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さもゆ
2024-11-15 23:01:31
3055文字
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APH
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【APH】お日様コンビ
ロシアさんの心臓溶けさせたかっただけの、今年の夏も暑かったねっていう雰囲気話と、なんだかんだ日本人の黒髪黒目って綺麗だよねっていう雰囲気話。たぶん。
2019.10.5 たまごのお粥pixiv投稿作品
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会議室前、気温は何度か。
灰色の巨体が廊下の隅で蹲っている。
自分より何倍も背が大きく広い肩幅に、白いマフラーが力なく垂れているのを見て、一瞬それに首を絞められているのかとなぜか思った。あの大国を思えば、そこまでおかしくはないことだろう。
「ロシアさん」
しかしまあ、本当にマフラーに首を絞められているわけではあるまい。どうしただろうと控えめに声をかければ、ああ日本くん、にこにこ、見上げられた。いつも通りの無邪気そうな笑み。真っ白な肌。
「どうかしましたか」
機械的な声が出たな、と思った。やはり少し、未だに、思い切り飛び込んでいく真似はできない(厳密に言えばどこの国に対しても大抵そうであるが)──この大国の、肌を突き刺し血潮まで凍らせる冷たさを知っている身では。
もちろん、仲良くはしたい、とは思っている。
……
どんな国に対しても。できれば。
こちらの心配を表面的と捉えたのかそうでないのか、彼は紫の瞳をふいと伏せた。
「なんでもないよ。
……
聞いてくれる?」
「
……
なんでもない話をですか」
「そう。きみは、得意だと思ったんだけどな」
「いいですよ」ほかに答え方が思いつかない、というよりは、ほかの答えを用意したら涼しく空調の効いた廊下の温度が必要以上に下がる予感がしたので、おもむろに頷く。「聞かせてください」
彼は満足そうに笑った。
「よくあることなんだよ。僕らにとってはね」
聞いてくれると訊ねたわりに、ひとりごとのような調子だった。
「きみも、たまに、感じるだろうけど
……
あんまり問題じゃないのかな。枯れた木の、葉と葉の隙間とか、凍った水道管の膨らんだ繋ぎ部分とか、そういうふうに、思っているかも。気づいているけど
……
なすすべがない。放っておいてもいいとさえ思ってる。ほかに重要な問題があって
……
」
暗い井戸で穏やかに話している。そんな印象を受け、ちぐはぐさに不安が募り、もっと近くで聞かねばと彼のそばに膝をつき耳を傾けた。
そこで日本はあっと声を上げた。もしくは、それより酷い悲鳴だったかもしれない。「ロシアさん」今度は心からの震え声。「あなた、それ、」
「ずっと、寒かったはずなんだけどね」
口から白い息が漏れ出ている。
マフラーはずり落ち、その下の包帯はどこか緩んで見えた。
大国は左胸を押さえ、そして、白色を真っ赤に染め上げていた。服の下から、滲み出ているのだ。心臓のあたり。押さえる指から血が伝う。それはあまりに冷たすぎるのか、氷霧を僅かに生み出した。心臓が溶け出ている、直感的に思った。
「ロシアさ、」
「なんでもない話だよ」
「なんでも、ない? 私、スプラッタ系の話は、自国のしかあまり得意じゃ」
「あはは。じゃあ、離れていて」
きみは、あつすぎるから。
言って、彼は防寒具をきっちり巻き直し、それから、ひゅうと凍える息を吐き出した。廊下の温度が下がり始める。それはおそらく、なんの解決にもならず、かといって日本にどうにかできる問題でもなく、ただ赤い結晶が出来上がっていくのをせめて見届けようとそばにいた。ロシアの血が凍っていく。やがて彼の口から白い息は出なくなった。
代わりに、自分の口から、白色が、飛び出ることになるのだが。
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