NEO
2020-02-16 16:38:21
955文字
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香栄草

#炭善版夜の描き書き一本勝負
第34回参加作【梅の花】






 異様なほど香り立つ、満開の梅の花に見守られるように、樹下で静かに眠っていた善逸。山一つ越えても匂っていた芳香は、炭治郎の足をまっすぐ其処まで導いた。いつから倒れていたのか、憔悴した善逸が元のように暮らせるまで、炭治郎が付ききりで世話をしても半年を要した。それから二人で今一度山へ入った時、あの梅は、はじめからそうであったかのように、幹枯れて、朽ち落ちていた。

 善逸はポロゝ泣いた。なんで、ずっと元気だったのに、嘘でしょ、やだ、やだよぅ、ごめんね、と樹木にすがって。俺も隣で感謝した。
 多分、俺を呼んでくれたのは貴女だったのでしょう。
 あまりに善逸が泣くので、貴女のことが少し妬ましくなる。けれどこれからは貴女のように、俺も、強く気高い支えとなりたい。誓いを込めて樹皮を頂戴して帰った。朽木だったのに、煮出すと不思議なほど美しく穏やかな色合いが出た。

 信じ難いかもしれないが、善逸と俺の懐に、梅染めの守り袋が収まっているのは、実はそういうわけなのだ。





#炭善版夜の描き書き一本勝負
第34回【梅の花】
20200219_NEO@20neo14