さもゆ
2024-12-06 15:56:16
3601文字
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【ダニレオ】誕生日/充電

ワンドロワンライで書いた短いの二つです。どちらも付き合ってないですだはは。

2020.12.27 たまごのお粥pixiv投稿作品


ワンドロワンライ

充電




 レオナルドのうなじにコンセントができた。
 よく勘違いが起こるのだがコンセントは挿入される側、壁に取り付けられているあの長方形の穴のことであり、挿入する側はプラグという。レオナルドのぶかぶかのタートルネックとぼさぼさの癖毛頭に隠されがちのうなじに、そのコンセントができてしまった。
 HLで流行している「充電病」という病気が原因である。なんてことはない、発情した電子機器ウィルスが人の体を借りて充電するだけの仕組みである。つまりレオナルドはコンセントをうなじから取っ払うために、プラグに感染した人間に差し込まれなければならなかった。充電とはそういうものだ。
 特に支障はないのだが自分のうなじにコンセントがあるのはどうにも気味が悪い。レオナルドは最愛の妹に心の中で断って、このコンセントにぴったりハマるプラグ人間を探し始めた。すぐに見つかった。相手はダニエル・ロウ警部補だった。街中の規制線、その外側で野次馬を蹴っ飛ばして追い立てている。彼の煙草の持つ右手、中指の指先がプラグになっており、レオナルドはあっと声を上げながら駆け寄った。全然知らない人よりは遥かに話しかけやすい。
「ダニエルさん!」
 もし今自分が彼らとの共同戦線を組んでいて、立場がハッキリしていたならば、ロウ警部補かダニエル警部補と呼んでいただろう。けれど今は自分はバイト終わり、ただの街中の雑踏の一人だった。ライブラの一般人ではない。名前で呼ぶのが礼儀だろうと思っての呼びかけに、トレンチコートが振り返る。片眼が前髪で隠れた目つきの悪い三白眼が意外そうに瞬いた。ライブラんとこの、目だけでそう言う。
「どうしたお前。今回は呼んでねーぞ」
「違うんす、あなた今プラグですよね」
「あ? あー、中指な。またわけ分かんねえもんが流行りやがる。お前も気をつけろよ」
「僕いまコンセントなんです」
「ああ」レオナルドが見せつけたうなじを見下ろし、自分だって感染しているくせに憐れっぽく煙草を咥えた。「そーいうことか。ぴったり差し込めるって?」煙が上下に揺れる。
「たぶん合います。差し込んでみてください。なんかほんと、気持ち悪くって」両の眼窩に特殊なものを埋められているのによく言うもんだ、自分で思った。
「はあ。これほんとに挿れちまって大丈夫か?」
「首に刺さったとかいう事例はないそうっすよ。挿れてくださいよ。はやく。先っちょだけでしょ?」
「お前それわざとか?」
「なんかちょっと、なんかちょっといかがわしい感じですけど」レオナルドは自分だけがそう思ったわけではないことに安堵し、顔を赤らめつつ言い直した。「挿入してください。ちゃんと入りますよ、俺の穴」言い直さない方が良かったかもしれない。
 ダニエルは煙草を咥えたまま何食わぬ顔してレオナルドのうなじのコンセントに、中指のプラグを差し込んだ。
 かちり。
「ひっ」
 うなじがぞわりと鳥肌が立ち、思わず情けない声が漏れる。しかしそれだけで、ダニエルが「お」と言って指を離した。「取れた」
 うなじに手をやると、ころりとプラグの刺さったコンセントが落ちる。充電中らしい。
「お、おおう……
 なんとも言えない奇妙な唸り声を上げると、横でダニエルが同じく唸った。
「警察行くか。やむを得ずセクハラさせられた気分だ」
「それダニエルさんも情状酌量の余地ありまくりですよ」
「一緒に訴えるか」
 ドカン、規制線の内側で一緒に訴えたいほどの爆発が起こった。
 さて、お終い。なんてことなくない事件の始まりである。