ちょぎくに
オメガバ①
※前書いた話とは別世界設定
※ごーかん表現あり
※妊娠はしませんが妊娠云々の話が出てきます
まんばは朝起きて真っ青になる。うなじには噛み跡。番ってしまった。
相手は隣でまだ寝ている。今度こそ本歌とやり直そうと思ったのに、別の者に無理矢理組み敷かれ、貞操を奪われてしまった。
中にいっぱい出された。どろりという感触を感じ、ぞっとする。妊娠という言葉が頭をよぎった。
(番ってしまったのはもう元に戻せない
…だけどこんな形で身篭りたくはない
……!)
まんばは衣服を身に纏い、そっと部屋から抜け出した。
向かった先は病院だった。
Ωであるまんばは抑制剤をもらうためいつもここに通ってる。朝早くに来たため、受付すら来てない。早朝用の番号札を取って待つ。
しばらくして受付も来て、対応してくれた。診察時間になり、まんばはいの一番に呼ばれる。
中にいたのはまんばの主治医である本歌だった。
「患者くん、今日は予約外にどうしたんだい?」
「
……実は、無理矢理うなじを噛まれてしまった
…。こんなことがキッカケで身篭りたくないから、その
……何とかして欲しい
…」
「番いに?」
長義はきょとんとしている。
「それはお前が前々から話してた彼かな」
「!ど、どうしてわかったんだ
…!」
「彼と恋仲になったわけじゃないの?」
「違う。そもそもそんな感情は持ち合わせていない
…!」
「まあとりあえず洗浄しようか。話はそれからだよ」
まんばは本丸の本歌と不仲だった。最初から嫌われていたし、やることなすこと火に油を注ぐ感じで日を追うごとに関係は酷くなっていった。
まんばは本歌との事を半ば諦めていた。顔を合わせば、不快に顔を歪められる。関係の修復は絶望的。彼の不快そうな顔を見るのもつらかった。
(本歌との関係をやり直したい。まっさらな状態から
…)
そんなことができるならば、自分は正しく対応できる自信がある。彼が何を不快に思うか、今では把握できている。だから彼に障らないよう、振る舞うなんて容易いはずだ。
そんな中、長義がドロップした。
まんばは思いつく。
(まっさらな本歌とやり直しすれば良いのでは
…?)
二振り目は基本的に習合するルールとなっている。しかしこれを貰い受けることはできないだろうか。
まんばは審神者の所に行き、言った。
「頼む、二振り目の長義を顕現させて欲しい
…!」
審神者に理由を聞かれて正直に話す。
「本歌から嫌われている。もう修復不可能なほどに。写しが本歌に好かれない事は存在を否定されているみたいでつらい。だから今度こそやり直したい」
審神者はそういうことなら、と特別に許可してくれる。後で顕現させるから待ってて欲しい、と。
まんばはΩだった。
顕現した時に発覚し、審神者しか知らない。抑制剤を飲み、本丸の刀達には隠してきた。発情期は強い薬を飲み、抑えていた。それでも通常の任務をこなすのは難しかったため、数日間休みをもらうようにしていた。
ある時期から、発情期の時期が乱れるようになった。近侍の仕事が忙しかった所為かもしれない。知らぬうちにストレスとなりホルモンバランスが崩れて影響が出たのかもしれない。
本丸内にαがいるかどうかは知らない。抑制剤を飲んでいれば関係ないし、番いを作るつもりもない。αだからと特別扱いするつもりも、敬遠するつもりもない。
審神者に二振り目の事を頼み、今度こそ間違わないようにしなければ、と気合を入れていた。
夕食後、審神者からは明日顕現させるから同席してくれと言われる。二つ返事で了承する。
そして、まんばは意気揚々と歩いている所を手を引かれ、部屋に連れ込まれた。
「本歌
…?」
冷たい目でまんばを見下ろしている。両手で手首を掴まれており、それが強くて痛い。
ぞわぞわと何かが湧き上がってくる。
「二振り目を望んだのか
…!俺を捨てて
…!」
「捨て
……?いや捨てるも何も
…!」
「うるさい
…!!」
ブワァッと風を感じるくらいの香りが長義から放たれる。αのフェロモンだとすぐ気づいたが、不意打ちだったため思いっきり取り込んでしまった。彼のフェロモンにあてられ、まんばの体が熱を持つ。高まる。
「
……っ」
「もう容赦しない
…!」
引き倒され、組み敷かれ、後はそのまま
…。
( ͡° ͜ʖ ͡°)<暗転
「先生、番いを解消する方法はないのか
…?」
主治医に身を清めてもらい、一安心。念のため避妊薬も出してくれると言った。
「番いは基本的にやめることはできない。もちろん離縁みたいなことはできるけど、お前が発情期の時、発散できなくて精神的ストレスに苛まれて苦しむだけだよ」
「どうせ長義は俺を苦しませるために噛んだんだ。発情期が来ても放っておくだろう。それなら同じだ。結局解消方法はないってことだな。」
まさか長義がαだったなんて、とか、自分を苦しめるために番いにしたのか、とか考える。気持ちが暗い。
まんばは病衣から自分の服に着替えようとする。
俄かに外来待合が騒がしい。
「ちょ、入らないでください!」
「うるさい!」
バンっと音と共にまんばの本丸の長義が入ってくる。まんばはびっくりして、そしてすぐに恐怖で縮こまった。
「なんで逃げた!?しかも病院なんて
……!避妊手術受けたのか!?」
「へ!?」
避妊手術なんてすぐに受けれるもんじゃない。しかも決定から準備、手続き、手術まで、数時間で終わるわけがない。
「う、受けてない
……」
「じゃあなんでここにいるんだ!」
「あ、あんたが中で出したからだろ!洗浄してもらったんだ!」
「はぁ!?なんでそんなこと!」
「なんでって
……」
まんばは困ってちらりと主治医を見る。主治医は肩をすくめた。助けてくれる気はないらしい。
「まさかお前、こいつに懸想してるのか!?」
「は!?」
とんでもないことを長義が言い出したものだからまんばはさらにびっくりする。
「俺と番ったのに、こいつのところに来て、そんな
……!服を着てないのも、今こいつとヤってたからか!?」
服は着てる。正確には病衣。その下は裸だけど。
「いや着てるし、それに先生はβだから!」
「βでもできなくはないだろ!」
「そりゃそうだけど、俺と先生はそういう関係じゃない!」
やいのやいの言ってたら、ようやく割り込んできてくれる。
「同位体、ここは仮にも病院なんだから、あまり騒がないでくれるかな」
「お前が偽物くんを唆したのか
…!」
「俺はただ診察しただけだよ」
「診察って名目でこいつにベタベタ触ったんだろ!いやらしいことしたんじゃないのか!?」
「被害妄想も甚だしい。人の物に手を出す趣味はないよ」
「せ、先生にまで絡むな!」
「お前が庇うなんてますます怪しい」
「そんな」
「はいはい、そこまで。痴話喧嘩は病院に持ち込まないで。次の患者が待ってるから、お前達は家で話し合いな」
ポイッと長義と共に待ち合いに出される。服も後から放られた。
「ま、まだ話は終わってない!」
「先に番い同士が話し合ってから結論を言いに来てくれるかな。子を作るかどうかは夫婦の問題だろ?」
パタンと診察室の扉が閉じられる。受付の事務員が「お会計xxx円です」と言った。
( °ω° )
……
子ども云々と主治医は言ったが、そんな問題じゃない。嫌われてる長義に番いだということを利用されて、今後ずっと嬲られ続けるということだ。発情期に熱に苛まれて苦しみ続けるのは苦痛だろう。
本丸に帰り、国広の部屋まで長義が付いてきた。部屋でふたり座り込んで、口を閉ざしたまま。
「お前、身籠るのが嫌なの?」
長義が唐突に聞いてきた。
「そういう問題じゃないだろ」
「じゃあどういう問題なんだ」
「番ったことだろ」
「それが?」
なんでここまで言ってわからないんだ、とイライラしてくる。
「俺を弄んで楽しいか!!あんたに嫌われてるのはわかってるがここまですることないだろ!!」
いきなり怒鳴ったまんばに驚いたのか、長義は口を開けてぽかんとしている。
「番えばあんた以外とできないのを知ってて、うなじ噛んだんだろ!俺を苦しませるつもりだってわかってるんだ
…!」
「ま、待て、誰もそんなことは言ってない
…!」
「言わなくてもわかる!」
「わかってない!」
「そんな態度取られれば誰でもわかる!あんたが俺を嫌っているなんて、気づかない方がおかしいだろ!」
「俺はお前が好きだ!」
「は?」
聞き間違いかなと思う。
「嫌ってない、好きだ
……」
顔を赤くして、長義が言う。
「嘘だろ」
「嘘じゃない」
困惑する。からかってるのか?とも思うが、真剣な表情。
「さすがに嫌いな奴と番ったりしないし、嫌がらせで抱いたりしない」
「ぇぇぇぇぇ
…」
「なんだその反応は!」
「でも今までずっと俺を避けて
……」
「どう、接していいか、その、分からなくて
…。お前が二振り目に心向けるような素振りを見せるから、早く俺のものにしないとって
…」
「えーっと
……」
「あとお前がΩなのは会ったときから知っていた」
「!?」
まんばは長義がαだと知らなかったのに長義は知っていたらしい。
「わからないわけないだろ」
「!?
…!?」
長義がずいっとまんばに近づく。
「俺はこのまま番いとしてお前と共にいたいんだけど」
まんばは口をはくはくさせるしかできなかった。
おしまい!皆様お付き合いありがとうございました!
■どうでもいい設定
・まんばの発情期が乱れてたのは長義くんの所為。『発情しろ~発情しろ~~』と念じてた。
・まんば結構自信満々に「二振り目となら上手くやれる!」って言ってるけど、二振り目は二振り目で性格違うと思うよ。
・二振り目は習合されました。
⇒②
https://privatter.me/page/675e818f3331f
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