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おたる
2024-12-15 16:55:54
1855文字
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羂髙異日常譚 書き下ろし分再録(2本)
2024年にPixivで公開した小話集「羂髙異日常譚」を加筆修正し、本の形で頒布するにあたって書き下ろした2編の再録になります。
ピンチャン結成1周年であり、また頒布より半年ほど経過したため公開という判断をいたしました。人生初の同人誌であったため至らぬ点が多かったと思いますが、購入して頂いた方はありがとうございました。
本編Pixiv版→
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21695431
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2
〈狐の窓〉
それは、ピンで出演した番組の撮影現場でのこと。機材の不具合だか何だかで撮影が中断され、長めの休憩を与えられた俺達出演者は思い思いの方法で時間をつぶしていた。楽屋に一旦戻るやつ、出演者同士で喋っているやつ、俺みたいにただ何もせず座って時間が経つのを待っているやつ。そんな中で一人、俺のそばへ近づいてくる人影があった。
それは共演者の一人で、バラエティ番組に出るのは初めてだとオープニングで言っていたアイドルの女の子だ。第一印象としては人懐っこいけれどどこか人とはズレている、いわば『不思議ちゃん』というやつなのだろうか。
そんな彼女が俺のようなおじさんにわざわざどうしてと思ったが、まあ相当暇だったんだろうなと納得することにした。
「髙羽さんってぇ、『狐の窓』って知ってますか?」
「えっ知らない、何それ?」
開口一番何を言い出したのかと思って詳しく聞いてみると、彼女曰く相手の本当の姿を見ることができるお呪いの一種らしい。
「意外と簡単なんですよぉ、まず指をこうやって狐の形にしてですね
……
」
「ちょっと待って俺指短いから無理かもしれない
……
!」
簡単だと彼女は言うが、折り紙すらマトモにできるか怪しいくらい不器用な俺にはどこの指を組んでいるのかを理解するのすら一苦労だった。
「すごく難しくない?これ。というかどうして急に教えてくれたんだ?」
そう俺が訊いた瞬間、「機材が直りました!」というスタッフの声が響き、彼女はそそくさと元の位置に戻ってしまい、そのまま撮影は再開された。
「──ってことがあってさ。撮影が終わった後もすぐ帰っちゃって結局どうしてか聞けなかったんだよな。羂ちゃんは『狐の窓』って知ってる?」
家に帰ると、相変わらず鍵を渡していないはずなのに部屋の中で待っている相方がいたので丁度いいとその日あった出来事を話してみた。
「狐の窓というのはまあ、呪術の一つだね。結印と呪文により人に化けた奴らの術を強制的に解除させる儀式って感じかな」
「なるほどなぁ。意外とこれ手の形が難しいんだよなぁ」
そう言って見様見真似で指を組んでいると、ぐ、とそこそこ強い力で相方が俺の手を抑えてきた。
「今言ったよね、化物の正体を暴く儀式だって。ただの人間にならまあいいけれど、ホンモノにやったら喧嘩売ってるようなものだからね、不用意にやらない方が良いよ」
「わかったよ、気を付ける。でも、じゃあどうしてあの子はわざわざ俺にそんなことを教えてきたんだ?」
「さあね。相当暇な奴か、どんな話でも聞いてくれるようなとてつもないお人好しにでも見えていたんじゃない?」
相方は鼻を鳴らしながらそう言って、ごろりと寝転んでしまった。
「もしこれをお前に使ったらなにかあったりする?」
「どうだろうね、『昔』だったら脳味噌だけ見えてたかもね」
「えー!脳味噌だけ透けて見えるなんて絶対面白いじゃんそれ!もっと早くお前と出会えていたらなぁ
……
」
「私が言うのもどうかと思うんだけどさ、君もそれなりにヤバい思考してるよね」
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