木蔦(キヅタ)
2022-02-14 16:32:00
7248文字
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同僚のα長義とΩ女性がお似合いすぎて、失恋したβのまんばの話【ちょぎくに】※モブが出ます




蛇足の長義くんサイド

長義は同じ部署のまんばのことが好きだった。見た瞬間気に入ってしまった。運命だとすら思った。
彼はβと名乗ってるがΩだった。αの長義はわかる。本人は隠しているというよりも知らない感じだった。

(まあ自分の第二性を知らないやつはよくいるし。特に刀は鍛刀時に調べたらそのままだからな。その後健診とかないし。性が変化してても気づかない)

まんばは言わば初潮が来てない状態のようなもの。いずれ露見する。その時を狙って番いたい。

まんばとの仲は良好。長義がよくまんばをからかう。まんばがそれにムキになって返すという掛け合いが常。

どこか抜けてるので、仕事もよくフォローしてあげる。長義が気をつけてあげないと、と思っている。自分の写しだし、自分の(未来の)番いだし。

Ωのまんばは当然長義に惹かれてる。いつも縋るように長義を見てる。その目は好き好き♥という気持ちに溢れてて、長義は少し照れてしまう。

同じ部署に女性のΩがいる。その女はいつも香水の匂いぷんぷんさせて長義に近づいてくる。正直不快。
長義とたまたま家の方向が一緒なのでよく誘ってくる。大抵断るが、しつこいため最近は諦めてる。

それに彼女は利用できる。
長義はまんばを特別扱いしているのは誰もが見てわかる。
相思相愛なのは鈍いまんばでもそれとなく感じてるだろう。
だから少しやきもちを妬かせるためにわざと見せつけるように帰ったこともあった。


ある日またまんばがミスし、残業になる。まんばと一緒にいたかったし、手伝ってあげた。

そして帰り道、まんばがコンビニで弁当を買うと言うので驚いた。自炊しろ。こんな偏りがある物、体に良くない。もしかしてその所為で初発情期が来ないのでは??

長義は家に連れ帰り、ご飯を作ってあげる。
まんばも手料理が気に入ったようで、満面の笑みで食べていた。

まんばに泊まれと言うが、用意がないから帰ると言う。
いずれ長義はまんばと同棲するつもりだったので、お泊まりできるものを出してくる。

まんばに似合いそうだと買った灰色のパジャマ、長義と色違いの緑の歯ブラシ、フカフカのバスタオル。全て新品。唯一新品ではないのは枕だが、新しいカバーを掛ければOK。
ここまで準備がいいと同棲を狙ってたとバレそうなので自分用だと主張しておいた。
パジャマ姿はやはり長義の見立てが良く、とても可愛らしかった。

ベッドに入り、ふたりで横になる。
「あんたの恋人は幸せ者だな」
まんばは長義と同棲した時の未来を思い描いているかもしれない。まんばは大食漢だから料理上手なαと一緒になれたらどんなに幸せかと思うだろう。
「まあね」
番いになったら毎日ご飯を作ってあげなくもない。

まんばは番い(予定)が何か変なことをするのではないかと緊張しているようだった。遅くまで寝付けずにゴソゴソ寝返りを打ったりしていた。

まんばは言わば初潮前の少女みたいな物だ。さすがに長義とて手は出さない。

ようやく寝ついたまんばの寝顔を眺めて、ニコニコしていた。



朝、寝ぼけつつあくびしているまんばを眺めてニコニコ。かわいい。長義を見てびっくりしている。
「ああ、そっか、泊まったんだった」

そしてパジャマは洗って返すと言われたから断固拒否した。パジャマはまんばの匂いがついてる。それなのに洗うわけない。
まんばに手を出すのは我慢したが、おかずくらい残してくれてもいいだろう。

ふたりで出勤する。みんなはピンと来たらしい。まんばからは長義のシャンプーと同じ香りがする。ついでに昨日の話をみんなに聞こえるように話した。匂わせ。(何もなかったけど)
Ωの女子社員もハッとした顔をしていた。牽制になっただろうか。


次の週、まんばは残業。手際が悪いため、少し仕事が遅れてる。

お泊まり以降、まんばとの距離がぐっと縮まった。まんばは事あるごとにアイコンタクトしてくるし、一緒にいることも増えた。
今日もまんばに夕飯を食べさせようと、一緒に帰るためまんばの仕事が終わるのを待ってる。
もうこれは付き合ってるのでは。

折角部署でふたりきりだったのにΩが入ってきた。邪魔。
まんばは逢引を見られて恥ずかしかったのか、飲み物を買うと言って出てってしまった。

まんばが出てった後Ωが扉に何か細工したのを目敏く見つける。

「長義さん、今日家に来ない?」
「行かない」
「最近そっけないから私心配で」
「何の心配?俺は普通にしてるだけだよ。他の同僚と変わらないだろ」
「だって私は貴方の特別でしょ?」
「特別?」
「私達、恋人同士でしょ?貴方はαだし、私はΩなのよ」
「悪いけど君をそんなふうに見たことはない」

Ωはカッとなったようだ。当たり障りもなく、人間関係をスムーズにしてきたつもりだけど、ややこしいことになる前に立ち去ろうと扉を開けようとする。
やはり開かない。
吹っ飛ばしてもいいが、上から何を言われるかわからないため、守衛を呼ぼうと思う。内線を掛けた。

「だって私のこと好きでしょ!?知ってるのよ!」
わーわー何か言ってる。

守衛は部屋まで来て開かないことを確かめると修理屋を呼ぶと言って戻っていった。
その間もΩはうるさい。

ようやくまんばが帰ってきた。飲み物を買うのにどれだけ掛かってる。事情を説明していると途中、甘ったるい香りが鼻についた。むせ返るような不快さ。

そしてΩが発情してると発覚する。
しかも抑制剤を飲んでない。

彼女が後ろから長義に抱きついてくる。そっとシャツに手を這わせ、顔を擦り寄せられる気配がした。
ぶち、と理性の糸が切れる音がした。

「きゃっ」
彼女を突き飛ばし、刀を目の前スレスレに突き立てた。
「うぐっ」
「虫唾が走る、触らないでくれるかな」
彼女は真っ青になりながらも「欲情してるの間違いじゃないの?」と言ってくる。
「これが欲情だとしたら随分興醒めだ。お前ごときに誘われるなんて笑ってしまうな」

もう我慢できない。これ以上この不快にさせるだけの女と居たくない。

長義は思いっきり扉を蹴飛ばした。


長義はまんばの元へ走る。部屋から出たらまんばはいなかった。残った香りを辿っている。

(これは
まんばはΩとして覚醒してない。それなのにこんなにも残り香が強く残っている。
にや、と長義は自然と笑みが漏れる。

「偽物くん!!」
「ほ、本歌!?なんで!?」
辿り着いたのは書庫。
涙をいっぱい溜めて、膝を抱えてた。
ぎゅぅと抱きしめる。
すぅと深く息を吸うと、まんばの香りが肺にまで染み渡った。胸糞悪いあのΩのフェロモンが浄化されていくようだった。

(ああ、早くここに歯を突き立てたい
うなじにキスをして、ぺろっと舐める。まんばが跳ねた。匂いが濃くなる。



暗(。・ω・。)転


ということで長義くんサイドを終わります。お疲れ様でした!

どうでもいい設定
・実はモブ、まんばに牽制で嫌味を言いに行ってます。お泊まりの後くらい。「私達付き合ってるんだから」「邪魔なのよ」「仕事ができないフリして気を引いちゃって!」などなど。だけどまんばは「仕事できない自分のせいだな」と思ってその通りだとそのままスルーしたので記憶に残ってません。
特別傷ついたわけではないので、まんばサイドでは書かれませんでした。それよりも長義くんに日々なじられる方がずしりと来てます。
長義くんも知らないので長義くんサイドでも書かれませんでした。
・枕が新品じゃないのは長義くんが使ってました。まんばに見立ててぎゅぅぅってして。抱き枕。
一応まんば用に買った枕。
・お泊まり以降、距離がぐっと縮まったと思っているのは長義くんの勘違い。アイコンタクトも気のせい。