ぬこ尻ryo
2024-12-28 19:19:22
6518文字
Public ワンドロ企画など
 

聖剣ワンライワンドロ企画22回 ※紅デュ

聖剣ワンライワンドロ企画22回
『食卓』

妄想捏造現パロ紅デュ『喫茶デュラン』設定がベースの右デュ
※ただし左は全種紅蓮魔、、、全種紅蓮魔×デュ
※当然、紅蓮魔ネタバレ含む
※バルセロナ愛が異常なのでところどころスペイン用語が出ております。



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瞼を閉じていても感じる鮮烈な光。
リビング中を照らすように差し込んできた日差しが朝の到来を告げる。
デュランは目のくらむような眩しさを感じて、ゆっくりと重い瞼を開いた。
途端に、後頭部を鈍器で殴られたような痛みに襲われてこめかみを押さえた。


昨夜は珍しい顔ぶれがデュランと相方の喫茶店を訪ねてきた。
久しぶりの邂逅を祝おうと嬉々として秘蔵のワインやカヴァを開けた、、、ことは覚えている。
いまだはっきりとは覚醒しない頭の中で昨夜の出来事を再生させていると、デュランはうーんと唸りながら首を傾げた。


みんなで楽しく飲んだ、そこまではよい。
だがその後の記憶が、映像化されない。
突然電源が落とされたかのように、ぶつりと記憶が途切れていた。


デュランはしばし黙考したのち、今はこれ以上記憶を深追いすることは無理だと判断し、一旦追求を諦めることに決めた。
凝り固まった首周りと肩の関節をほぐすために、ううーん、と思い切り両腕を伸ばした。


改めて、現状確認のためにデュランは自分の周囲を見回した。


空瓶のボトルがローテーブルに乱立しているリビング。
ソファベッドを占領するひとりの男と折り畳みマットに雑魚寝する二人の男。
それからミニサイズの『何か』がいっぴき。

はちみつ色の髪の毛の青年が二人と、対照的な白銀の髪を持つ男。
三人+いっぴきともその相貌は、デュランの相方である紅蓮の魔導師によく似ている。

『全員、顔だけはいいんだなあ。』

デュランは腰に絡みついている相方の細い、けれどほどよく筋肉のついた両腕をべりべりとはがしながらその端正な顔と、他の二人の男の顔と交互に視線を巡らせて、改めて感慨深そうにため息をついた。


数十秒間、PCでいうスリープ状態が続いた後、デュランは脇腹をポリポリと掻くと突然、うん、と一人何かに納得したようにうなずいた。
大きなあくびをしながら立ち上がると、ひとまず現状は考えない、という選択肢を選んだ。

立ち上がると一瞬立ち眩みをおぼえて、たたらを踏む。
同時に腰のあたりに残る鈍い痛みが蘇り、デュランは『はあ』と小さなため息をついた。

昨夜の情事が思い起こされて、デュランは顔が熱くなった。

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その事実を霧消するように頭をふると、デュランはバスルームに向かった。
体内に分解され切れずに残ったアルコールの残滓を洗い流すように、熱いシャワーを頭から浴びる。
いつまでもグズグズとまどろみの中をたゆたいたがる脳みそをなんとか覚醒させると、デュランはキッチンへと向かった。


シャワールームの中で思わず頭を抱えてしまったことは、絶対に黙っておこう、と一人で決意を固めつつ、キッチンに到着するとまっさきに冷蔵庫に向かった。
耳の奥に残響を残す、昨夜囁かれた男の睦言は、酒が入っていたからだと自分自身にいいきかせながら、腰のあたりを片手でさすりつつ、ひんやりとしたトビラを開けて水の入ったボトルを取り出す。
シンクに取り付けた水切りかごからグラスをひとつ選ぶと、その中にボトルの水を注ぐ。
グラスの底からシュワシュワと無数の水泡が踊るように立ち上る。


自家製炭酸水をグラスの八分目まで注ぐと、デュランはそれを一気に飲み干した。
カラカラになった喉を通り過ぎて流れ落ちると同時に水分が血管に吸収されて、乾ききった全身がじんわりと満たされていく気分がした。

「さてと、、、」

摂取した炭酸水の力で最後まで留まっていたアルコールをすべて排出してしまうと、デュランは一度キッチンをぐるりと見渡した。
それから腕まくりをして、朝食の支度に取り掛かった。

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マキネッタに挽いたコーヒーの粉と水を入れてコンロにかける。
炊飯器をセットする。
冷蔵庫から適当に食材をとりだす。

昨夜の味噌汁が残った鍋を温める。
が、招かれざる珍客の来訪を知った時点で二日酔いになることはわかり切っていたため、冷凍していたシジミも投入する。
沸騰する手前でさいの目に切った木綿豆腐もお鍋に追加する。

包丁が小気味いいリズムを刻む。
マキネッタから水蒸気が噴出してきて、こぽこぽとエスプレッソを抽出しだす。
オーケストラピットのようなキッチンの中で、デュランの手足は楽団をとりまとめるコンダクターのようにくるくると働いていた。




ダイニングテーブルの上が色とりどりの絵具で描かれたような朝食で彩られると、デュランは一仕事を終えたような気分になった。
ダイニングにぐるりと視線を巡らせると、スチームミルクをたっぷり注いだカフェラテで一息つく。


炊き立てご飯、シジミのお味噌汁、きゅうりのお漬物。
チーズとハーブのグリーンサラダ、バタークロワッサンのホットサンド、自家製トマトジュース。
ご丁寧に皮を剥いて食べやすいサイズにカットしたオレンジもお皿にこんもり小山を作っている。

念のために用意したシリアルと乳飲料。
食後のコーヒーと紅茶の準備も完了している。


デュランは自分の仕事の結果を確かめるように眺めて、満足そうににんまりと笑った。


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最初に起きてきたのは『ちいさくてかわいい何かのサイズに転生した』、いっぴきだった。
焼けたクロワッサンから溶けだして焦げたバターの匂いにつられたのだろう、キレイな半月型の口許からはすでにだらだらとヨダレが溢れていた。
その姿を呆れたように眺めてから、デュランは猫の子を捕まえるように『みにぐれ』をひょいとつまみ上げて、ヨダレまみれの顔を拭いてやった。
ごしごしとヨダレを拭うと、嬉しそうにニマニマと口角を緩ませる『みにぐれ』のマシュマロみたいな顔が現れた。


次に起きてきたのは白銀の竜将とフランマの二人だった。
すでに準備された食卓を見て目を輝かせながらも終始低頭恐縮するフランマと、『自分のために朝餉を用意したデュラン』を労う言葉をかけながら満足そうにニヒルな笑みを浮かべる白銀の竜将。
はははと乾いた笑い声で返しながらもデュランは心の中でこっそりと
『いや別にお前だけのためじゃないんだけどな』とつぶやいた。



パンとお味噌汁っていうのは変な組み合わせだろうけどご飯もあるから、といいながら、デュランは席に着いた二人といっぴきのためにお味噌汁をよそった。

四人+いっぴき分の朝ご飯の準備が整ったところで、デュランの視線が傍らの空席に向かった。
本来ならばその場所にいるべき主の不在。
デュランはこめかみを押さえながらため息をついた。
『先に食べていていいから』と、二人といっぴきにひと言断りをいれる。

そして最後まで意地汚く眠っているだろうパートナーを起こすために、ダイニングをあとにした。


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案の定、リビングでシーツにくるまったまま静かな寝息をたてている紅蓮の魔導師の姿を確認すると、デュランはその傍に膝をついた。 

背を屈めて口元を男の顔に寄せると、
「朝飯できたぞー」
容赦なく耳元で声を上げる。
確実に鼓膜を震わせただろうデュランの大声は残念ながら全く効果がなかった。

逆に、寝ぼけた紅蓮の魔導師の両腕がまっすぐデュランへ向かってにゅっと伸びてきて、デュランの体を囚えるように絡みついてきた。
その両腕に抱きしめられてバランスをくずしたデュランはシーツの中へたおれこんだ。

さらにはいまだにまどろみの中にいる紅蓮の魔導師から『ゆうべはずいぶんと珍しい痴態が見れたな』と二人きりの時にだけ囁かれる声色で耳元をくすぐられて、デュランの顔は一瞬にして紅潮した。


返答に詰まり口ごもるデュランが絆されそうになった瞬間、リビングのトビラを蹴破る勢いで『みにぐれ』が飛び込んできた。
ゴムボールみたいに勢いよく跳ねながら、二人の間にすっぽりと割り込んだ。
恋人に向けたはずの唇がマシュマロみたいな『みにぐれ』にぶつかったことで、まどろみの中にいた紅蓮の魔導師の意識は完全に覚醒した。
その場を包んでいた甘い空気は瞬時に消え去り、殺意しか存在しない射抜くような視線が『みにぐれ』に注がれる。

「キサマ、消し炭にされたいのか」
地獄の底から響くような紅蓮の魔導師の言葉と共に、エインシャントの詠唱が始まる。

すると突然『みにぐれ』は懐から小さな笛を取り出すと、それを思いっきり吹きならした。
それが合図となりフランマがリビングに飛び込んできた。

「ぐ、紅蓮さん! 何しているんですかっ! デュランくんから離れてくださいっ!」
現場を目の当たりにしたフランマは、一瞬にして顔を真っ赤にすると必死な形相で訴えた。
形の良い眉根を上げて、耳まで真っ赤に染めながら。

次いで白銀の竜将も現れる。
「お楽しみなら私も混ぜてもらおうか!」
楽しそうに口角を歪めながらも、その右手には今すぐ発動可能な状態の業火の魔法をまとわせていた。

デュランに瞬きをする暇を与えないかのように、怒涛の如き一連の出来事がびっくり箱のように展開した。
穏やかで平和なはずだったリビングは一瞬にして、一発触発の空気が充満する戦場へと姿を変えた。



目の前で繰り広げられた怒涛の展開に思わずあっけにとられるデュラン。
しかしすぐさま我に返り現実に意識を引き戻すと、かたく拳を握りしめて、

「朝飯が冷めるだろうが!」

と、一喝した。

全紅蓮の魔導師に対して。


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あまりにも不毛な争いの幕が完全に上がるより先に、閻魔大王のようなデュランの怒鳴り声によって、あっさりと幕引きを迎えた。


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ひと悶着を強制的に収拾させて、改めて、食卓に四人+いっぴきが着席した。
それからデュランの目くばせによって全員が同時に手を合わせて、合掌する。

『いただきます』

各々が好きなものに手を伸ばして賑やかな朝食の時間が始まった。


紅蓮魔が面白くなさそうな顔で味噌汁をすすっていると、クロワッサンを口いっぱいに頬張った『みにぐれ』がニンジャのように気配を殺してスッと紅蓮魔のそばに近づいた。
何事かと紅蓮の魔導師が身構えるより早く、みにぐれは紅蓮魔の髪をひっぱったり、ヒラリと跳び上がると必殺の蹴りや必中パンチをお見舞いしてきた。

奇襲を受けた紅蓮魔はうっとおしそうに端整な顔を歪ませて、まるで残飯にたかる蠅をはたき落とすように手の甲でバシリと打ち払う。
あっさりと打ち払われてテーブルの上にベシャリと撃ち落されるみにぐれ。しかしみにぐれの攻撃の勢いは一切衰えることがなかった。すくっと素早く立ち上がると果敢にも再び紅蓮魔本体に立ち向かっていく。今度は紅蓮魔の唇の端をひっぱったり噛みついたりと、その攻撃の手段は情け容赦なく苛烈さを増していく。


隣の席で繰り広げられる紅蓮の魔導師と『みにぐれ』の喧嘩を横目で眺めながら、ため息交じりに呆れた表情を浮かべつつも、デュランの眼差しはとても穏やかなものだった。


デュランのニヤついた視線に気が付いた紅蓮の魔導師が
「なんだその目は」と忌々しそうに睨んでくる。

けれどデュランは一切怯むことなく、にやにやとほほ笑みを浮かべ続けた。
「なんていうか、幸せだなあ、、、って思っただけだよ」

それから紅蓮の魔導師の鼻先にくっついた『みにぐれ』が食べているクロワッサンのパンくずに気が付いて、デュランは彼の顔に手を伸ばした。

「みにぐれの食べカスがついてんぞ」
楽しそうに笑いながら鼻先についたパンくずをつまみとると、デュランはそれを自分の口にほうりこんだ。


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紅蓮の魔導師が、デュランの淀みなく流れる指先の動きを目で追うと、少し開いた唇から赤い舌が垣間見えた。

その色は紅蓮の魔導師の視線に釘を打つ。
どくんと心臓が大きく脈打つ、一瞬にして全身を血液が駆け巡る、そして体の一部に終結するのを感知した。

紅蓮の魔導師は悔しそうに唇を噛んだ。

「そういうことは他のやつがいる前で、絶対にするんじゃない」
デュランを睨みつけながら、きつい口調で忠告する。
それに対して、理解しているのかいないのか、へらへらとした笑顔を返すデュラン。

紅蓮の魔導師はそんなデュランの笑顔を網膜に焼きつけながら、デュランが用意してくれたシジミのお味噌汁をすすった。
同時に、
『アイツ等をさっさと追い出して、コイツをめちゃくちゃにヤる』
と心のなかで、ひとりで勝手に今日の予定を早々に決めたのだった。



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当然のことではあるが、二人だけの甘い世界というものは、現在食卓を囲う面子が揃う間は、長くは続かない。
デュランと紅蓮の魔導師の二人の間に生じた只ならぬ空気を察した『みにぐれ』が、ハリセンボンのように頬を膨らませて、その空気を打ち砕かんばかりの勢いで、二人の間に割り込むように飛び込んできた。
そしてデュランの指先に残った微かなバターの香りを、紅蓮の魔導師にみせつけるようにペロリと舐めた。
棒つきのカラフルなキャンディーを舐める子供のように、ぺろぺろと舌を伸ばして、ときどきぱくりと口の中に含みながら。


それはまるで『デュランは自分のものだ』と主張するかのような振る舞いだった。


当事者であるデュランは、みにぐれの行動の真意をまったくこれっぽっちも理解していないような呑気な声で
「おいおい、くすぐったいだろ」
と笑っただけだった。


デュランにとっては小さな子供の悪戯くらいにしか感じなかったのだろうが、そんな光景を目の前で見せつけられていたフランマと白銀の竜将は、偶然にも二人とも同時に同じことを脳裏に浮かべた。

『また不毛な争いが勃発するな』


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食卓の上では、いつまでもいつまでも、みにぐれと紅蓮の魔導師の間に抗争の業火が燃え盛っていた。
デュランだけが、対岸の大火事に一切気がついていなかった。

ただ二人の喧嘩を眺めてにこにこと幸せそうに笑っていた。


こんな日常が、これからも続けばいい。
そう願っていた。