※独自設定あり(特殊能力)
※オリキャラ(政府の役人&院長)あり。そしてしゃべります。
長義が街を歩いていると、どんっと何かがぶつかってくる。それはまんばだった。
「す、すまない!」
「いや大丈夫だよ」
思わず抱き止める形になってしまった。おや、と思う。長義はまんばがΩでは?と感じた。
ふと、少し遠くが騒がしく感じた。どこだ!とか、あっちだ!とか聞こえる。
「ま、まずい
……!」
追われているのでは、と察した長義がまんばをビルの狭間に押し込めて、姿を自身で隠した。
追っ手らしき人達はしばらくするとどこかへ行ってしまった。
「助かった、ありがとう」
「いや、どういたしまして」
「ここで会ったが何かの縁だ!本歌の家に匿ってくれないか!」
「はぁ??」
「あんた、βだろ?βなら襲われる心配がない」
「人を玉無しみたいに
……。一応βでもヤることはできるんだよ?それにお前を泊める義務はない」
「頼む!行く当てがないんだ!本歌と写しのよしみだと思って!」
つくづくお人好しだと思うが、まんばを家にあげてしまう。
「あんた、いろんなΩの匂いがついてる
…」
くんくんとまんばが長義の胸元の匂いを嗅いでる。そんなところに匂いがつくか?
「ヤメロ!
……職業柄、Ωをよく相手にするだけだよ」
「複数のΩを?取っ替え引っ替え?ってことはホスト?」
「なんでそうなる!普通の健全な職業だ!」
「ふぅん」
「それよりなんで追われてたんだ?」
「それは秘密だ」
「匿ってやる理由くらい聞いてもバチは当たらないと思うんだが」
「俺の番いになってくれるひとなら教えてもいい」
言外にお前は眼中にないから話せるわけないと言われる。
運命の番いを探しているのか。そして秘密は番いにしか明かせないような重要なことなのか、と思う。男として見られていないのは屈辱的だが、別にまんばの番いになりたいわけでもないのでスルーすることにする。
「いつまでいる気だ?」
「追っ手が諦めるまで」
「いつ諦める?」
「ワカラナイ」
はぁ、とため息を吐くと、ぐぅぅぅ、と大きなお腹の音が鳴る。
「本歌ぁ、お腹減った!」
「あーはいはい!作ればいいんだろ作れば!」
台所へ。
「何作るんだ?」
まんばもついてきて覗き込む。
「え?あ、今日は面倒ごとで気疲れしたから炒飯でもしようかと
…。炒めるだけだし」
「炒飯!いいな!」
作ってる間もまんばがチョロチョロ。手伝うわけではなく、アレコレ物珍しそうに見たり、つまみ食いしたり。
「邪魔だからあっち行ってろ」
「邪魔してない」
「邪・魔・だ!」
炒飯できたらもぐもぐ。まんばから絶賛される。
お風呂に入ってさあ寝ようとするとまんばが長義のベッドを独占してる。
「何してる
……?」
「俺もベッドがいい。ここで寝たい」
「泊めてやってるんだぞ、俺がベッドに決まってるだろ」
「一緒に寝ればいいじゃないか。ほら広いからふたりで寝れなくはない!」
(襲われる云々を気にしてた奴のセリフか??)
「ソファで寝ろ!」
「けち!」
その後も何かと長義にアレコレ聞いてきたり、側にべったりだったり、絡んできたり
…。
ひとりの時間を楽しみたい長義にとっては気が休まらなかった。
げっそりして職場に向かうと同僚のまんばがぎょっとする。
「どうかしたのか?」
「いや、ちょっと猫を拾って
…。構ってくれってうるさくて
…」
「猫ってそういうとこあるもんな」
「おかえり本歌!」
長義が仕事をして帰宅するとまんばが飛び付いてくる。(だいしゅきホールド)
今日のご飯なんだ?すごく暇だった!今日何するんだ?遊ぶ遊ぶ?全身から構ってオーラが出てる。自分が猫に例えたのが言い得てて、プッと笑ってしまった。いやどちらかというと犬かもしれない。
「な、なんで笑うんだ!」
「いや何でもない
…」
その日も長義の周りをうろうろ。お風呂に入り、今日も別々で寝た。
はずだったが、朝起きるとまんばが一緒のベッドですやすや。どうやら夜中に潜り込んだらしい。
「
……ったく」
仕方ないな、と思って時計を見るともう家を出る時間で、慌てて出勤する。
どうやらまんばの体温が心地よくて、ぐっすり寝入っていたらしい。寝坊。
「どうした?そんなに慌てて。珍しいな?一応ギリギリセーフだぞ?」
「いや、寝坊
……。ごはんも、食べ、て、なくて
……」
あ。そういえば猫にエサ与えてないな。
しまった、どうしようと頭を抱えた。
慌てて昼休憩で家に帰るとまんばがプンスカしてる。
「お腹減ったぞ!もう昼だ!」
「ごめんごめん、朝時間がなくて
…!」
冷蔵庫にある有り合わせをチンしたり、炒めたりして出してあげる。まんばは満足そうに笑顔。
「美味しい」
「そりゃよかった」
慌てて仕事に戻る。
今日も今日とてたくさん仕事をして疲れた。慌ただしかったなぁとぐったりして帰宅するとまんばが出迎えてくれる。
「おかえり本歌!」
満面の笑顔付き。癒される。
「はいはい、ただいま」
カバンを置いて、ソファにどかっと腰掛ける。ネクタイを解いて、そこらへんに投げた。
「本歌、疲れてる?」
まんばもソファに乗り上げ、顔を覗き込んでくる。ああ、可愛いなぁ、と思った。
「仕事でちょっと言いがかりつけられてね。まあ誤解だったし、いいんだけどさ。気疲れしちゃったよ」
「どうしたら疲れ取れるんだ?」
どうしたら?今絶賛癒されてる。
「お前といるだけで、疲れが取れるかな」
「!」
まんばがぎゅーっと抱きついてくる。とてもかわいい。
「ずっと一緒がいい?」
「うん、お前といると楽しいよ」
このままここでまんばを養うのも悪くないなという考えが頭によぎった。
(待て、この子はΩだ。)
やがて巡り会うαと結ばれる。いずれここからいなくなるだろう。
この子は自分のペットではない。
お風呂入り、まんばはソファへ。だけどまんばが長義をじっと見てくる。
「一緒に寝ちゃ、だめか?」
首を傾げ、聞いてくる。
「ダメって言っても夜中勝手に入る気だろ」
ため息。まんばの耳が垂れてる幻覚が見える。
「いいよ、おいで」
「!」
まんばが笑顔で飛び込んでくる。ぎゅってして寝た。
朝起きると、なんだか感覚がおかしかった。スッキリしているような、冴え渡ってるような。
まんばは長義が起きたのに気づき、目を覚ます。
「ああ、起こしたか」
「仕事か?」
「そうだよ、今日もいっぱい患者の予約が入っててね」
「患者?長義、ホストじゃないのか?」
「違うって言っただろ。政府直属の病院に勤めてる、歴とした医師だ」
「!」
「朝ごはん置いとくからちゃんと食べろよ」
長義はまんばの分までご飯を作り、出勤する。
なんだか今日はおかしい。診察をしていてもムズムズする。花粉症にでもなったのか。同僚と話していても、まるで香水をつけてるような香りがしてくる。甘い香り。
神経が冴え渡っていて、仕事にすごく集中できる。むしろ神経が剥き出しな感じで、冴えすぎてるほどだ。仕事が終わる頃にはどっと疲れてしまった。
猫をぎゅっとして癒されたい。
そう願って帰宅すると、家にまんばはいなかった。
長義は仕事中だというのにぼんやりする。考えるのはまんばのこと。書き置きがあったから自ら出て行ったらしい。だけどなんで突然出て行ったのかわからない。書き置きには何も書いてなかった。
「長義先生、今日どうしたんだ?腑抜けてないか?」
「はぁ??誰が耄碌してるって!?」
「言ってない」
同僚についイラッとして声を荒げてしまう。普段はもっと気持ちが落ち着いてるのに、今日は声をかけられただけで、イライラしてしまう。その一方で診察も集中できず、そわそわ、たまにぼんやり。
(ただの居候がいなくなっただけで動揺しすぎだろ
…!)
恐らく運命の番いが見つかったのだろう。そして出て行ったに違いない。
そう思うとさらにイライラが増した。
すると院長から呼び出される。気持ちを落ち着かせ、院長室へ。
そこには院長以外に政府の役人がいた。
「長義くん、実は政府からの要請で、君には外来から研究に異動してもらいたい」
「研究?」
「君が第二性科の山姥切長義くんですね。この病院でΩに一番詳しいと伺ってます」
院長でなく政府の役人が話し始める。
「実は今回、特殊なΩが発見されまして、是非とも政府はその力を活用したいと考えてます。それでどなたかにその研究を任せたいんですが、今政府に所属している教授方は別の重要なことに取り組んでおりまして、そこで長義先生にお願いできないかと参りました。」
「はぁ
……??」
第二性科には長義の他にも医師はいるため、長義が欠けても問題ない。(忙しくなるとは思うが)
「一体何の研究を
…?」
「連れてきてくれ」
後ろで控えていた役人にそう言うと、彼らは部屋の外へ。なぜ外へ?と思っていると騒がしい。
院長室に連れられてきたのは縛られたまんばだった。
「
…!?」
「離せ!
…っ!?え!?ほ、ほん
…!?」
お互い驚いていると、役人が話を続ける。
「彼は特殊な能力のΩで、βをαに変えることができるのです。彼の本丸の刀達は全員αでした。最近審神者が亡くなったため、政府で引き取ることになったんです」
「俺は政府に行く気はない!断っただろ!」
「彼の能力を分析し、βをαに変えられれば、優秀な人材が増えます。だから是非この研究にご協力を」
長義は思う。
この子を研究対象に?Ωとして?αを量産させるために?何をするんだ?この子に性を強制的に売らせるのか?
それはこの子の性を軽んじて、犠牲にさせてる。
許せない、他の誰にも奪われたくない、あれは、俺のだ。
カッと頭に血が上った。
「本歌、ダメだ!」
〜これ以降、長義の意識はありませんので、まんば視点でお送りします〜(・ω<)★
長義の周りで不穏な空気が渦巻く。霊圧が高まっていく。まんばは長義の状態に気づき、声を上げた。
「本歌、ダメだ!」
音にすればドンッだと思う。部屋にあるものが吹っ飛び壁に叩きつけられる。まんばとまんばを拘束している役人は無事だが、それ以外は長義の霊圧で吹き飛ばされた。
「え、ええ!?」
まんばを拘束している人間はおろおろしている。院長室は廃墟と化した。
ギラっと長義の瞳がこちらを捉える。
「ひっ」
悲鳴を上げた瞬間に長義は既に目の前にいて、人間を突き飛ばしていた。そして解放されたまんばを長義がぎゅうぎゅう抱きしめる。
ずるずるとその場でしゃがみ込んだ。
これはすべて彼のα性がそうさせている。
彼は今、ラット状態に陥っている。αのフェロモンが場を支配し、周りに威圧を与えていた。それはすべてまんばのため。
ラットは番いを守ろうとする性質が強く出る。まんばを害そうとする人間を敵と見做し、排除したのだ。フーッフーッと息が荒い。
彼はβだった。しかしまんばは彼を望んだ。そばにいたいと思った。
まんばならそれが出来る能力があった。
だからあの夜、長義の了承を取った上で、まんばの番いになれるようαにした。
彼がまんばを狙う政府に所属しているとは知らずに。
長義にまんばの能力がバレたら政府に引き渡されると思った。だから長義の元から去ったのだが、すぐに捕まってしまった。
そしてこの顛末。
「ほんか、ほんか、落ち着いてくれ
…」
ぽんぽんと彼の背を叩く。ぎゅうぎゅうに抱きしめられた状態ではこれが精一杯だ。
「俺は無事だし、どこにも行かない。ずっとあんたのそばにいる。」
ぽんぽんと変わらず撫でると、長義の呼吸が落ち着いてくる。
「俺のα、安心してくれ」
そう言うと長義はぐったりと脱力し、意識を失った。霊力を使いすぎたのだろう。βからαへの身体の急激な変化に耐えられなかったのもあるかもしれない。
目が覚めると目の前にまんばがいた。
「おはよう本歌」
ちゅっと触れるだけのキスをされる。自分のベッドでまんばを抱きしめて眠っていた。前後の記憶が曖昧。いつの間に寝たのか。
まんばは家を出てったと思ったが、戻ってきたのか?
頭がぼんやりする。
「本歌、まだラットが治ってなくてつらいだろ?」
「ラット?」
「俺が、悦くしてあげるから」
「何を
…」
抱き付かれて再びキスされる。肌に触れるまんばの手がイヤラシイ。まんばが長義の身体に乗り上がる。
(暗転)
長義は次の日起きると何故かαになっていた。しかも何故かまんばと番っていた。昨晩まんばを抱いたらしい。記憶にない。
αとか番いとかわけがわからない。
とりあえず起きた時まんばが嬉しそうに笑ったので、まあいいかと思った。
全然良くなかった。
突然職場から解雇を言い渡された。身に覚えがないことを言われ、無実を主張したが聞いてもらえない。人身傷害とか器物損壊とか言いがかりを付けられている。
しかもまんばが政府に連行された。まんばを追ってたのは彼らだと知りハラハラするが、ものの1時間で帰ってきた。何故。
「俺が追われてた理由は、番ったことでなくなったから」
と言われた。
そもそもなんでαになったのか。たまにβからαやΩになるケースがあるが、自分がそういう体質だったのかもしれない。それに担当患者がΩばかりだったから、その影響もありそうだ。
あと同僚のまんばが結婚したことを知った。職場に荷物を取りに行った時、こそこそと告げられた。相手は患者でαらしい。
α同士なんてすごいなと祝福すると微妙な顔をしていた。何か言いたそうだったが、待てど暮らせど続く言葉はなかった。
無実とは言え、政府から解雇されてしまった長義はクリニックを開設することにした。場所は違えどやることは同じ。長義を慕っていた患者達はそのことを知ると政府の病院からこちらへ移ってきた。番いのまんばがその人気に妬くほどに、クリニックは繁盛している。
こうしてふたりは無事くっついた。めでたしめでたし。おしまい。
お疲れ様でした!お読み頂きありがとうございました!大団円ではありませんが、一応ハッピーエンドとさせて頂きます!
■どうでもいい設定
・④と⑤は繋がってます。
・①の話もチラホラしてた。(言いがかりつけられた=①で出てきた旦那長義くんが診察室に乱入してきた話)
・β長義くんはΩを診察しすぎて、⑤の最初の段階で匂いを嗅ぎ分けられます。だからなんとなく勘で「あ、この子Ωだ」ってわかります。
ただしβなのでフェロモンに誘われたりはしません。
・まんばの特殊能力は番いを自身で見つけるために備わったものなので、番いを作れば消える能力。
・まんばが長義くんにαにしていいか確認したやりとりは「ずっと一緒がいい?」「うん」
・寝てる間にβ→αにした。次の日感覚が研ぎ澄まされてたのもα性によりちょっと能力が向上したため。ムズムズはΩのフェロモンにあてられてる。
同僚んばにイラッとしてるのは同僚んばがαの擬似フェロモンをつけてるため、αの縄張り意識が刺激されてる。
・まんばもご飯作れるけど、長義くんに甘えてる。長義くんはペット扱いしてるので、まんばが人型だし何でもできるって忘れてる。
・αになりたて(しかも自覚はない)ので結構精神的に不安定。なので、まんばを人体実験として使うぞ★って発言でドカン&ついでにラットになってしまった。
・長義くんの記憶は院長に呼ばれた辺りからない。曖昧になってる。気付いたらまんばと番ってた。
・まんばは「長義と番ったからもう能力はない」と主張。噛み跡も見せる。もしまんばを深追いするようなら今後このような能力者は現れないと思えと神様ムーブする。(ハッタリの脅し)本当に能力が消えたっぽい(しかし誰も方法を知らないので確認しようがないが理屈は合ってるし、専門家の意見も一致)し祟りが怖いので、とりあえず解放。
・今回の事件を経て、人攫いまがいなことを政府がしていたと上層部に見つかり、厳重注意となる。(ただし長義の傷害事件や器物破損の無実は発覚せず、そのまま)外部に漏らさないように内々で処理。
・まんばは自分にとって特別な人をαにできる能力。本丸の仲間は家族なので特別扱い。審神者の命によってαにした。(αは身体能力が向上するため)
・まんばは自分を想ってくれる番いを探してた。
・まんばの性格は亜種。山姥切国広にしては元気、強気、明るい。
・④で騒ぎが起こった原因は⑤の長義くんが起こしたドカンのせい。院長室で何かが起こってるらしいとわかったが、圧によりみんな近づけなかった。
・④のちょぎくには騒ぎの間、存分にイチャイチャしてた。(みんなそれどころじゃなかったので、喘ぎ声とかまったく気づかれなかった)
・まんばの本丸ではΩを神聖視してたため、誰も手を出してません。α同士で牽制しあい、その末に不可侵条約ができました。まんばは処女です。
・④の長義くんは⑤のまんばの本丸の子です。審神者がいないのはそう言う理由。
・審神者死後、全員離れ離れになったので、まんばの本丸の刀達はまんばが政府から追われてたのは知らない。
β先生(既にαだけど、通称ってことでこう呼ぶね)は覚えてないんだけど、初夜の時がめっちゃ見たい
……。
まんばが閨で積極的なんだよ。β先生は意識も朦朧としてるから
……
「本歌、ここ(うなじ)かんで」って言うんだ
……長義くんはなんで噛む必要が?と疑問に思いながらも、言う通り噛むんだよ
……(考える能力が低下している)
「嬉しい
…。これで本歌は俺の物だ
…!」ってぎゅぅぅってするんだ。まんばは虎視眈々と狙っていたのだよ。長義くんを完全に手中に収めることを。
このまんばは執着強そう。
盲目くんほどではないけど、依存するタイプ
……
長義くんは普通。
長義くんが他のΩと楽しそうに話してると、ぎゅっと腕絡めてきて、キッって相手を睨む。
「おいおい、さっきのは失礼だったんじゃないかな」
って注意すると涙目で「嫌いになったか?」って聞いてくる。
→⑥
https://privatter.me/page/675e818f3d618
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