木蔦(キヅタ)
2020-12-22 00:41:15
4537文字
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審神者側の長義と歴史修正主義者側のまんばが恋に落ちた話【ちょぎくに】※注意書きいろいろあり


ちょぎくに
※まんばや長義くん以外の刀剣破壊表現があります。
※闇落ち表現あります。
※ブラック本丸表現あります。

目と目があった瞬間に、確信した。
ああ、今、恋に落ちた。

そして相手も同じことを思っている、と。
不思議とそんなことが手にとるようにわかった。




まんばの元主は冷徹な人だった。刀は使い捨て、人の身を得ているが所詮は物、疲労など考えずに出陣を繰り返し、使い物にならなくなったら捨てる。そんな人だった。

仲間達もたくさん折れた。戦場で折れる者もいれば、なんとか帰城したのに手入れされず折れる者もいた。

ある日その本丸が時間遡行軍による襲撃に遭った。刀達は審神者を守る所か、我先にと逃げ出した。手入れされず手負いの刀も多かったため、勝ち目はないと判断してのことだった。

そして審神者は時間遡行軍によって殺された。


まんばは偶然にも生き残った。時間遡行軍により折られた刀もたくさんいる。しかし悲しみはない。どうせ遅かれ早かれ審神者に折られていた。
空虚な気持ち。

もう自分もこのまま朽ち果ててしまおう。
そう思った。

しかしそこにある者が現れる。

それは時間遡行軍を従えた人間だった。

その人間はまんばの怪我を治してくれた。痛かっただろう、つらかっただろうと声を掛けてくれた。

そして一緒に来ないかと誘われた。

まんばはその人間が歴史修正主義者だとわかっていた。
わかっていて、手を取った。






長義はある本丸の刀だった。
本丸はごくごく普通、成績も普通、刀の数もまあまま、レアもそこそこ。

ある日長義は出陣し、時間遡行軍と戦う。しかし対峙した相手が自分の写しに見える。戦場で駆け、戦う姿は美しく、目を奪われる。
まんばと目が合った瞬間、何とも言えない感覚が全身に走る。

一度切り結んだが、すぐに刀を払った。まんばは長義から距離を取るように後ろへ飛ぶ。

再びまんばと目が合う。

ああ、彼は自分が生涯愛する刀だ、と確信する。
彼はくるりと背を向け、撤退してしまった。止める間もなかった。

なぜまんばが時間遡行軍にいるのか、洗脳されているのか、脅されて無理矢理戦わされているのか、もしくは寝返ったのか、そこまで考えが及んでぞっとした。

まんばは正気のように見えた。つまり自分の意思であちら側にいるということだ。

長義にとってまんばが倒すべき敵ということになる。


「なんで山姥切国広が遡行軍にいるんだ?」
そう呟くと隣にいた仲間が訝しげな顔をする。
「山姥切国広なんていなかったが、幻覚でも見たのか?」
そこで自分以外にはまんばを視認できないことがわかる。時間遡行軍の姿で見えるらしい。

もしかしたら自分はまんばの本歌だから、彼がわかったのでは?と思う。

時間遡行軍は、本丸の刀の同位体なのかもしれない。ただ単に持ち主が歴史を守る審神者ではなく、歴史を変えようとする修正主義者のだけで、本質は一緒なのでは。そう思う。


再びまんばと対峙した。

なぜそちら側につく、なぜ従う、聞きたいことはたくさんあった。しかし、刀を合わせ、見つめ合うだけで、その言葉は引っ込んだ。
ただただ愛しいと、お前とずっとこうしていたいと想うだけになっていた。

そして相手もそれに応えてくれている、好きだと、離れたくないと、その目は語っていた。

その一瞬が止まってしまえばいいと願った。

その時もまんばはすぐさま撤退してしまう。
それは有難いことだった。まんばがここに留まれば、敵として折らなければならない。だけど生きてさえいればまた会える。

何度目かの対峙で、初めて触れた。

その日は遡行軍が襲来した時、仲間と少し距離があり、その所為でーーいや、そのお陰で、まんばとふたりきりになった。

最初は真面目に刀を合わせていたが、周りに仲間がいないと知ると、どちらともなく下ろした。

長義がまんばの頬にそっと手を這わす。

ああ、彼に触れられることをどんなに待ち望んだか。

まんばも嬉しそうに長義の手に擦り寄る。

ああ、幸せだな、と思った瞬間、少し遠くで刀を打ち合う金属音がして、飛び退く。まんばは残念そうに眉を顰めた後、走り去っていった。

言葉こそ交わさなかったが、これは正しく逢瀬だった。





それに味をしめた長義は、たびたび他と逸れるように距離をとった。まんばもそれをわかったうえで、何も言わずに長義に誘われるがまま付いてきた。

まんばを木の陰に押しつけ、キスをした。まんばも長義の首に腕を回して、もっととせがむように引き寄せた。

ふたりの間には言葉はない。好きだとか愛してるだとか、言ったことも言われたこともない。しかしただその瞳だけが穏便に語っていた。

そしていつも名残惜しそうに離れる。まんばは未練を振り切るように駆けていき、長義は引き留めたいのをぐっと堪えてそれを見送るのが常だった。


長義はこのままじゃいけない、こんなことは長く続かないと気づいていた。何とかして現状を変えなくてはと思っていた。

今はお互いギリギリの所を掻い潜り、会えている。しかし何度もそううまくはいかない。敵同士なんだから。
不安的な関係。

何度目かの逢瀬で、初めて長義はまんばに言葉をかける。

「お前が好きだ」
ぎゅっと抱きしめる。
「だから、そちらを捨てて、俺と来てくれないか」
まんばは黙り込む。そしてようやく一言。
「もう、会えない」
「!?なぜ」
「あんたのことが好きだから」
「好きなのに、なんで!」
強く抱きしめるが、まんばがそっと押し返す。

「俺たち言葉を交わすべきじゃなかった」
まんばは悲しそうな、つらそうな顔。長義はまんばにかけた言葉が間違いだったと知る。

「さよならだ」

それ以降、まんばに会うことはなかった。




長義は抜け殻のようになる。本丸ではいつもまんばのことを考えてぼんやり。
戦場に出るとついまんばの姿を探してしまう。

みんな長義のことを心配してくれる。気遣いは有難いが、まんばの代わりにはならない。気持ちは沈んだまま。

そんなある日、長義が出陣した先で事件は起こる。


もうそろそろ帰城しようと話していたところで、少し離れたところで戦の気配がした。金属を打ち合う音がする。
目を凝らすと時間遡行軍の姿が見えた。どこかの本丸が自分たちと同じ時代に出陣していたのかもしれない。

長義はハッとして、仲間達には先に戻るように言い、走り出す。






駆けつけるとそこに長義の探し人は
ーーいた。

時間遡行軍に紛れ、確かにそこにいた。

長義は歓喜した。ようやく会えた奇跡に感謝した。

しかし喜んでいる暇などなかった。
当のまんばは相手の本丸によって今にも折られそうだった。

「国広っ」
「な!?長義!?」

攻撃から庇うように長義が飛び込んだ。しかし足場が悪く、長義と国広はその場から転げ落ちていった。

「痛むか?」
……平気だ、見た目は派手だが、傷は浅い」

まんばが怪我をしていたため、簡単にだが、手当てをした。

あの後、ふたりはなんとか助かったが、道に迷ってしまった。長義の本丸の仲間も、まんばが戦ってた本丸の刀たちも、時間遡行軍も近くにいない。

長義達は偶然見つけた洞窟に入る。
雨風凌げるため。あと長義的にはここにいれば見つかりにくいだろうという狙いもある。

転がったせいで泥だらけになった服を洗って、焚き火をして乾かす。
シャツは無事なのでシャツ姿


ようやくまんばに会えた喜びを抑えつつ、ふたりきりになれたことに感謝する。再び巡り会えた。

まんばが長義から距離を取るように背を向ける。じわじわと愛おしさが溢れ出てきて、堪らず後ろから抱きしめる。

「ちょ、長義!」
「会いたかった……

まんばは言葉に詰まったあと、ぽつりと言う。

「俺は、会いたくなかった

その声がか細くて、すべてから守ってあげたくて、長義はぎゅうぎゅう抱きしめる。

「あんたとは敵同士だ、ずっと一緒にいられるわけじゃない。それがわかってるのに、あんたと会うのは、……つらい」

長義はまんばを無理矢理振り向かせてキスをする。

「会わなければ、いずれ忘れられるとでも?」
まんばはぐっと口を噤む。

「そんな易い恋じゃない」




( ´・ω・)(´・ω・)(・ω・`)(・ω・` )【審議中】





暗d(`・ω・´)(`・ω・´)(`・ω・´)(`・ω・´)b転






まんばが起きて、服を整えてる。長義に背を向けてるので表情は見えない。長義はぼんやりそれを見てる。

「また、会いたい」
……

まんばが振り返る。

「次会った時が、あんたの最期だ。今回は見逃してやる」

あんなに愛し合ったのに甘さのカケラもない。鋭い視線が長義に向かう。

「次会ったら、一緒に逃げよう」
「逃げる?本気じゃない言葉は嫌いだ」
「本気だよ。お前を攫って、審神者も、歴史修正主義者も、時の政府もいない所へ逃げよう」

まんばは頭を振る。

「そんなこと、できやしない」
「できるよ」
長義は起き上がり、まんばの口に人差し指を乗せる。

「俺達に言葉は不要だったな」
長義が優しく微笑むと、まんばは困った顔になる。
「強引にでも攫うから」

長義がそう言った途端、まんばが顔をくしゃっと歪め、抱きついてくる。そして耳元でか細い声で囁いた。それを聞いて長義は驚く。

……わかった」

次の瞬間、ふたりの姿はなかった。


おわり!

お読み頂きありがとうございました!お疲れ様でした!