木蔦(キヅタ)
2021-01-27 23:15:20
4875文字
Public
 

オメガバ③βからΩになったまんばの話【ちょぎくに】


注意
・審神者が出てきて喋ります。
・強姦とも取れる表現が出ます。


まんばはβだった。そう思っていた。しかしある日体調不良で倒れ、手入れで治らないことから、政府直属の病院に送られた。

「第二性が変化してるね」

検査をし、医師にそう言われ、Ωだったことを知る。目の前が真っ暗になった。
ショックだったのはさらにその後だった。
スーツを着た政府の職員が急に病室に入ってきた。
「もう移動しても?」
「それは、本人が動けるようなら身体上は問題ないけど……
「連れてけ」

医師とスーツの人が何か話したと思ったら、まんばを無理矢理拘束し持ち上げられる。
「な、なんですか!国広に何を!?」
「彼の身柄はこちらで預からせて頂きます」
「ど、どういうことですか!」
「主!?」
「おやめ下さい!それは私の刀です!」
「安心なさってください、ちゃんとお返しします」
「主っ!主っ!!」
抵抗も虚しく、数人がかりで押さえつけられ、まんばは連れ去られた。
審神者と引き離され、とても不安。とても傷心。

「こちらでお待ちください」

ペイっと放り出された所はホテルの一室のようなところだった。ここは一体どこなのか。
恐る恐る部屋を覗き込む。シャワーやトイレ、洗面台、奥に大きなベッド。
カーテンは閉まってて、部屋は間接照明が付いてるだけで、少し薄暗い。

「?」
「うわっ本当に来たのか
「!?」

自分だけだと思ってたまんばは驚く。声の方を見ると長義がいる。

「えっと……??」
「ったく、政府は俺らのこと種馬としか見てないよね」

はぁぁ、とため息をついて、勢いよくベッドに座る。
「でも無理ってわかれば諦めて出してくれるでしょ」
「その、話が読めないんだが、一体なんなんだ??」
「は?」
「無理矢理連れてこられたんだ、なんで連れてこられたのか知らない。俺は何か謹慎処分でも食らったんだろうか?」
「お前、Ωなんだろ?」
「そ、そうらしい?」
「らしいってなんだ。自分のことだろ」
「元々βだったんだ、さっき検査でΩだったことが判明した」
「道理で……
何か納得したらしい。
「偽物くん、残念だけどお前は贄だよ」
「贄?」
「俺は結構稀に見るαらしくてね、優秀らしい」
「へえ?」
「だから優秀なαを増やすべく、子種を提供しろと」
「そうなのか、大変だな」
「バカ、その相手に選ばれたのがお前だよ」
「俺!?」
「俺はそんな動物の繁殖みたいに扱われるのは嫌だ。だから是が非でもここを出てみせる。お前と一緒にさせても無駄だとわかればきっと政府も諦めてくれるさ」
「はぁ
さっきΩと言われたばかりのため実感が湧かない。
「恐らくお前の検査結果で、遺伝子的に俺のと相性が良いと出たんだろ。きっとお前の発情期が終わるまで出してくれない。通常3ヶ月周期って言われているから、3ヶ月後には出してもらえるだろ」
「さ!?こ、困るそれは!俺は早く本丸に帰りたい!」
今の状況が怖くて不安。審神者に早く会いたい。
いきなりΩだと言われて、しかも知らない相手と子づくりのために引き合わせられるなんて。
「俺だって政府の言いなりになる気は……
すん、と長義が停止する。困ったように笑う。
「お前には幸か不幸か」
「?」
「一週間で出れるぞ」
「え!?」
「そうか、そりゃそうだよな……だから政府は」
よくわからない独り言を言ってる。
「一週間で出れるならよかったじゃないか!」
「本当にわかってるのか?お前、発情してるんだよ」
「へ?」
「Ωだってわかったのも身体の変化じゃないの?Ωの大きな特徴はヒートだ。ヒートがキッカケだったんじゃないか?」
そういえば、貧血にも似た感じの立ちくらみで、力が抜けて、倒れたんだった。心なしか息が切れ、身体が熱を持ってる気がする。意識すると酷くなって、急に目眩とじくじくとした感覚が体を蝕む。
「これが?ヒート……??」
「お前のヒートにあてられて、俺が番うと期待しているんだろう。番いになれば出してもらえる。ただ、それは俺と生涯を共にするということだ」
まんばはぞっとする。誰とも知らぬ者と契りを交わせと強制されている。ようやく今の状況を理解した。

しかし熱はじわじわ上がっていく。

「お前はΩに成り立てだからか、ヒートに入ってるはずなのに症状が軽いね。これなら俺も我慢できる。」
「がまん?」
今までの口ぶりから、長義はまんばを抱く気はなさそうだ。それはホッとした。
「しかしお前の匂いは鼻障りだ、別室……そうだな、浴室にでも篭ってろ」
長義はそういうとまんばを風呂場に押し込む。慈悲だと毛布とタオルを与えてくれた。

火照った体には冷たいタイルが心地いいが、まんばは何故か寒いなと感じた。




数時間後、まんばは身体の中で暴れる熱に苛まれていた。自分で体を支えられず、浴槽に寄りかかっている。走った後のように息が荒い。熱が暴れているのに、どうやって吐き出せばいいかわからない。

(奥に、奥に欲しい……

何をなのかわからないが、強く思う。腹の奥がきゅうきゅうと切なく蠢いた。
不機嫌そうな長義がやってくる。部屋を分けようと言ったのは彼なのに、わざわざ。

「さっきから煩い」
「え……
「もういい、来い!それほど望むなら楽にしてやる」
まんばは俵担ぎされて、ベッドへ。

乱暴に下される。ベッドだから痛くないが。



( ´_ゝ`)<暗転〜!



まんばは起きる。数日間の発情期が終わったようで頭がスッキリしている。発情期中はバカになったようにひたすら長義を求めてた。

挿れてほしいとか、噛んで欲しいとか、彼にねだった気がする。

思考が戻ってきた今、振り返るととても恥ずかしい。

うなじは噛まれてない。代わりに肩や腕にたくさん噛み跡がある。
自分のことながら、赤い歯形は痛々しい。

やってしまった、とまんばは思う。
Ωになり、初めての発情期でヤってしまった。審神者に何で言えばいいのか。怖い。

不安で自然と涙が出てくる。

「起きたの」

長義が隣で目を覚ます。
ふわぁと欠伸している。

「あ、ああ。」
「身体大丈夫?変なとこない?」
「大丈夫だ」
「そ」

長義はなんだかんだ言いながらまんばのことを気遣ってくれた。面倒を掛けるなとか煩いとか言いながら、発情期中の世話は全てやってくれた。献身的すぎるくらいだった。

「もうあと数日で出れると思うから」
素っ気なく言って、シャツやズボンを履いて、洗面所へ行ってしまう。

早く審神者の元へ帰りたいと願うと共に、長義と離れたくない、と思った。

(な、何考えてるんだ!俺!)

でもこの状況になったのは長義の所為じゃないし、むしろ被害者。だから彼を恨むのは違う。
だけど離れたくないだなんて、まるで彼に恋しているかのよう。

(抱かれたからきっと錯覚してるだけだ。それに優しくされたから)

言い聞かせる。

「何食べる?」
「え」
「ボケボケしてただろ、何が食べたいって聞いたの」
「ぼ、ボケじゃない!」

普通のホテルとは違って、簡易的なキッチンが付いてる。一週間篭れるように食材が用意されている。

「料理できるのか?」
「俺は優秀なαだぞ、できないわけないだろ」

なんだか和やか。
そんなこんなで政府の人が解放するまで、数日間過ごす。





ようやく政府の人が来る。

「放っておき過ぎじゃないかな。急病になったらどうする気だったの。俺は貴重なαだと記憶してるけど?」
「ちゃんと電話は繋がっておりますので、緊急時にはちゃんと職員が参ります」
「火事とかだと君たちが来るまで待てないけど」
「その対策は抜かりなく……
「どちらにしろ、この軟禁生活は嫌気がさした。Ωをあてがわれたのも気に食わない。さっさと元の所に返してこい」
「そ、それは、番いになってないならば、まだ
「発情期に一緒にいて、何も起こらなかった、それを意味するのは何かわかるだろ」
……

まんばはじっと長義と政府の職員が話しているのを聞いてる。
「上からは番いになるまで出すなと言われております」
「こんなちんちくりんじゃ欲情しないって言ってるの」
「しかし」
「くどい」

長義が職員にまんばを押し付ける。

「とにかくこれはいらないから返す」

ぐいぐいと出入り口まで押し出され、職員とまんばはぺいっと外へ追い出された。すぐ様ばたんと扉が閉まる。

職員はまんばを見て困った顔で、仕方なさそうにまんばを誘導する。政府で一旦待たされて、結局本丸へ帰れることになった。



帰城すると審神者が出迎えてくれて、抱きしめられる。無事でよかったと言われた。
お腹すいたでしょ?とか酷いことされなかった?と聞かれ、特に酷いことされてない、と答える。ごはんはもぐもぐした。

風呂に入り、部屋で布団に横になる。
長義と一緒に寝てたベッドよりも固い。せんべい布団。

(俺に欲情、してたくせに、とか、ちんちくりんなんて言い方、とか、)
少し腹が立ったけれど、結果的にまんばは本丸に帰れた。

(俺を帰す、ためだよなぁ……

はぁぁ……とため息をつく。







数ヶ月が過ぎた。まんばは定期的に病院に通い、薬をもらっている。2回目の発情期はまだ来ず、平穏な日々を過ごしている。

しかしある日、発情期の予兆が来る。体が熱を持ち、自由が効かなくなる。急に自分の身体が怖くなる。どうなってしまうのか、どうすればいいのか。

そして同時に長義に無性に会いたくなる。

触れたい、抱きしめて欲しい、抱いて欲しい。
フツフツと欲が湧き上がってくる。

まんばは居ても立っても居られなくなって、発情期だと言うのに本丸を飛び出した。

あの後長義はどうなったのだろう、まだあの部屋にいるのか、もしかしてもう他のΩと番ったのか、もう自分のことは忘れただろうか、いろんな事が頭を過ぎる。

長義に会いたい。

行く宛などなくて、まんばは政府に向かう。あそこなら彼の居場所を知ってるだろう。

しかしその道すがら、まんばは手を取られる。
「こんな所で発情期のΩが何してるの?」
αだった。威圧感を感じ自然と萎縮する。しかしまんばは長義の所へ行かなければならないという一心で抵抗した。
「離せ!お前に用はない!!」
「そんな状態で彷徨いてたら、誘ってるとしか思えない」
まんばは強引に連れて行かれそうになった。普段なら屁でもないのに、発情期の所為で力が出ない。

「待て、そいつは俺のだ」

パッと見ると長義がいる。まさにタイミングよく助けに来てくれた。信じられない。
αは長義を見ると驚いて、一目散に逃げていった。αが逃げ出すほどの存在なのかとまんばは思う。

「ばか、何やってるんだ」
「え!?」
「発情期に抑制剤も飲まずにウロウロするなんて、襲ってくれって言ってるようなもんだぞ!?」
「あ、そういえば、抑制剤、飲み忘れて……
「今更気づいたのか!」

長義のことで頭がいっぱいで忘れていた。

「来い、いつまでもここにいるとαが寄ってくる。」
長義に強引に手を引かれる。

ある部屋に連れてかれる。長義のテリトリーなのか、部屋全体から長義の気配がする。居心地いい。

「なんであんなところ彷徨いてた」

キッと睨みつけられる。びくっとまんばは萎縮した。

「あ、あんたに、会いたくて
「発情期のΩがそう簡単に会いたいとか言うな。勘違いされるぞ」
「か、勘違い、されて、いい……
まんばは恥ずかしくて俯く。
「勘違いじゃ、ない、から……


暗(╹◡╹)♡転




ちょぎくにハピエンヒュー!!お疲れ様でした!ありがとうございました!


→④
https://privatter.me/page/675e818f396b8