木蔦(キヅタ)
2019-07-01 01:01:05
7578文字
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傷ついた布んばを保護するところから始まる二つの本丸のちょぎくにの話【ちょぎくに】




長義は非番でいつものようにデートに行った。
極んばは足繁く通う彼を見て「お熱いことで」と呆れていたが、同時に仲睦まじい二振りを微笑ましいとも思っていた。


しかし長義が帰って来ると様子がおかしかった。
「長義、もう皆夕食は終わったようだ、あんたの分が大広間に残ってるから
「はぁ?なんだその馴れ馴れしい態度は。近寄らないでくれるかな」
手を振り払い、嫌そうな顔をする。
布んばのお陰もあって最近丸くなっていたのに逆戻りのようだった。
布んばと何かあったのだろうか、と極んばは考える。

相談に乗ってあげたいが、話しかけると嫌そうな顔をする。
一振りにしてあげた方がいいのかもしれない。

しかし極んばが風呂に入り自室へ向かっていると、うろうろしている長義に出会う。
向かう先に長義がいるし、何か困っているようだから、話しかけないわけにはいかない。

「どうしたんだ?」
「あ、やあ、偽物くんじゃないか」
「何か探し物か?」
「いや何でもないよ、それより君は今から寝るのかな」
「?そうだが」
「今から偽物くんの部屋に行こう!」
「はぁ??」

突然の事に驚く。
正直長義なんかをパーソナルスペースに入れたくないが、何か相談事があるのかもしれないと思い直す。
帰宅時に様子がおかしかったからきっとその事だろうと思う。
初期刀のため面倒見がよい。

「わかった、茶も出せないがいいか?それか今から厨に寄るが
「そうだね、厨に寄ってから偽物くんの部屋に行こうか。」

厨のポットで茶を入れてから極んばの自室へ向かう。
そして自室で「さぁ何の相談だ、言え」と身構えた所で極んばは押し倒されてしまう。

「ちょ何の真似だ!あんたのは恋人がいるだろう!?なんでこんなことをする!」
「良いじゃないか減るものじゃないし。俺の練習相手になってくれないかな?」


打撃103が炸裂する。👊



話を聞いてみると、彼は布んばの本丸の山姥切長義だった。(面倒なので他長義って書きます。情緒もなくてすまん。)
他長義は頬を押えながら、経緯を説明してくれる。

「うちの偽物くんに頼まれた。面倒だが本歌として求められたら応えないわけにはいかない。」
「二振りとも二日連続で非番だ、つまりそういう事だろ」
「君のところの俺からある程度の間取りとか本丸のメンバーの性格とかは聞いていた。だがさっきは道に迷ってしまってね、自室に帰れなくなってしまったんだ。だから偽物くんの所に泊めてもらおうと思ったんだよ。ほら閨を共にするなら自然な流れで泊まれるだろう?」



極んばは怒りが込み上げる。
まず自分に黙って大それたことをした自本丸の長義・布んばにも腹が立つし、そんなつまらない事で抱こうとした他長義の神経も信じられない。
「お前たち、何か大変なことがあったら主にどう申し開きをするつもりだ!」
極んばの説教。他長義は50のダメージ。


「事情は分かった、だが今度やる時は俺に相談するように!!」

そう注意をする。そして他長義はぶつくさ言いながら次の日自本丸へ帰って行く。
帰ってきた長義もこっぴどく叱られる。


そして知ってしまった事を極んばは後悔する。


極んばが知ってる事を良いことに、長義が非番の日を指定してお願いしにくるようになった。
どうやら布んばと休みを合わせるためらしい。
そうすると彼らが入れ替わり、あの大きな態度で、無駄に偉そうな他長義が来る。
しかも極んばがフォローしなければならない。
正直面倒な事に巻き込まれたと思っていた。


極んばはこの件を審神者に報告しなければならないと思っていた。
しかしタイミングを逃し、ずるずると先延ばしにしてしまっていた。
そして隊長である自分が知っているし、今のところ問題もないからいいか、と思った。

しばらくすると他長義も本丸に慣れて極んばの助けを必要となくなる。
しかし極んばはそれが少し寂しいと思ってしまう。
元々初期刀は面倒みが良い性質があるので、手の掛かる雛が巣立った感覚かなと思っていた。

しかし、夜に他長義が訪ねてきて、極んばは嬉しいと感じてしまう。
そして他長義に惹かれてることに気づく。(用事は晩酌の誘いで、閨ではない)


気づいてしまったらもう駄目で、長義が休みの日を頼みに来るとその日を心待ちにしてしまう。
相談が空くと「休みはいいのか?」と自分から聞いてしまう。
さらに長義と布んばが喧嘩したりした場合は積極的に相談に乗ってあげて「そうだ、休みを調整してやろう、だから仲直りしてこい」などと要らぬお節介(に見える自分都合)をしてしまう。


他長義は本丸に来るたびに極んばを晩酌に誘う。
極んばはそのひと時だけでも十分満足だった。
しかしその日は少し違っていて、なんだか体が火照る。
飲んだ量からして酔うほど飲んでいないのだが、もしや今日他長義が持って来た酒は度数が強かったのだろうか、と考える。
頭もぼんやりしてくるし、脈も早い。

「ハッ!偽物くんはこの程度で酔っちゃったのかな?」
……そうみたいだ。悪いが今日はこれでお開きで良いだろうか?」
そう言って徳利を片付けようとする。
しかし他長義に後ろから抱き着かれる。
思ってもない行動に極んばはびっくりする。

「なんだ?あんたも酔ってるのか??お前が抱き着いてるのは写しだぞ?」

誰かと間違えてるのかと慌ててそう言うと、耳元で「わかってる」と囁かれる。

「でも、そうだな。俺も酔ってる

そのまま深いキスをされて、暗転してしまう。



それ以降、他長義は来るたびに極んばを抱く。
極んばも拒否せず、ずるずるとそんな関係が続く。
極んばは閨の中でも自分の気持ちを言ったことはないし、他長義がどんな意図で極んばを抱くのか聞いたこともない。






ある日自本丸の長義から極んばに話がある、と告げられる。
長義が他の本丸に移籍することになった。もちろん布んばの本丸。
数日前から審神者に打診しており、向こうの本丸と相談の上ようやく決まったとのことだった。

極んばは焦る。
長義が自分の知らぬ間に審神者に話しているなど思いもしなかった。
すぐに思い浮かぶのは他長義の事だった。もう会えなくなってしまう。
会いに行く口実もない。だって恋人同士でも何でもないから。

しかし審神者が許可を出し、向こうの審神者も了承している以上、極んばは異議を唱えることが出来ない。
何より二振りがようやく一緒になれるのだから祝福せねばなるまい。

今回の移籍はただ単に長義が向こうに移るだけなので、戦力が一振り掛けること以外何にも問題ない。
向こうの本丸も戦力が増えるため、願ったり叶ったりだし、困ることといえば一振り分の部屋やご飯くらいだがそんなこと何十振りいる中で一振り増えることくらいどうということはないだろう。
一応交換の話も出たようだが、他長義の方が練度が高かったため、向こうの審神者が渋ったらしい。


長義はみんなに送別会をしてもらい、本丸を出て行く。


しかし数日後、何故か長義が戻ってくる。
みんながどうしたんだ、と疑問に思う。まさか向こうの審神者や刀と折り合いが悪くて追い出されたのでは、と勘繰る。
長義がズカズカ大広間に入り、どかっと腰を下ろす。
「今日から俺はここに住むから、部屋と今日のご飯を用意してくれないかな」
「あんたがなんでここに?」

話を聞いてみると、どうやら彼は他長義で、ある日出陣から帰ってくると長義が本丸に移籍したと聞かされる。
何故そんなことになったのか詳しく話を聞き、理解はしたが、なぜ交換じゃないのかと審神者を問い詰める。審神者は「折角長義をカンストまで練度上げたのに交換するなんて嫌だったんだよ〜!」と言われる。
俺は向こうの本丸に行きたいと告げると審神者は「俺、悪い主だった??悪いとこあったら直すから行かないで〜〜!」と泣きつく。他長義はブチ切れて「俺に相談もなしに俺の周りのことを決めたのが気にくわない。
自分のことは好き勝手させてもらう。」と告げる。そして無理矢理審神者に許可をもらい、本丸を出て行ったという経緯だった。


そして後追いだが、この本丸の審神者の許可ももらう。
審神者は元々交換希望だったので大歓迎。
そして向こうの審神者にも許可をもらってるなら問題ないと言う。

「そうだ、俺とにせも……近侍くんは恋人同士だから、その辺采配を頼むよ」
「は?」
「え、」

いつ恋人同士になったんだ、と言いたいが、ああいうことをしている以上、否定も肯定もできず、くちを開けたり閉じたりする。
「何なら二振り部屋にしてくれてもいい。それか離れを作ってくれないかな?」
「待て!待て待て待て!ワガママが過ぎるぞ!」
「なんだ、今回のことは主に伝えてなかったのがそもそもの失敗だろ?それなら言いたいことは先に伝えておいた方がいい」
「それにしてもおおっぴら過ぎるし、傲慢だぞ!そ、そ、それに恋人同士、だ、なんて……
自分で言ってて真っ赤になり撃沈してしまう極んば。
「恋人同士じゃないならなんなのかな?褥まで共にしておいて」
「褥」
「ちょ!主の前でそういうこと言うなぁぁぁぁ!!」
やめて極んばのライフはもうゼロよ……
そしてちょぎくには幸せに暮らしました。お付き合い頂きありがとうございました!お疲れ様でした。








細かな設定すぎて書いてませんが、
・他長義は極んばに媚薬を盛っている(酒シーン)
・酒シーンは二振りとも酔ってない。しかし二振りとも酔ってるフリをして大胆なことしてたりする。(暗転箇所のため明記なし)
・初日お茶を取りに行ったのは厨の場所を覚えるため(迷子だったから)
・審神者に入れ替わってる事を報告しなかったのは、無自覚に独占したかった表れ。秘密の共有。
・遠恋ちょぎくにが破局すると自分も会えなくなるから、喧嘩するとすぐに仲直りさせる方向へ向かわせる。
・極んばが行為を拒否しないことから、気持ちは他長義に伝わっていた。
・他長義は極んばに優しいわけではない。ケンカップル。ただ他長義くんは極んばのその跳ねっ返りな部分がとても好き。極んばは面倒みが良い反面余計な事までガミガミ言うのでうるさい。
・審神者が全員の関係を把握してればすんなり交換になっていたはずだった。
・極んばは審神者に付き従う感じ、他長義は審神者を小物に見てる感じ。












コンセプトは、とりかえばや物語です。
入れ替わった先でとんでもないことになってしまって……って感じで。たぶん物語さえ知ってれば簡単だったかと。