和泉 小夜
2017-08-04 17:07:13
863文字
Public
 

厚愛(厚藤四郎×愛染国俊)

薬研視点だし他の子も出てきます。名前だけなら他にも出てきます。
肝心な二人はほぼ出て来ません。


最近、厚と愛染の距離が近い。
何か心境の変化でも有ったのだろうか。
そう考えていると今剣と共に、乱と蛍丸に呼び出された。

「厚ね、愛染が好きなんだよ」とは乱の発言。
「国俊は厚が好きなんだって」とは蛍丸の発言。

乱は「愛って良いよね」と言う。蛍丸は「恋って綺麗だよね」と言う。

「あいとは、こいとは、なんですか?」
そう今剣が二人に問う。

乱は「他人に与えるものだよ」と、蛍丸は「キラキラしたものだよ」と、
それぞれ答えた。

「それじゃあ、こいとは、たにんからうばうものなんですか?」
「それならば、あいとは、みにくいものなのですか?」
そう今剣が問うたら、二人は固まった。

きっと、愛だの恋だのという定義は他人によって違うのだろう。

いち兄は戀を「糸(いと)し糸(いと)しと言う心」なのだと言っていた。
長谷部は恋を「下心」だと、燭台切は愛を「真心」だと言っていた。
不動は愛を「相手の心を自分の中に受け止める行為」なのだと言っていた。

二人の愛やら恋やらは分からんが、きっと互いに、いとしくて、
真心も下心もあって、相手の心を全て受け止めているのだろう。

部屋から出ると、畑仕事をしている厚と愛染を見付けた。
こんな暑いのに大変だろうから、後で何か差し入れを持って来よう。
二人を眺めながらそう考えていると、愛染が被っていた麦わら帽子を脱いで口元を隠した。

嗚呼、もう口吸いをする仲なのか。
きっと、互いを好いて愛して、堪らないのかもしれない。

二人は現在の、此の瞬間が何よりも至福で仕合わせで、
互いの他にはもう何も要らないのだろう。

そう思いながら俺は、兄弟をどう冷やかしてやろうかと考えている。