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こꯓレ)ろ🌟🦄🌈🌟
2024-11-06 14:51:34
12105文字
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コノチャ♀ほにゃっと小説
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ナタル(娘)の気付き
五歳児とは思えない聡明なナタル(娘)視点。
コノとハイが仕事で留守。チャノイが子連れでスーパーに行く話。
セレネ10ナタル5ソーマ3
コノ54チャ40ノイ41ハイ42
メインシリーズはこちら⬇️
https://www.pixiv.net/novel/series/12007385
を全部読まないとわけがわからない仕様。
1
2
アル父さんは今日もお仕事忙しいみたい。私の勉強のカリキュラムを更新してからイライラしながら出かけて行った。
アーニー父さんが玄関でキスしてあげなかったらまた「仕事なんかしない!」って騒いでたかも。子どもみたいよね。
私はアーニー父さんがお休みだからダリダとセレネを誘って買い物に行くことになってる。早くお勉強終わらせちゃおう。
二週間分の買い物をする。とアーニー父さんとダリダが買うものリストを見せ合いっこしてる。セレネがベビーカーに乗せられたソーマと話してる間に半分しか終わらなかった今日のお勉強のことを考えてしょんぼりしちゃう。帰ったらまたお勉強しなきゃなのかぁ。
セレネは私が今やってるカリキュラムもまだ習ってないんだって。セレネの方が五歳も年上なのに。
私ばっかりお勉強しなくちゃいけない。セレネもソーマも遊ぶ時間の方が多いのに。私もナチュラルが良かった。もっといっぱいみんなと遊びたい。
「ナタル、どうした?」
俯いてサンダルのつま先をぼんやり眺めていたらダリダが話しかけてきた。
「なんでもないよ」
そう、お勉強が多いのは仕方ない。私はコーディネイターだからナチュラルの子より先にたくさんお勉強しないといけなくて、それは私にしか出来ないことだからってアル父さんに言われてる。だからなんでもないことなんだよね。
「ふーん、今日ちょっと元気ないみたい。疲れてる?」
「ううん、大丈夫」
「手ぇつなぐ?」
ダリダが手を差し出してくれる。ダリダはアーニー父さんとアル父さんの一番大事なお友達。
私たちきょうだいは赤ちゃんの頃からダリダと先生の家にたくさん預けられて育ってきたから家族みたいな人。
ダリダは優しいし、勉強のわからないところも教えてくれたり一緒に考えてくれるから大好き。アル父さんは天才って言われてるけど教えるのすごくヘタなんだよねぇ。ダリダや先生の方が教えるの上手。
セレネもソーマもダリダのことが好きだからいつも取り合いになっちゃうけど、今日は私にだけ手を繋ごうって言ってくれたから嬉しくて勉強のことなんてすっかり忘れちゃった。
買い物は食品や日用品で大きなカート二台分になった。アーニー父さんがレジに並んでいる間にトイレに行きたくなっちゃって、ダリダに一緒に来て?ってお願いした。
ダリダはいいよ。って笑って言ってくれた。ダリダが笑った顔、ほんとに大好き。
二人で手を繋いでトイレに行って、帰ったら買ったばかりのマシュマロをココアに入れて飲んじゃおう。って話をしながら手を洗ってトイレを出た。
ついでにいちごジャムの入ったマシュマロも買おうって話してたから、今すぐお菓子売り場に行って取ってくればアーニー父さんがレジを終える前にカートに入れられるかもって走り出したの。
そしたら、曲がり角から突然出てきた男の人にぶつかっちゃった。
「ひゃっ!」
「ナタル! 大丈夫?」
ダリダが駆け寄ってきてくれたけど、私の身体はふわっと浮いて視界もぐるんと回って何が起こったかわからない。
「ナタル! おい待て!」
がくがくと揺れる身体。ダリダが私を呼ぶ声がする。
「ハロ、エマージェンシー!」
ダリダが声をあげて追いかけてくる。私は何が起こったかわからなかったけど、口を塞がれていて声が出せない。
目線だけ上を向くと誰か知らない男の人に抱え上げられているってわかって身体が震えた。黒いニット帽を被った知らない男の手が口を覆っているのが気持ち悪くて怖くて身体が動かない。
ダリダが「待て!止まれ!」と大きな声を上げながら追いかけてくるのがわかるけど男はあっという間に店から出て駐車場を突っ切って一台の黒い車に乗り込もうとする。
小さなバスみたいな車のスライドドアが自動で開いて、このままじゃ車の中に連れ込まれちゃう!
これって誘拐だ。アル父さんが気をつけろっていつも言ってる怖いことが起こりそうで、でもどうしたら良いかわからなくて。
あと少しで車に乗っちゃう!というところでダリダの声がしてドッと揺れた。
「待て! この野郎!」
「なんだお前っ!」
「ぅあっ
…
」
ドサリと音がした。男がよろけて、抱えられてた私も視界が揺れた。地面に落ちそうになったけど落ちなくて心臓がバクバクしてる。私を抱えてる男が振り返って何かを蹴った。
「クソッ!」
「んぐっ
…
!」
うめき声をあげてスーパーの駐車場の隅っこでアスファルトの地面に倒れるダリダ。うそ。まさか今蹴られたのって
…
ゾクッと身体が強張った。お腹を押さえて咳き込みながら起き上がるダリダは眼鏡がどこかにいってるし、額が地面に擦れたのか血がいっぱい出ている。
「ダリダ!」
思わず叫ぶとまた大きな手で口を塞がれた。
後ろから「おい!早く乗れ!」と別の男の急かす声がする。また車に連れ込まれそうになったけど、よろけながらも立ち上がったダリダが飛びこんできてくれた。
「まて!」
大きな黒い車の中でダリダが男の腕に噛み付いた。男の悲鳴の後、急に身体がガクンと落ちてダリダに抱きとめられた。
いつもの安心するダリダの匂いと柔らかさに包まれてそれまでの緊張や恐怖が溢れてぶわっと涙が出る。
そのままダリダは車の外に出ようとしたのにガクンと衝撃がきて仰向けに倒れる。ダリダの長い髪がさっきの男に掴まれていた。
「いっ
…
! 離せっ!」
「クソが、逃すか!」
「早く閉めろ!」
車のドアは勢いよく閉められて、それと同時に急発進したのでまたガクンと身体がゆれた。
ダリダは車の壁に叩きつけられるように突き飛ばされて痛そうな声を上げるけど、それでも私を抱きしめて離さなかった。
♦︎
誘拐犯は四人。車は荷物運搬用のバンタイプで一人は運転席、残りの三人は銃を持ってるし、後ろの荷室でダリダと私を座らせて取り囲んで揉めている。
「娘だけでいいはずだろ。なんなんだよこの女は」
「シッターじゃないか。ハインラインの男はレジで他のガキについてた」
やっぱり、私を誘拐しようとしたんだ。ふるりと身体が震えた。
アル父さんはとっても頭の良い人で、世の中の為にたくさんの便利なものを作ってきたからいろんな国から頼りにされてるって。だから父さんに言うことを聞かせるために私やソーマが悪い人に狙われることがあるかもしれない。外で絶対に一人になってはいけないって教えられてきたのに、私が一人でお店の中を走っちゃったからだ。
ダリダを見ればおでこの横の傷から血が滴り落ちて、アイボリーのパーカーを少しずつ赤く染めていく。
「ダリダ、いたくない? 血がでてる。ごめんね、私のせいで
…
」
「全然痛くないしナタルのせいじゃないよ」
申し訳なくて謝ったら、いつもの笑顔を見せてくれて私のせいじゃないって言ってくれてふっと身体の力が抜けた気がした。
ぎゅっと抱きついたら耳元で囁くように言われる。
「だーいじょーぶ。こう見えても若い頃は軍人だったんだ」
「そうなの? 博士じゃないの?」
アーニー父さんは軍人だけど、まさかダリダもそうだったなんて。
「そうだぞ。バリバリの戦闘艦乗りだった」
「アーニー父さんと同じ?」
「そう、同じ艦に乗ってたしいろいろ訓練も受けてるから心配するな。すぐ助けが来るから」
「うん
…
」
ダリダは嘘をついたことはないし、それを聞いて少し安心した。
「ハロはある?」
「ううん、なくなっちゃった」
いつもそばを離れないはずのハロはスーパーマーケットの中では近くを飛んだり転がったりしてたのにいつの間にか居なくなっている。
あれには私を守るための機能がたくさんついてるはずなのに肝心な時にいてくれないなんて。アル父さんが自信満々に「ハロがついていれば安全です!」なんて言ってたのに。うそつき。
「そっか
…
」
ダリダはハロが居なくても不安には思ってないみたい。ダリダのハロもアル父さんが作ったもので護衛ロボなんだけど最近はいつもソーマに貸してあげてる。ソーマは自分のハロもあるのに、ダリダのハロもないと泣いちゃうから。
ハロがいなくてまたすこし不安になっていたら犯人のリーダーらしき人が言った。
「計画変更は危険だ。女の方は殺して海にでも捨てればいい」
犯人の一人が銃を取り出し、ダリダの頭に突きつける。
「
…
やだ! やめて! ダメ!」
怖くて震えて、ダリダが撃たれたら嫌で泣いてしまったら、ダリダがぎゅっと抱きしめてくれた。
ダリダは怖くないのかな。とても落ち着いた声で犯人に言い返した。
「待ってくれ。私はモルゲンレーテに勤めてる工学博士で金ならある。家族は必ず身代金を払うからこの子と一緒に居させてほしい。抵抗はしないと約束する」
「はぁ? 誰がそんな与太話信じるかよ」
「シッターじゃないのか?」
「本当だ。モルゲンレーテのチャンドラって検索してみてくれ。ちゃんと出るから」
犯人の一人が端末を取り出して検索し始める。
「おい、見ろよ」
「
…
本当だ。顔写真も載ってる」
検索結果の表示された画面を犯人たちが順番に読んでいる。
「私は色々特許も持ってるし金払いはいいぞ。どうだ?」
ダリダが少し得意げに言う。こんなに怖い状況なのに落ち着いて交渉出来てすごい。
「そのモルゲンレーテのお偉い博士サマがどうしてハインラインのガキと一緒にいるんだ」
「アルバートとは家族ぐるみの付き合いだからな。近所に住んでる親しくしてる子が拐われたら追いかけるだろ」
ダリダはナタルを抱きしめて言い切ってくれる。ナタルも絶対離れたくないとダリダに抱きつく。
話を聞いていると誘拐犯はブルーコスモスみたい。なので、コーディネイターのえらい人らしいアル父さんに言うことを聞かせたくて私をさらった。
ダリダは全く予定外の存在だったけど、ダリダのパートナーの先生がオーブのコーディネイターの中でも有名な人だったし、ダリダもすごい人みたいで、金を搾り取ってやろう。という事ですぐに殺されるようなことにはならないみたい。
「チャンスなんじゃないか。資金は必要だ。ユーラシアの通貨で準備させれば
…
」
「同志達の釈放と合わせて金を要求すればいい。移動手段にモビルスーツを
…
」
「仲間の解放と金さえ受け取ればあとは適当に殺していい。二人とも生きて返すとは言ってない」
誘拐犯達は勝手なことを言っている。殺されたくないしこれ以上ダリダが傷つくのもイヤだし、どうしたらいいの。
アル父さんが悪い人たちの言うことをきいたら私たちが無事に帰れるってわけでもなさそう。
ダリダに抱きしめられながらどうしたらいいのか考えるけど全然わからない。
リーダーっぽい人が話してるのに、犯人の一人が全然話を聞かずにこっちをじろじろ見てきて気持ち悪い。ぎゅっとダリダにくっついて顔を背けてたら男は近付いてきて、手を伸ばしてきた。
「いやっ!」
「この子に触るな!」
私を抱きしめたままダリダが男に背中を向けて隠してくれたけど、ダリダは腕を掴まれて無理矢理男の方を向かされた。
「ふーん
…
」
「何だよ
…
」
男は気持ち悪い顔をしてダリダを見ていて、ゾッとした。
しかもダリダの着ているTシャツの裾を掴むといきなり胸の上まで捲りあげた。
「ひっ
…
」
びくっと震えるダリダが小さな悲鳴をあげる。
「結構いい身体してんじゃん。四十ってマジ? 全然みえねぇわ。あ、エロいとこにキスマークついてら。殺す前に味見しとこっかなぁ」
男の手がダリダの身体を触って、ダリダが震えてるのを後ろから見て、私は怖いより、何も出来ないことが悔しくてギュッと手を握りしめてた。
「や、めっ
…
さわんな
…
」
か細い声でダリダが呟く。本当に怖くてたまらないって感じの声だった。
ダリダは先生の大事な人。セレネにとっても父さんたちにとっても、ソーマにとっても、私にとっても大事な人なのに!
「やめて! ダリダにさわんないで!」
ダリダの後ろに隠れていられなくて、私は立ち上がった。ダリダの前に出て男の脚を蹴ってどかそうとしたけど全然ダメで逆に怒らせてしまった。
「いってぇな! クソガキ!」
怒鳴られて、男が腕を振り上げた。殴られる!と思って咄嗟に両手で頭を庇ったけどガクンと身体が引っ張られてダリダに抱きしめられた。
その後にどんっと衝撃があって仰向けに倒れたのにどこも痛くない。
「うっ
…
」
ダリダの呻き声がして、何が起こったのかわからなくて混乱した。
「えっ、ダリダ
…
ダリダ?」
私はダリダに抱きしめられていて、ダリダは私をかばって殴られたんだ。と気づいて涙が出た。
「おら、来い!」
男はダリダの腕を乱暴に引っ張って、ダリダはもう私を抱きしめる力も残ってなくて男にされるがままに床に押し倒された。
服が捲られて下着が見えて、男の手がダリダの胸を乱暴に掴んで、ダリダは朦朧としていて抵抗も出来ない。大事な人に酷いことをする男が許せなくて、でも私が抵抗したらまたダリダが殴られるかもしれなくて、悔しくて怖くて涙が止まらない。
「おい、移動だ。後にしろ」
リーダーの男がダリダに覆い被さってる男を止めた。もうすぐ目的地に着くみたい。
「チッ
…
」
「アジトに戻ったら好きにしろ。先に家族に送る写真を撮っておけ」
下っ端の男は渋ったが、リーダーの命令でダリダは一旦解放された。
男はダリダの上から退くとナイフを取り出してダリダのブラを切ってしまった。服を捲って胸が丸見えになった写真を携帯端末で何枚か撮って笑ってる。気持ち悪くて鳥肌がたった。
私の写真も一枚だけ撮ってから男は写真をリーダーに見せるために離れたので急いでダリダのところに行って捲られたTシャツの裾を戻して話しかける。
「ダリダ
…
大丈夫? 痛いよね
…
ごめんなさい、私のせいだよね
…
」
「う、
…
ナタル、大、丈夫。泣かないで」
ダリダは頭を殴られたからすこしぼうっとするみたい。脳震盪かな、前に本で読んだことがある。頭に強い衝撃を受けるとぼうっとしちゃう症状。
どうしよう、早く誰か助けに来て。ダリダが死んじゃうかもしれない。
「博士の画像もハインラインに送っとけばいいな」
「近所に住んでるって言ってたし家族にも伝わるだろ」
犯人たち、アル父さんにメールするんだ。父さん、早く助けに来て。どうかお願い。
♦︎
車から降ろされたら海辺だった。誘拐犯のアジトは郊外の港に停泊させてあるボロいクルーザー。
ダリダと二人、船室に閉じ込められる。リーダーと他の人は別の部屋に居るみたい。車の中でダリダを襲おうとした男が見張り役で船室までついてきた。
船室はベッドと壁にくっついたテーブル、椅子があるだけの狭い部屋。
見張りの男はドアの鍵を閉めてから私たちをじろじろ見てくる。息が荒くて、目が怖い。ダリダにまた酷いことをしようとしてる。
ダリダは私を抱きしめてじりじりと後ろに下がって距離を取ろうとしてるけどこんな狭い部屋じゃどこにも逃げられない。
部屋の奥にあるベッドまで追い詰められて、もうダメだって思ってギュッと目を瞑った時、ダリダが私の耳元で小さな声で言った。
「ナタル、次に名前を呼んだら良いって言うまで目を閉じてて」
「え? ダリダ
…
?」
「必ずノイマンとアルバートのところに無傷で帰すから。信じて、な?」
「でも、ダリダは?」
私が無傷でも、ダリダはどうなるの?ちゃんと先生とセレネのところに帰れるの?私だけ帰るんじゃダメなんだよ。ダリダも無事で一緒じゃなきゃ絶対ダメなのに。
「大丈夫。言っただろ軍人だったんだから。あとアルバートは本当に過保護だし、ハロは信頼できる護衛ロボだから」
「ハロ
…
?」
いないのに?でも、こんな時なのにダリダはいつもみたいにわらってくれて、それがとても安心できる笑顔だったので思わず言うことをきいてしまった。
私を助けるために犠牲になろうとしてはいないか、とか。私だけ助かるなんてやだ、とか。色々な不安が頭をよぎったがダリダの笑顔には不思議な安心感があって、大丈夫かも。と思えて言う通りにしようと決めた。
男が気持ち悪い笑い声を上げて近づいてくる。
「大人しくしてりゃそれなりに可愛がってやるよ」
男の言葉に、ダリダは毅然と言い放つ。
「誰がお前なんかに! ハロHL003緊急強制割り込みコマンド!」
するとどこからかハロの声がした。
【ハロHL003セイモントウロクニヨリキンキュウキョウセイワリコミコマンドショウニン】
「ナタルの安全確保完了。護衛機能限定解除、武器使用自由、敵を殲滅せよ!」
【ショウニン、コウゲキカイシ】
「えっ」
「ナタル!」
ダリダにギュッと強く抱きしめられて床に仰向けに倒れる。覆い被さってくるダリダの身体で視界が暗くなり両手で耳が覆われた。
「何ィ!?」
犯人の悲鳴のような声。ほぼ同時にボンッと大きな音がして熱い風が肌を撫でた。変な匂いもする。
ダリダの柔らかな胸が顔に押し付けられ隙間から僅かに見える光がチカチカしている。その後言われた通り目を閉じたので真っ暗になった。
直後に男の呻き声が聞こえ、同時に爆音が鳴り響く。直後から銃撃のような音と更に複数回の爆音。
何が起こったのかわからずにダリダに抱きしめられて目を瞑ったまま震えているとバン!と大きな音がしてバタバタと荒々しい足音がたくさん聞こえた。
直後に「犯人を拘束しろ!」と男の声。
「ダリダ! ナタル!」
先生の声がして、ダリダはやっと解放してくれた。二人で起き上がると、銃を持った先生が居た。手を繋いでくれているダリダが小さく呟く。
「よ、かったぁ
…
」
「ダリダ! あぁ、こんなに怪我をして
…
」
先生が駆け寄ってきて、ダリダの前に膝をつき怪我の具合を確認している。
「大丈夫、ナタルは無傷です」
「それは良かったが、君は大怪我だ!」
先生は泣いちゃうんじゃないかってくらい悲しい顔をしてダリダを抱きしめた。
「あだっ
…
! いたた、あちこちやられてるんで優しく
…
」
「どこだ!?」
「ガードしたんで骨まではやってないと思いますけど、酷い青痣にはなりそうかな。お腹と腕と、頭と
…
そのくらいです」
「わかった。早く手当を。ナタルは?」
「私は大丈夫。ずっとダリダが守ってくれたの」
「そうか、よかった。よく頑張ったなえらいぞ」
先生は大きな手で頭を撫でてくれて、助かったんだと実感してまた涙が出てきちゃった。
「ひっ
…
うっ
…
うぇっ
…
わぁぁあんっ!」
声も全然我慢できなくて久しぶりにソーマみたいに泣いちゃった。
「ナタル、もう大丈夫だからな」
ダリダの膝の上に跨って抱きつき、優しく抱きしめられて背中をとんとんと優しく叩かれてダリダの心臓の音が聞こえて少しだけ落ち着いた。周りはたくさんの軍人さんがバタバタしてて、外からも色んな声が聞こえてくる。
「とりあえず、外に出よう」
先生の声がして、ダリダと私を両腕にひょいっと抱えて立ち上がる。先生はコーディネイターだからとっても力持ちなんだよね。
涙が止まらないまま船の外に出た。犯人達は全員、オーブの軍人さんたちに縛り上げられていた。
岸に上がって救急車に向かっているといつの間にか周りを私の紫色のハロが飛び跳ねていた。
「ナタルゲンキカー?」
「ハロ! どこにいたの?」
アル父さんの作ってくれたハロ。肝心な時に居なくなって不安だったのにいつの間にか出てきてちょっと腹が立つ。
「お前、私の護衛ロボでしょ!」
「ナタル、ハロはずっと近くにいたよ。ミラージュコロイドで隠れてたんだ。GPSで居場所をアルバートに共有してたし録音や録画もしてあるよ」
「そうなの? ダリダは知ってたの?」
「もちろん。さっき犯人の男をビームライフルで攻撃してくれたし私たちが巻き込まれないようにリフレクターも展開してくれてたよ。軍が突入するタイミングもピッタリだっただろ?」
ダリダに言われて驚いた。だからダリダは結構落ち着いてたんだね。
「狭い空間とか、ナタルがケガするかもしれない状況だと攻撃が難しいんだけど保護者権限の割り込みコマンドで強制攻撃させたんだ」
「そんなことできるんだ
…
」
「な、アルバートのハロはよく出来てるだろ? あいつほんと過保護だもんなぁ」
「うん、父さんってやっぱりすごい
…
」
私がアル父さんを見直していると、ダリダは抱っこされているのが恥ずかしくなったみたいで、先生に降ろしてって言い出した。
「アレクセイ、歩けます。降ろしてくれません?」
「絶対にダメだ」
「私も歩けるよ」
「ナタルはアルバートかノイマンが来るまではダメだ」
ダリダはケガしてるから先生に抱っこされてて欲しいけど、私はどこもケガなんてしてないし普通に歩けるから降ろしてほしかったけど、ダメだって。
「ナタル!」
大人しく抱っこで運ばれてたら、お父さん達が駆け寄ってきた。特にアル父さんが泣きそうな顔をしていて思わず両手を伸ばした。
「ナタル! 無事か!?」
「大丈夫。どこもけがしてないよ」
先生の腕からアル父さんに渡されて、抱きしめられて髪にキスをされてホッとしてまた涙が出てきた。アル父さんが私の前でこんな顔するなんて信じられなくてびっくりして涙が引っ込んじゃったよ。
アーニー父さんもアル父さんごと抱きしめてくれて頬にキスをしてくれた。
「あぁ
…
ナタル、ほんとによかった
…
」
アーニー父さんの声も少し震えてて、二人ともたくさん心配してくれたんだなとわかった。
「でもダリダがけがしたの。いっぱいかばって守ってくれたから」
「チャンドラ
…
ありがとう」
「ありがとう、ナタルを守ってくれて」
二人の父さん達がダリダにお礼を言って、ダリダの怪我を見てアーニー父さんまで泣きそうになってる。
頭の横を酷く擦りむいていて、血がいっぱい出たから白いパーカーは半分くらい赤くなっちゃってるし、全体的に砂や泥がついてる。犯人の男に引っ張られた髪の毛はボサボサで頬も殴られていて、目の下が赤黒くあざになってきた。
「
…
クソッ、絶対許さん」
アル父さんはダリダを見て、犯人たちへの怒りがおさまらないみたい。
だけどダリダ本人はいつも通りに笑って言った。
「ナタルが無事なんだから上出来だろ、褒めてくれてもいいぞ!」
「チャンドラ
…
お前なぁ。もう少し自分を省みろ」
アーニー父さんが呆れてため息をついた。
「ナタルのハロがそばにいるのはわかってたし、みんな絶対すぐ来てくれるって信じてたから時間稼ぎさえすれば良いって思って」
「それは、そうだが
…
!」
「話は後で。アレクセイ、降ろしてくれないなら早く救急車に乗せてください。いい大人が子どもみたいに抱っこされてるの恥ずかしいんで
…
」
「わかったよ。では私達は病院に向かう。ナタルもノイマンと来なさい。アルバートはアスハ准将と事後処理を頼む」
「了解しました」
「ナタル、おいで」
私はアーニー父さんに抱っこされて、ダリダとは別の救急車に運ばれた。
先生に抱っこされて救急車に向かうダリダは先生の首に抱きついてぐったりともたれ掛かり目を閉じている。いつの間にか汗びっしょりだし、さっきまで笑ってたのに今は苦しそうな顔だった。私が心配するから痛いの我慢してたんだって気付いて申し訳なくなった。
犯人のアジトの船の周りにはたくさんのモビルスーツのワンオフ機がいて、アスランの赤いモビルスーツも来てる。アスランはオーブ軍のトップの人だから大事件になってるみたい。
救急車の周りもたくさんのムラサメが護衛している。
救急車にのせられてバイタルチェックをされる間もくったりしてギュッと目を瞑っていたダリダの事が頭から離れない。
「アーニー父さん、ダリダはとても酷い目にあったの。怖くて、震えてた。でも私の前では怖いって言わなかった。絶対大丈夫だからってずっと笑って抱きしめてくれた」
「ナタルを不安にさせたくなかったんだな」
「ダリダ、殴られたし、犯人に胸とか、身体触られてた
…
」
「そうか
…
ナタルは?」
「私は殴られたりしてないし、どこも触られてないよ。ずっとダリダが守ってくれた」
「チャンドラはナタルを大切に思ってくれてるな」
「うん
…
」
アーニー父さんに頭を撫でられ言われる。
本当にそう。ダリダは私を大切に思ってくれてる。
どんなに酷いケガをしても、絶対敵わないような相手に銃を突きつけられても私を守ってくれた。
まるで本当のお母さんみたい。
お母さん
…
? あっ!
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