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seika_ashe
2024-11-30 00:09:59
3472文字
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狐が嗤う
ちょっと手こずりましたが上手いこと繋がってると信じたい……!
今回は皆さんのところから沢山お借りしています、楽しいね〜
1
2
・
・
同物同治というのは、元は中国の薬膳での考えだ。
大元の発生が中国の姑獲鳥と、この思想が絡むのも違和感は無い。そして姑獲鳥は、由来の通り女の怪異だ。
……
嫉妬、嫉妬から女ばかりを狙っているのなら、本当に反吐が出る。やはりろくなものでは無い。
子宮は、女性特有の器官だ。ある種母性の象徴とも言えるだろう。子供を育み、外界に落とすまで、守る器官。女性を母にする唯一無二の臓器。無論全員が全員己の子供を欲する訳ではなかろうが
……
それを奪われることが、どれ程の屈辱であろうか。
「今回の主犯が怪異にしろ、人にしろ
……
余程それに拘るんだな。子供
……
もしくは母親か?どちらかに拘泥してるのは間違いなさそうだ」
「
…………
恐らく、この羽の主を使役する人間が居るはずだ。何しろアレはどうやら『子育て』をしているらしい。だとすれば、餌を持っていく『先』がどこかにあるはずなのだから」
親と子の結び付きというのは如何ともし難い。浅葱はそれをよくわかっている。人間同士ですらどうにも出来ないことなのだ、それが人と怪異の結びつきだとするなら尚のこと。これ程の大事になったとすれば、主犯でないにしても絡んでいる人間はマトモではいられないだろう。異種間の親子関係など、拗れた時には命がいくつあってもたりない。
……
まあこればかりは、幻想の内に迂闊に踏み入った代償だと思って貰う他ないだろ、と浅葱は投げやりに呟く。浅葱の肩をチョロチョロと走るネズミもどきが片言の日本語で「ダイショー?」と反芻した。
「しかしその『先』の見当がつかんだろ。カルテの閲覧制限、ってことは東医の中にいるってのは予想つくが、あそこは教授職やら看護師、研修医、患者を含めたら容疑者1000人は行くぞ」
「あぁ。だが主犯かどうかは兎も角として、事件に絡んでいるだろう人間の地位は予想がつく」
「教授職以上
……
確か東医は各診療科に2人ずつ教授がいる、閲覧制限の権限のこと考えりゃ人数はそこから更に絞れるっちゃあ絞れるな
……
一応
……
」
「
………………
東医の人員配置に、詳しいんだな
……
」
「詳しくならざるを得なかったって言った方が正しいな
……
」
艘夜の言葉に、はは
……
と空笑いを漏らす。嬉しくない事に、浅葱は東医を何度か診察以外の用事で訪れたことがある。大抵は今回のように椿の呼び出しで、そうでなければ咲良に用事があって。いずれにしても本業から外れた、浅葱にとっては雑務以外の何物でもないことで訪れていたので、詳しくなったところでというのが正直な感想である。
「権限がありそうで、除外できるとすりゃ依頼人の四宮と
……
あと嘴馬さん、この人は四宮にかなり近しい人だから除外で大丈夫だと思う。それ以外
……
は
……
四宮に聞くか、もしかしたら比奈上は見当がついてるかもしれん。流石に外部の俺は病院内の勢力図には疎い」
「あと、如何にしてキマイラを作り出したかも探らなければ。
……
あれは並大抵の者が成せる様なものじゃない。余程幻想の生態や結合に詳しいか、特殊な力があるものでないと真っ当に動けるキマイラは発生し得ない」
ちら、と脳裏を煽り魔の同僚が過ったが、彼は学術的な知見を得るために解剖しまくっているだけのタイプで無為に合成は(恐らく)しないな
……
と嫌な信頼感で脳内から同僚を追い出す。そもそも彼は面倒事を嫌うタイプの魔術師だ、浅葱がそこにいるとわかりきっている東医で問題を起こすとも思えない。
ならばやはり犯人は近場に潜んでいると見て間違いは無いだろう。被害範囲が今のところ医学特区周辺である点からも、内部
……
東医内にいる可能性が1番高い。これである程度、何処の人間かまでは絞れた。
ただ絞れたところでまだ膨大な人数であることに変わりは無い。どうしたものかと本気で頭を抱えていると、その様子を見ていた男
……
飴屋とだけ名乗った人物が病院内といえば、と声を発する
「関係あるかは僕にはわかりかねるが
………
1人おかしな様子の者は見たね
……
」
「はぁ?アンタ飴屋だろ?幽霊飴が目的っつってたじゃないか。
……
まさか嘘つこうとしてるんじゃないだろうな」
「そんなまさか!
……
今回の旅行、幽霊飴も勿論目的だが、ロンドンで店を開いていた頃に来て親交があった客が入院したと報せを貰ってね。その見舞いも兼ねていたんです。ただその渦中の者が
……
」
「
……
様子がおかしかった、と?」
ええ、と頷くと飴屋は続ける。聞けばその客は、海がどうの、水がどうのと譫言のようなものを零すばかりでとても意思疎通が可能な状態ではなかったらしい。
「
……
その客とやらが入院していた科は?」
「確か脳神経外科だったかと。ただあれは気を違えたと言われても信じるくらいの支離滅裂さだった」
「場合によっては既に担当科が移動になっている可能性もあるな」
海、水、その言葉から浅葱はやはり母や生命そのものを連想する。
神話系においても、生物系においても海や水というのは生命とは切っても切れないものである。大抵の始まりは海からで、川なんかは生命の終わりに持ち出される。神話で言うなら海神ティアマトなどが正にと言ったところ。
……
少しズレるかもしれないが、今己の目の前で己と一緒になって頭を悩ませる艘夜も、似たようなものだ。
「兎に角、シャルが戻ってきたら一度東医で調査をしよう。内部に犯人がいる可能性が高い以上、そこから攻めるのが定石だ」
「同意する。無闇矢鱈に調べるよか余程マシだ」
「レッツゴー!!ホスピタル!!!」
アンタはどうする、と飴屋に話を振ろうとして浅葱が顔を上げるとそこには既に飴屋の姿は無かった。いつの間に出て行ったのか、物音一つしなかったぞ、と浅葱も艘夜も怪訝な顔をする。
代わりに睨みつけていたドアから比奈上を無事送り届けたらしいシャルルマーニュが超ご機嫌で堂々と登場し、物凄い形相の2人と目が合うなんとも物騒な偶然の一致を起こした。
「うっわ!お二人さん凄い顔!!何かあった
……
ってネズミちゃん?どうしてここに
……
」
「いや少々
……
色々あって
………
」
嘘をつかないギリギリのライン、所謂『誤魔化し』を行いながら、浅葱は何故かあの飴屋に着いて出て行かなかったらしい己の肩に乗っかったネズミもどきを撫でる。
「
……
それはそうと、シャル。随分と機嫌が良さそうだが、何か収穫があったのか?」
「あ、そうそう!帰りがてら京ちゃんに、IDの権限付与とか剥奪しそうな人に心当たり無いか聞いたら、細かいとこは知らないけど、椿ちゃん先生と仲が悪い
……
邪魔しそうな人には、心当たりがあるってさ!」
シャルルマーニュの言葉に思わず浅葱は身を乗り出す。今一番欲しい情報が転がり込んできたのだ、身も乗り出したくなる。研修医と言えど、内部の者に聞くのが矢張り手っ取り早かったと、言葉が落ちた。
シャルルマーニュは、京ちゃんは研修医で、内部事情にめちゃくちゃ詳しいって訳じゃないけど、と前置きした上で口を開く。
「脳神経外科
……
綾島副院長周りがどうにも怪しいんじゃないか〜ってさ」
はは、と浅葱の口からは妙な高揚を含んだ笑い声が落ちる。
__不足は補われた。
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