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木蔦(キヅタ)
2019-07-01 01:01:05
7578文字
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傷ついた布んばを保護するところから始まる二つの本丸のちょぎくにの話【ちょぎくに】
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長義はある日戦場で傷ついた布んばを発見する。
それは他本丸のまんばで意識を失っている。
とりあえず手入れをしなければ、と自本丸へ持ち帰る。
長義の本丸には極んばがいる。
極んばは生意気で練度も高くて正論でぶった切ってくるタイプだったので、長義は極んばは苦手だった。
これも同じ山姥切国広なんだから、同じように生意気なんだろうと考えていた。
しかし手入れを終え、目覚めた布んばは極んばと違い、素直で謙虚な態度だった。正直本歌のドストライクだった。
長義はその気持ちがすぐに恋だと気づく。
しかしそれと同時に布んばは他本丸の山姥切国広だから、その本丸が見つかれば帰ってしまうと悟る。
離れたくない。
この本丸にずっと住まわせたい。
そんな想いがふつふつと湧き出た。
布んばは恥ずかしがり屋で、あまり刀に会いたがらない。
部屋に刀がいると布をぎゅっと下げて俯いてしまう。
会話も首を縦や横に振るだけだったり、必要最低限のことしか話さなかったりする。
しかし長義は本歌だからか、ここで目が覚めた時に初めて会った刀だからか、他よりは普通に会話をしてくれる。
あまり懐かない子が本歌には懐いてくれるというのが実感できるのも性癖に来た。庇護欲というか。
ある日布んばが言う。
「本丸に帰りたい。あんたたちの主にお目通りしたいんだが、話を通してもらえないだろうか?」
長義くんはついに来たと身を硬くする。
長義は最もらしく言う。
「主に伝えてもいい。ただその格好ではダメだ。主は綺麗好きでね、その布は主の逆鱗に触れてしまうだろうな。ほらうちの山姥切国広も布を被ってないだろう?あれは主の意向に従ってるんだよ」
布んばはびっくりする。
そして布を人前で外すなんてとカタカタ震える。
「国広、その布を貸して。俺が洗濯してあげよう。そうしたら主も会ってくれるかもしれない。」
まんばは少し迷ったものの、長義くんに布を渡す。
そして布団に潜り込んでしまう。まんばは布団を布の代わりにするらしく、なかなか出てこない。
長義は自室にこっそり布を仕舞い込む。
そして布んばに言う。
「ごめんね、国広。布があまり綺麗にならないみたいで、クリーニングに出してるよ」
「あ、あまり綺麗でも困るんだが
…
!しかもクリーニングなんて
…
!」
「お前が綺麗な格好を好まない事は知ってるよ。だけど主に会えないと困るだろ?」
布んばは黙り込んでしまう。
そしてまた次、まんばは問いかける。
「そろそろ布は戻ってきただろうか?あれを被ってないと落ち着かない。」
「ああ、言ってなくてごめんね。戻ってきたんだけど、結局綺麗にならなくて、俺の方で新しい物を手配しているよ」
「!?あんたをそんな煩わせるわけには
…
!それにお金
…
!」
「気にしなくていいよ。俺はお前の本歌なんだから。例え他本丸であっても、お前の事を世話してやりたいんだ」
布んばは困った顔をする。
「新しい布は手配できただろうか?」
まんばは頻繁に聞いてくる。
布がなくて相当そわそわしているようだ。
「届いたよ、ただちょっと困った事が
…
とにかく持ってくるね」
そうして持ってきたのは、ベールかと思わんばかりのスケスケの薄い布。
「ごめんね、手配の間違いかこれが届いたんだ。お前がこれでいいなら渡すけど
…
」
まんばは眉を寄せ、じっと布を見た後で、「これだと布を付けてないも同然だ、正しいものが来るまで待つ」と答える。
そんなことを繰り返し、まんばはなかなか布を手に入れられない。
長義は布んばがそばにいてくれるのは幸せだった。
しかしいつか帰ってしまうという不安が付き纏っていた。そしてある日審神者から呼び出される。
「お前が世話をしてくれている山姥切国広だが、本丸が見つかった。時期や出陣場所が一致しているからほぼ間違いないだろう。今まで長義には苦労かけたね」
長義は衝撃が走る。
布んばが帰ってしまう。もう会えない。
同時期、長義の最近の行動を不審に思った極んばは布んばの所へ訪れる。
そして布を被ってない(代わりに布団に潜ってる)
布んばを見て驚く。
そして事情を聞く。
布んばも同位体とあって、極んばの前では顔は隠さない。
同位体だから安心感があるのか話もしてくれる。
極んばはそれを聞いてますます不審に思い、布んばの布の行方を探す。
そして長義の押入れの奥から発見し、何の意図かは知らないが、わざと布を隠したんだと知ってしまう。
そして同位体であるため布のない精神的苦痛は如何程だっただろうと、強く感じ取り、布んばに布を返してあげる。
ちなみに長義が隠してたことは言わないでおく。悪戯に不安を煽るのは良くない。
そして本丸が見つかったと極んば経由で伝えられて、布んばは本丸に戻る事になる。
長義は布んばが戻る事になり、悲しかった。
どうにか引き止められないか考えたが、極んばによって自分の悪事は暴かれてしまった。
きっと布んばは自分のことを恨んでいるだろう。
引き止める所か嫌われてるかもしれない。
布んばに謝りたい、話がしたいと思うが、足が向かない。
そしてついに布んばが帰る日になってしまった。
布んばからは長義に会いに来なかった(長義の部屋を知らないため来ないし、布があっても他の刀剣に会うのは嫌がるため当然会いに来ない。)
長義は勇気を振り絞って布んばの見送りに行く。
布んばはニコニコ笑って「あんたには世話になった」と言うだけだった。
帰れるのが相当嬉しいらしい。別れを惜しんですらくれない。
逆に恨んでるから別れを喜んでるのかもしれない。
布んばはそのまま帰ってしまう。
長義は布んばが帰ってしまった影響からぼんやり過ごすことが多くなる。
布んばから「なんであんなことしたんだ!」って責めてくれれば贖罪もできたんだろうけど、そんなこともなく、ただ「嫌われた、もう会えない、酷いことをした」という事実だけが苛める。
極んばが断罪してくれたら弁解もできるのに、極んばは黙ったままだ。
審神者も知っているんだろうか、知っているなら他の本丸の刀剣に不利な事をしたと罰を与えられるだろうか、と長義は思う。
そういう罪悪感と共に、好きだった布んばに会いたい、寂しいという純粋な気持ちもつらかった。最近まですぐそばにいたのに、もういない。
しかし布んばが再びこの本丸を訪れる。
「え、国広、どうしたんだ?なんでここに?」
「えと
……
その、長義に会いたかったから、主に頼んで送ってもらった
…
」
真っ赤になりながらしどろもどろに答える。長義は驚く。
長義はその言葉を聞いて嬉しさが込み上げるが、布んばがいなくなってから苛まれ続けていた罪悪感を思い出す。
「俺は、お前を帰れないように画策してたんだぞ
……
恨んでないのか
……
」
「そうなのか?」
「知らなかったのか?」
「知らなかった」
でも布んばがふっと微笑んで言う。
「なら長義に感謝だな。布がないのは困ったが、あんたの側にいたかったから
…
」
布んばが美しく微笑むから、長義は衝動に任せて、まんばをぎゅっと抱きしめる。
「俺も、お前を帰したくなくて、馬鹿なことをした、すまない
……
」
「え?嫌がらせじゃないのか?」
「そんな子供じみた真似するか!この期に及んでその発想はなんなんだ!お前の事が好きだからだろ!」
「!」
そして二振りは定期的に逢瀬を重ねる仲になりましたとさ。めでたしめでたし。
このお話のコンセプトは天女の羽衣です。
布を奪われたまんばくんは長義くんに囚われた身となってしまうって感じです。
本来であれば審神者に本丸番号などを伝えもっと早く帰れる予定でしたが、長義くんが面会謝絶()させたため、帰れない状態が続いてました。
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