが、サンシャインには残念ながら少しばかり覚えがあった。
『子を作るなら何人がいい? 』
恐怖の一夜を味わうことになった原因である一言が、やけにはっきりと脳裏に蘇る。それを言い放ち、散々この身を好き勝手してくれた男が、これを頼んだ張本人?
「いや、まさかそんなよ
……
」
流石に気になってしまって、思わず下腹を撫でさする。そこでふと、気づいてしまった。
――
そう言えば朝からずっと、腹に違和感がある。詰まっているはずなのに、そこにだけぽっかり空間が空いているような。
動揺のあまり握りつぶしかけた紙を見下ろして、サンシャインは呟く。
「
……
マジで? 」
そんな筈はない、ただの思い違いだ。
そう思うのに、何故か腹の奥底がじわりと熱を持ったような気がした。
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