木蔦(キヅタ)
2020-02-15 19:13:11
5325文字
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拒食症になったまんばと、ご飯を与える長義の話【ちょぎくに】



蛇足

最初はちょっとしたもてあた精神だった。自分の写しが拒食症になったというので、まあ自分で解決できるなら助けてやるかと思った。
そして口移しで食べさせたのもほんの出来心だった。
(多少霊力を渡せば元気になるだろ
しかし彼は自分の写しのくせに霊力が馴染まず、悪酔いした。
吸収できないくせに何か気に入ったのか、もっともっととせがまれた。その姿に可愛いところもあるじゃないかと優越感に浸った。すべて食べ終わると、酔い潰れたようで寝入ってしまった。仕方なく布団を敷き、寝かせてあげる。ゼリーの容器を厨に持って帰った。
「え!?全部食べたの!?すごい!」
「本人は食べて疲れたみたいで寝てる」
「そっかそっか。ストレスから夜もあんまり寝れてなかったみたいだから良かった。起こさないようにみんなには部屋に近づかないよう伝えとくよ。」
まあ風呂に入って寝るだけだから、そう騒ぐ者もいないと思うけど、酒盛りをし始める輩もいるからなぁと思う。

そしてしばらくして再び呼ばれた。強情なので再び口移しで無理やり食べさせる。やはり霊力が馴染まないようで、徐々に彼の焦点が合わなくなる。ふらふらくらくらしてる。それでもちゅっと口を塞ぐとピクリと反応して面白い。かわいい。全部食べさせると前回と同じように寝てしまった。
布団に寝かせ、皿を片付ける。
「また食べてくれたの!?長義くんすごいねぇ。あんなにまんばくん頑なに食べようとしないのに。」
燭台切は嬉しそう。

しばらくしてまた頼まれる。
「燭台切から君に頼むと食べるようになるって聞いたんだ。この前のリンゴも君のお陰なんだろ?悪いけどこのお粥を食べさせてくれないかな?麺類もダメでね、困ってるんだ」
歌仙から頼まれる。

ここまで来ると自分にキスして欲しくてご飯を食べないのではないかと思えてくる。指摘しても認めようとはしなかったが。

そしていつも通りお粥を食べさせていく。
(ん?)
前回よりも霊力を吸収できてるようで、与えた分だけまんばの力に変わっていく。酔ってもいない。
(ならもう少し多めに与えた方がいいかな。その方が調子が戻るのが早いだろう)
一生懸命与えられた物を飲み込む姿は可愛らしい。

しかし途中からまんばの様子がおかしくなる。顔が真っ赤。しかももう自分で食べられるという。
嘘つくな今まで食べれなかったくせにと無理矢理最後まで食べさせる。しかし霊力を与え過ぎてしまっていたようで、気付いた時にはまた酔った状態になっていた。
しかもキスの所為か興奮している。
面白い、自分の所為でこうなったなら、気分がいい。少し付き合ってやろうかなと抜くのを手伝ってあげた。
さすがに畳では可哀想に思い、長義は抱きかかえてやってあげる。終わった後は衣服を整え、布団を敷いて寝かせてあげる。抱きかかえながらは大変だったので、先に布団を敷くべきだったなぁと妙なところで反省する。

しばらくすると、まんばがみんなと一緒にご飯を食べるようになる。
しかしまだ本調子じゃないようで、お粥のみ。おかずは手付かず。これはまた呼ばれそうだなと思った矢先に頼まれる。
「ただ、大広間じゃなく、偽物くんの部屋でもいいかな」
「ああ、そうだよね!(はいあーんとか)まんばくんも恥ずかしいよね!」
「(口移しとか)恥ずかしいだろうね」
「食べれるようにしてくれるならどこでもいいよ!お膳運んどくから!」

そして再びまんばに食べさせることになる。前回よりも霊力の吸収率はいい。
(馴染んできたのかな?)
そうすると真っ赤な顔のまんばと目が合う。それだけで何を考えてるのかわかってしまった。
「待ってろ」
期待には応えないとね、そう思いながらご飯を全部食べさせる。布団を敷いてまんばを寝かせるが、まんばは何故か戸惑っている。
「え?え??なんで布団?」
「前は畳だったから、布団がいいだろ。ほら、おいで」
横になったまんばの上半身を抱き寄せて、キスをする。今度は食べ物はない。



さて、ようやく彼は食べられるようになったらしいが、ここでひとつ問題がある。
随分と長義の霊力をご飯の際に注いでしまったが、体質に変化はないだろうか。早く元気になれるよう一緒に霊力を分け与えた所為で、それが逆効果になってないとも言い切れない。
彼の体が「食べ物と霊力は一緒に吸収するもの」と認識している可能性もある。

果たして、写しは食べ物だけで満足できず、物足りない思いをしないだろうか。