ぬこ尻ryo
2024-12-26 20:28:00
1506文字
Public ワンドロ企画など
 

聖剣ワンドロワンライお題20回

聖剣ワンドロワンライお題20回
宝石 叶わぬもの

このふたつの単語をもとに妄想捏造したみにぐれとデュランお互いの感情のすれ違い、みにぐれ目線

※紅デュベースの妄想捏造小話
※暗め
※女々しデュ

宝石 叶わぬもの

ぐれんまは時々、デュランの視線を感じるときがある。

そういうときはたいてい、デュランが、ぐれんまの顔をのぞき込むように見つめているのだ。
けれど、デュランはぐれんまを視界に収めているはずなのに、ぐれんま自身を見ていなくて、自分を介して自分ではない誰かを探しているようだと、ぐれんまは感じた。

何かを誰かを探しているような、少し寂しそうな顔でぐれんまを見つめてくるデュラン。
いつもの太陽の日差しみたいな暖かな眼差しなのに、そんな時ばかりはどこか雲がかかっているような眼差しと、陰った表情で。
まるで本心か何かを隠そうとしているかのようにぐれんまには思えた。

それから、デュランはいつもこう告げる。
「お前の目は、宝石みたいにキレイだな」

そう告げるデュランの両目は濡れたように揺らめいて、ぐれんまにはその奥に秘められた感情が見えなかった。

その言葉はきっと、デュランの本心なのだろう。
本心なのだろうけれど、ぐれんまは、自分ではない別の誰かに向けられた言葉なのだろう、とも思えた。

ぐれんまは、それはおそらく事実なのだろうということにも気が付いていた。
だけど、それは同時に指摘してはいけない事実であることにも、確信めいた予感がしていた。

なぜならば、指摘したら、その瞬間から自分の存在が足元からボロボロと崩れて壊れて消えてしまうような、イヤな予感があったから。

だから、デュランがそんな視線を寄越してくるとき、ぐれんまは返事をせずに黙ってデュランの前髪をむんずと掴むことにした。
力いっぱい引っ張って、おでこに頭突きを食らわせるのだ。

そうやって、デュランに目を覚ませ、と訴えるのだ。
自分はここにいるのだから、自分以外の誰かに向かって、そんな切なそうな表情で、哀しい音で震える言葉を言わないでほしいのだと。

ぐれんまの想いがデュランに通じたのか通じなかったのかなんてことは、ぐれんまにはわからない。

頭突きのあと、デュランは額をさすりながら乾いた笑い声を小さくこぼしながら、ぐれんまの頭を撫でて、こう続ける。


「ああ、悪かったな。お前は以前のアイツじゃあないもんな」


笑っているはずなのにデュランの顔はほんの少し寂しそうだった。


『謝るくらいなら、そんな顔をしないでくれ』、と言いたかった。
のどまでせりあがってきた悲痛な叫びを、ぐれんまは無理やり飲み込んだ。

これは、自分の想いではない、とわかっていたから。
自分の中にある、別の誰かが、デュランが想いをはせる別の誰かの想いが、ぐれんまの肉体を介して代弁しようとしているだけなのだから。

デュランはきっと、叶わぬ情を抱いている。
けれどそれは、ぐれんまだって同じだ。
今、デュランの目の前にいる自分自身こそが、ぐれんま、なのだ。
自分を介して、別の誰かにデュランの意識が向くのは、とてもとても、気持ちが悪かった。
怒りや憤りを超えて、内臓をぐちゃぐちゃに掻きまわされるくらいの気持ちの悪さ。
心臓を、無理やり乱暴にわしづかみされてそのまま握りつぶされて、存在が消されてしまうような、そんな気持ちの悪さだった。